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修道院

 俺たちは、ショタコンシスター剣士の紹介で、ザンバラという村へ来ていた。


 村に到着して1番最初に感じたことは、えらくボロボロな村だということである。

 ザンバラという村名を表す看板もボロボロで、村人たちも少し下向きで空気が少しどんよりしているように感じた。


「ここがザンバラですか……。」

「なんか怖くなってきたぞ。」


 村の中心にあるという修道院まで、道すがら飯屋や宿屋などを通りすがりに観察したがどこも廃れ気味である。


「こ、ここが修道院……。」


 村の雰囲気にぴったりな修道院がそこにはあった。

 あまり手入れがされていないのか、煉瓦も屋根も少し朽ちている。


「あははは。」


 子供の声が修道院から聞こえてきた。

 中を見てみると、庭で子供たちとシスターが仲良く笑顔で追いかけっこをしていた。

 庭だけは、綺麗に手入れされているようで少し安心する。


 もしかしたら見た目ほど悪いところではないかもしれない。

 子供を追いかけているシスターのお胸が激しく揺れているのを見てそう思った。


「卜部さん。何見てるんですか。裏口行きますよ。」

「あ、すみません。」


 リーリィはジト目で俺を裏口へと引っ張っていった。

 そういう目もできるんだね。


 裏口に回ると扉があった。


「それじゃ、行くよ。」

「はい。一緒に頑張りましょう。」

「すみませーん。」


 俺は、ゆっくりと扉を開けた。


 そこには、机に足をあげて新聞を顔に被せた男が座っていた。

 こんな光景昭和のドラマでしか見たことないぞ?

 服装からから見て、この人が神父さんなのだろうか?


「あー、メレルさんか?すまねぇ、金はもうちょっと待ってくれねぇか?もちろん利子もどーんとつけて返すからよぉ。」


 男は、顔に新聞を被せたままそう言った。

 いや、金借りてる奴の態度じゃねーだろ!って俺はメレルさんじゃないし。


「いや、メレルさんじゃなくて。」

「なんだよ。飯屋の兄ちゃんか?どんぶりならそこに置いてるよ。あ、あと飯代はメレルさんにつけといてくれ。こっそりな。」


 いや、最低だなこの人。


「コーリンさんの紹介でここに来たんですが。」

「ん?コーリン?聞いたことねぇ名前だな。」

「えぇ……。」


 あのショタコン!何が、私の紹介と言えば1発だ。だよ!

 聞いたことないって言ってるよ!?


「すみません。神職者で剣士のコーリンさんにここを教えていただいたのですが。」

「ん?神さんがいるのかよ。これは失敬。」


 男はそう言って、やっとその場で起き上がった。


 よく見ると神父は、盛り上がった胸筋で服はパツパツに腫れあがっており、身長2mはあるんじゃないかという巨漢であった。


 男は、俺とリーリィを交互に見て何かを察したようだ。

 おそらく俺の嫌悪臭のせいだろう。


「あんたら訳アリだな。」

「ここで修行させてください!リーリィを守るために強くならないといけないんです。」

「ほぉ。強くねぇ。覚悟はあんのか?」

「はい。あります。」


「ふん。見所のある男じゃねぇか。どうしてここがわかった?」

「だからコーリンにここくれば、強くなれるって言われたから。」

「ん?待てよ。コーリン……?あぁ!あの青くせぇガキか!!」


 喉の奥に引っかかっていた小骨が取れたようにスッキリとした表情を見せた。

 そしてすぐにガッカリしたような表情に変貌した。


「なんだよ!あのガキの紹介かよ!じゃあ金取れねぇじゃねぇかよ!」


 金を取るつもりだったのか。


「7日間の特急コースだろ?あのガキ、ふざけやがって。」

「1週間で神職者になれるの!?」


 たしか神職者って10年くらい修行しないとなれないんじゃなかったっけ?


「はぁー。そうだよ。金は取らねぇ代わりに、素質がなかったら死ぬから覚悟しとけよ。」

「死ぬの!?」

「当たり前だろ。10年分の苦労を1週間に凝縮するんだからよ。」

「頑張ってください!卜部さん!」


 その期待でいっぱいのキラキラした目はやめてくれ。


 こうして俺は、この大男のもとで1週間修行をすることになった。

 リーリィはその間、修道院のお手伝いをすることになった。


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