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決戦⑲


「おはよう。さぁ反撃開始だ。」



 コーリンに言うことを聞かせるために、

 オーエンはリップの【人生】を奪っていた。


 しかし、それをみんなの協力により取り返すことができた。



 もうコーリンとリップを縛るものは何もない。

 もう【絶望の悪魔】の復活の魔術を唱えなくていいんだ。



「リップ!【人生】を取り戻したぞ!もう術を唱えなくていい!」


 コーリンを起き上がらせるために手を貸しながら、リップに話しかける。

 しかし、リップは復活の魔術を辞めようとしない。



「ふふふ、無駄だよ。リップは催眠状態だからね。」

「催眠状態だと?」

「復活の魔術の詠唱を始めると催眠状態になるように契約したのさ。

 途中で邪魔が入ったら嫌だからね。」


 リップは【神力展開】ではなく【魔術】を使っていた。

 おそらく、オーエンと契約を結ばされて魔力を使わされていたんだ。



「貴様!」



 コーリンは剣を構えるが、疲労によりよろけてしまう。



「コーリン、無理をしないほうがいい。」

「卜部は言ってくれただろう?己の信念に従えと。リップ様を守る。それが私の信念だ。」


 コーリンは剣を地面に突き刺し、力を込める。



「【十種刀:生彩の芽吹き】。」



 すると地面が光り出し、上に向かって光の柱が現れる。

 その光はとても綺麗で見ているだけで心が洗われる。


 光の柱の中にいる俺達は、身体の奥から活力が湧いてくるのがわかった。



「す、すごい……!元気が湧いてくるぞ!」

「私の剣は人を傷つける剣ではない。人を守る剣だ。」


 コーリンが剣を地面から抜くと、光の柱は剣へと収束する。



「手伝ってくれるか?卜部。」

「当たり前だろ。」

「おいでよ。リップくんの詠唱が終わる前に片づけてあげる。」

「「いくぞ!!!」」


 二人はオーエンに向かって走り出す。

 肉体強化を行っている卜部が先にオーエンへとたどり着き、拳を振るう。



「【神術解放:豪火(ゴウカ)】!!」

「弱いね。」



ドゴンッ!



「うぐっ!!」


 オーエンは俺の攻撃を瞬時に避けて、カウンターを腹に入れる。


 なんの技も使っていないただのパンチが肉体強化をしている身体に響く。

 おそらく通常状態であれば、即死レベルの威力だ。



「まだまだいくよ?」



ドゴンッ!



「グッ!!」


 連続でオーエンは俺に殴り掛かる。

 武術に精通しているとは思えない動きから、繰り出される怪物級の攻撃。


 当たりどころが悪ければ強化状態でも、1発KOされかねないその破壊力。

 戦いを楽しむためにワザと外しているのか?



「効くでしょ?僕のパンチ。」

「【十種刀:華火】!!」


 コーリンの放った一振りの斬撃は、弾けて複数の斬撃となる。

 オーエンはそれを両腕でガードしてすべて受け止める。



「魔力を使わないと、こんな程度か。」

「【十種刀:叢雲】!!」



 コーリンは上段から巨大な斬撃を放つ。

 しかしオーエンはそれを片手で受け止める。



「【魔剣】使いなよ。せっかく僕と契約したんだからさ。」

「あんな力、二度とごめんだ。」

「あっそ。なら終わりだね。」



パリィィィンッ!!



 オーエンは握力でコーリンの巨大な斬撃を粉砕する。

 そして、コーリンの前に一瞬で移動した。



「!?【十種刀:産土の加護】!」

「間に合わないよ。」


 コーリンが出現させた盾よりも内側にオーエンが入っている。



ドゴンッ!!!



「へぇー。こんなこともできるんだ。」

「危なっかしい戦い方してんじゃねぇよ。」


 オーエンの拳とコーリンの間にケーゴが【ミストルティン】を挟み込んでいた。

 生身のコーリンがオーエンの拳をモロにくらっていたら危なかった。



「貫け!【ミストルティン】!!」

「それめんどくさいんだよね。」



 オーエンは見えない武器に警戒し、俺達から距離を取る。

 【ミストルティン】は距離を取ったオーエンを追いかけている。



「だから、先に潰すよ。【穢術:限界設定(リミット・セッティング)】。」



 オーエンは術を唱え、目を閉じる。

 すると、その場にいた全員に悪寒が走る。



 それは今までに感じたことのない嫌悪感による身体の震え。

 オーエンから発せられたオーラは、一瞬にしてこの空間を包んだ。



 そしてオーエンが目を開けると、見えないはずの【ミストルティン】に

 目線を合わせて全力で攻撃を放った。



バリィイインッ!!!



「【ミストルティン】が破壊された!?」


「【君を殺さない】代わりに、【その武器を見える】ように設定したんだよ。」



 目には見えない【ミストルティン】だった欠片達が、

 悲しく崩れ落ちる音だけは俺達の耳に鮮明に聞こえた。


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