003 お出かけ(前編)
お偉いさん方の会話なんて知らないのでだいぶ適当ですが暖かい目で見てくださると嬉しいです
とあるギルドの一室
「ギルドマスター、シルス達が戻ってきました」
と、1人の受付嬢らしき女性がしっかりとした体つきの男性に伝える
「わかった、すぐに通せ」
「はい」
といいすぐに出ていった。
少しして扉がノックされた
「はいれ」
「失礼する」
といいシルスがはいってくる
「で、どうだった」
「やばかった、その一言に限るな」
「どういう事だ?詳しく話せ」
そしてシルスが詳細を話す
「そう、か……わかった、まさかそんなことになっていたとはな、お疲れ様だ、あと他に話すべきことはあるか?」
「特には……いや、あったな、そのホーンタイガーを倒したやつは空間操作を使える」
「く、空間操作だと!?それはたしかなのか!?」
サブギルドマスターらしき男が驚いていた
「いや、確証はない、ただ、ホーンタイガーの死体が見当たらなかったからおそらく使えるだろうってだけだ」
「ギルドマスター、これは急いで連絡した方がいいのでは?」
「そうだな、わかった、後日報酬を渡す、今日はゆっくり休め」
「わかった、じゃあ明日2人を連れてくる」
「ああ、頼んだ、あ、それとこのことはくれぐれも―――」
シルスがギルドマスターの言葉をさえぎる
「わかってる、誰にも言うつもりはない」
「……助かる」
「なに、これを伝えたら必ず混乱に繋がる、そうなれば我々にも影響が及ぶ、何もそちら側のためだけではない、ではまた明日」
「ギルドマスター、この件、どう見ますか?」
「そうだな、考えられることはいくつかある、1つめはホーンタイガーを倒したやつとインフェルノウルフが交戦状態にある可能性、2つ目は何かが起こりインフェルノウルフ達が活発化し、こちら側にまで降りてきたホーンタイガーとたまたま出会った者がそいつを倒した可能性、3つ目は……恐らくありえないだろうがインフェルノウルフの一派から反発したヤツらをインフェルノウルフ一派が倒した可能性、今考えられるのはこのくらいだな」
「あなたもそうですか……荒れそうな気がします」
「……間違いなく荒れるだろうな、とりあえず領主に手紙を出す」
しばらくして領主館
ノックの音がとある一室に響いた
「入れ」
立派な身なりの男が答える、この街の領主だ
「失礼します、レウス様、ギルドマスターがついたようです」
執事らしき人物が扉を開け、声をかけた
「わかった、すぐに通せ」
「了解しました」
といい外に出ていった
「失礼する」
しっかりとした体つきの男、ギルドマスターが入ってくる
「ひさしぶりだな、シルエイス」
と領主はギルドマスターとまるで旧友のように接する
「そうだな、たしかここ1ヶ月はあってなかったな」
「む、そんなにたっていたか……」
「ま、お互い忙しかったからな」
と少し疲れた顔で答える
「それもそうだな、それよりも本題だ、魔境の森で何があった」
真面目な顔をして問う
「道の第1休憩所から徒歩30分ほどの位置にホーンタイガーが出た」
「何!?」
領主がおどろく
「あの3人が着いた時には既に討伐済みだったそうだ」
「どういう事だ?」
そしてギルドマスターは事の詳細を話し始める
「むう……なかなか大変なことになっているな」
「ああ、放置しておくわけにも行かないが無駄に手を突っつく訳にも行かん」
「……そっちからは何人出せる」
悩んだ末、領主はそう答えた
「あの森に手を出す気か?」
「ああ、さすがに放置をするのは危険すぎるからな」
「それもそうだか……まあいい、とりあえず……そうだな、ギルドからは招集をかければゴールド8、ミスリルが3だな、ただ、少し待てばミスリルが2人増える」
「2人と言うと……結界師の2人か」
「そうだ」
「ならばミスリルの5人だけでいい、空間操作が使えるとなると人数は要らないからな」
「わかった」
「そうだな……明日の正午は平気か?」
「問題ないな」
「じゃあその時に詳しく決めよう」
「わかった、ではまた明日に」
そういい、シルエイスは部屋を出ていく
「うっめぇぇえ!」
俺は今日とったホーンタイガーを四苦八苦しながら解体し、それを焼いて食べていた
解体の知識なんてテレビのやつぐらいしかないから大変だったけどその苦労に見合う美味しさだね、
あ、内臓は怖かったから森に捨てた、環境がどうのこうの言われそうだがここだと魔物が食うから関係ない、
「ごちそうさまっと」
んー、美味いんだけどこのままだと野菜がないから飽きるし栄養も偏るからな、やっぱり街に行くしかないか
そのためにはとりあえず人化をためそう、ついでに竜化も試さないとな
「まずは人化だな」
外の少し開けたところで試すことにした
体に力を入れて魔力を体中に満遍なく巡らせて、純粋な人の姿を想像する
「出来た……」
成功したと、勘でわかった
「鏡見てみよう」
そしてダンジョンの玉座の間にある鏡を覗き込む
そこにはサラサラでベージュがかった白の髪で、瞳の色は碧色、つまりアクアマリン色のような色だった
「いやいやいや、変わりすぎだろ…」
あまりにも日本人離れした顔にだいぶ驚いていた
人化するとこんなに変わるもんなの?俺だけじゃなくて普通にこんなに変わるようなスキルなの?まあいいや、とりあえず次は竜化をためそう
竜化したら体の大きさが変わる可能性がある為、先程人化した時と同じ場所に移動した
竜化する時のは人化とさほど変わらない、最初に人化をとき、体に力を入れ、魔力を今度は自分の体に満遍なく巡らせるのでは無く、両目と翼、尻尾に魔力を重点的に張り巡らせる、そして竜の姿を想像する、とても丈夫な鱗に身を包んだ大きな体、青くとても大きい綺麗な翼、鋭く長い尾、とても鋭く、丈夫な爪を持ち、これまた丈夫な鱗に包まれた四肢、俺が想像したのは地球では西洋竜と呼ばれるものだった
魔力が十分に行き届いた時、景色が変わった、
この森の木はとても高い、目視でだいたい20メートルほどだ、
もちろん道のあった方も、反対側にはもっと高い木が立ち並んでいるがここら辺だと20メートルほどになる、
そして20メートルとなると当然、俺は木を見上げる形になる、だが、今は木と並んでいた、つまり、竜化すると目視ではあるが約20メートルほどの大きさになるのだ。
でも体重くて動けないや、慣れれば平気なんだろうけどまだ無理
そして俺は思った、こういう時に縮小を使うのでは?と
という訳で縮小!……お?おお!だいぶ小さくなったな、これくらいなら普通にダンジョンに入れるな、早速鏡を見に行こう!
んーと、この体は黒い鱗に所々赤い鱗があって翼はやっぱり青、んで黒の尻尾、かなり鋭くなってて、武器代わりに使えそうだな、想像通り黒が基本だな、
んで力は……やばい、なんて言うか、力が溢れてくる、って感じがする、けど、なんか疲れるな、竜化解こう
「っと、ん〜、やっぱり人間は人間の体が1番だな」
結局暫くは人化の状態で過ごすことにした。街に行って、街の中で人化解けたら大変だからな
「すぅ」
軽く息を吸う
俺は人化した状態で胡座をかき、背筋を伸ばし、目を瞑る。
俗に言う瞑想というものだ。
俺はもともと魔力のない地球で育ってきた。生まれながら魔力を持っていた訳では無い。
故に人よりも魔力の操作が下手なのだ。
いや、下手過ぎると言ってもいい。
俺が魔法を使った時、ノアが驚いていたが、別に魔法の威力に驚いていたのではなかった。
魔力の変換効率が悪すぎたが故に驚いていたのだ。
そもそも、魔力はゲームのように属性がある訳では無い。魔力の質はあるが、けして、火の魔力、水の魔力といったような感じでは無い。そもそもとしてだが、全く同じ魔法は絶対に使えないというのがある、人の魔法を参考にする、というような事はあるが全く同じということは無い、だからこそ魔法の発動にイメージが必要になる。
ってこの話は別にいい、問題なのは魔力の変換効率だ。
これは基本慣れだ、もちろん才能もあるが才能がない人でも努力すればかなり高くなる。そして俺は魔力というものを全く触ってこなかった、だから今の状態なら子供よりも変換効率が悪い状態なのだ。
だから俺は今日から魔力操作をしながら変換効率もあげることにした
方法は簡単、まず瞑想をする、そしたら一旦魔力を身体の中心に集める、そしたら集めた魔力を動かす、こう聞くと簡単に聞こえるかもしれないがかなり難しい。
一瞬でも気を抜くと集めた魔力が弾けるかのように一気に広がる、そうなったら失敗だ
まあだから瞑想してるんだけどな
「……はあ、うし、こんなもんだろ」
しばらく瞑想し、立ち上がった
「んーと……げ、もう夜じゃん」
肉を食ったのは昼頃だったのにもう月が出始めていた
「グルゥ」
とノアが鳴いた
「ん?どうした?ノア」
と聞くとノアが後ろを向いた
「ん?……おお、ありがとな」
どうやら瞑想している時に狩りに行ってたみたいだ、ノアの後ろには動物の死体があった、どうやら既に解体済みのようだ
「じゃ、焼いて食べるか」
翌朝
「よし、準備完了!」
俺は早速街に行くべく準備を終わらせていた、服は皮でできた飾りの無い服、その上には昨日ノアが狩ったメルセイルという四足歩行の動物の皮でつくったジャケットを着ている。
武器は魔力操作の向上の一環でつくった両刃のダガーナイフのようなものを持っていく
ちなみに鞘は森の奥に草原のようなところがあって、そこにいた牛の皮をつかってつくった
「じゃあ、ここは頼んだぞ、ノア」
当然ながらノアはお留守番である。
ノアが人前に出たら大変なことになりそうだからな
ノアをひと撫でしてから俺は出発した
「ひゃっほぉう!風がきもちぃい!」
軽く走り風を感じる
まあ軽くって言ってもなかなか日本人離れした速さだがな!
「ん?スンスン」
なにか変な匂いがしたため止まった。
普通なら気づかないだろうがこれでも竜人、その人間離れした嗅覚が確実に捉えた
「これは……鉄?違う、血だ!」
俺は血の匂いがした方へ走り出した
しかも多分結構血を流してる!間に合うといいけど
「っ!大丈夫ですか!」
俺が着いた時、血を流して、腕を抑えながらうずくまっている黒髪の青年がいた
「あ、あなたは、だれですか?」
苦しそうにしながら聞いてきた
「それよりも早く処置しなきゃ!」
俺はその青年の腕をとり、傷を見た
「これは……爪?獣か、とりあえず消毒だ」
俺は持ってきていたバッグから、ダンジョンの前にある河の水をかける
飲料水として皮袋に入れてきたものだ。その中の小分けにしているやつをかけた
「っっ!」
しみるのだろう、だがこればっかりは耐えてもらうしかない
「耐えてください」
そして俺は傷がついてる所にDショップでかった布を巻き付ける
「とりあえず応急処置はこれで大丈夫なはずです」
「ありがとう、助かった」
頭を下げてきた
「いえいえ、無事でよかったです、それで、どうしてそんな怪我をしていたんですか?」
「休憩している時にクマに襲われてな」
あの傷はクマの爪か
「この後、街に行くつもりだったんだが、さすがにこの状態だと怖い、街まで着いてきてくれないか?」
「分かりました、俺も街に行くところだったので良かったです」
「ありがとう。あ、俺の名前はケルヴィンだ、よろしくな」
「ケルヴィンさんですか、俺はシュウです。よろしくお願いします」
「そんなに固くならなくて大丈夫だ、俺はそんなお貴族様じゃないしな」
「あー、わかった、じゃあ改めて、シュウだよろしく」
「ああ、よろしく」
俺とケルヴィンは握手をした
早々と予定が狂ったが別に構わないか