女神様を怒らせて爺さんに拾われる
気が向いたときだけゆっくり更新していくつもりです。
気がつけば真っ白な空間にいた。
目の前には金髪のスタイルのいい女神様。
「うおお!なんだこれ?さては異世界転生だな。」
「…察しよすぎでしょ!...まあいいわ。亀山誠司25歳普通の会社員、合ってる?」
「合ってる!そんなことよりチートくれ!」
「なんかムカつくわね。【鑑定】とか色々あげる気だったけど、やる気失せたわ。スキルあげるのも疲れるのよ。【アイテムボックス】だけあげる。じゃあ、行ってらっしゃい!」
「え、ちょま、ごめんなさい。許してください。美人の女神様あああああああ。」
そう言いながら真っ白な光に包まれて行った。
「美人って…仕方ない。【アイテムボックス】に《品質向上》の効果だけでもつけといてあげるわ。」
誠司が行ったあと女神はそう呟いた。
気づけば森の中にある洞窟の中にいた。あたりに気配はない。
「よりによって洞窟スタートかよ。アイテムボックスだけでどうやって生き延びればいいんだよ。あの駄女神め!」
悪態をつきながらステータスを開く。
セイジ
10歳
スキル
【アイテムボックス Lv1《品質向上》】
「10歳に若返ってんのか、てか品質向上ってなんだろ?」
………..
3時間後。
………..
「うおおお!ありがとう女神様!!!愛してる!!!!!!!!!!!」
セイジは女神への愛を叫んでいた。
森で採った少しまだ熟していないリンガをアイテムボックスに入れてみると1時間で普通の味に、2時間で瑞々しい高級な味に、3時間で食べたら体中の疲れが取れる品質へと変化した。
これは街に行けば売れる!お金に困らず一生過ごせる!
街にさえ出られれば...
「ってどうやって街に出ればいいんだよー!!」
ガサゴソ
(あ、やべ...異世界だし魔物とかいる感じ?もしかして...)
そう思ったときにはセイジの叫び声を聞いたウルフたちがセイジの周りに集まっていた。
「おい、ちょっと待て、こっちは新人だぞ、チュートリアルとかあるやろ?とりあえず話をしようや、な?ギャーーー!」
お構いなしにウルフたちがセイジに飛びかかる。
噛まれた足や腕から血が溢れ出す。
「痛え、くそ、転生してすぐ死ぬのかよ...くそおおお!」
セイジは痛みに顔を歪ませながらそう呟く。
「えいや!」
次の瞬間、白い鎧に包まれた騎士が物凄い速さでセイジに噛み付いていたウルフたちを薙ぎ払った。
「ありがとうお嬢さん...ピンチでヒロイン登場ってやつか」
「お嬢さん?お爺さんの間違いじゃろ?」
頭に被っている兜を脱いだ騎士はお爺さんだった。
「え?なんでじじいなんだよ?ここはかわいい女の子が助けに来るところだろ?」
「せっかく助けたのに失礼じゃな!てか出血もひどいし黙らんと死ぬぞ!」
「え...あ、痛えええええ!!!衝撃で痛み忘れてた!!!」
「今すぐ騎士団のテントまで運ぶから大人しくしてるんじゃ。」
お爺さんはそういうとセイジをお姫様抱っこする。
(く、死にかけた上に爺さんにお姫様抱っこされるなんて...てか痛ええええ!!!)
そう思いながらセイジは気を失った。
「起きたかの?」
「寝ても覚めてもじいさんかよ!」
目を覚ましてすぐ、目の前にいたのは美少女ではなくお爺さんだった。
「安いポーションしかなくて怪我が完全には治っとらんから安静にしとくのじゃぞ。」
たしかにまだ手足が痛む。
「あ、爺さんポーション1つ貸してみてくれないか?あとでお代は払う。」
「別にいいが...おぬし金なんて持ってないじゃろ?」
「ぐっ!な、なぜそれを?」
「そのような軽装であの森に入る人間が金を持っとらんことくらいわかるわい。まあ、心の広いわしはあと一つくらいだったらただでやるわい。」
(この爺さん自分で心広いって言ったよね?)
そう言いながらアイテムボックスにポーションを入れる。
………..
1時間後。
………..
「おっしゃあああ!」
品質が上がったポーションを飲み完治したセイジは、雄叫びを上げた。
「ど、どうしたんじゃ?」
爺さんが慌ててやってくる。
「完治した!それじゃあ世話になったな!失礼する!」
「は?完治じゃと、そんなわけ...うお、まじかいな。おい、待つのじゃ、街への道はわかるのか?あ、行ってしまった。」
………..
3時間後。
………..
「ぜえぜえ...やっと…ついた…爺さんに街までの道聞いととけばよかった…」
こうしてセイジはやっとの事で近くの街に辿り着いた。