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世界最強の神獣使い  作者: 八茶橋らっく
第6章 【最後の魔神】
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51話 深淵から目覚めし者

 地中で目覚めた【七魔神】デスペラルドが敗れ、次に魂だけで存在を保っていたアスモディルスが滅された。

 双方共に現代における力は不完全であり、全盛期には及ばなかったものの、初代【呼び出し手】に滅ぼされずに生き延びていた【七魔神】の名に恥じぬ猛者であった。


 しかし現代に現れし新たな【神獣使い】の活躍によって、二柱の【魔神】は敗れ去った。

 かつてたった七体で人類と神獣の半数を駆逐した【七魔神】は、最早残り一柱。


 されど最後の一柱は目覚めることなく、力を蓄え続けていた。

 ……彼は本能的に悟っていたのだ。

 不完全のまま復活したとしても二柱の同胞と同様、新たな【神獣使い】に敗れるのが関の山であろうと。


 だからこそ彼は眠り続けていた。

 この世とあの世の狭間に作り出した、己の領域で。

 死して空に溶け出したデスペラルドとアスモディルスの濃密な魔力をかき集めながら、静かにこんこんと。


 だが、眠りはいずれ覚めるもの。

 彼は完全なカタチを取り戻し、意識を覚醒させていく。

 同胞の力を取り込み、全盛期の力を完全に取り戻したと理解した彼は、再び現世への進行を目論む。


 己を追い詰めた初代【呼び出し手】も、同胞たる【七魔神】も亡き今、それでもなお彼が世界を望み動き出す理由はただひとつ。


『永き眠りから目覚めてもなお、私の中にある衝動は変わりない……』


 抱き続けていた本能を、衝動を、彼は永き眠りの中でも失ってはいなかったからだ。

 であればこそ、目覚めた以上は己が願いのために動き出すのは道理。

 人間には人間の哲学があるように、彼には彼なりの、【魔神】には【魔神】なりの哲学があった。


『……広く雄麗なる、私の世界』


『だがこの世を、静かな青と鮮やかな緑に溢れたこの世界を文明によって切り開く悪しき者たち』


『駆除しなければ。この世を静かなる太古へと戻すために』


『ああ、必ずや……』


 この世から一匹残らず、人間共を掃除する。

 それが彼の望み、哲学、衝動……彼を突き動かす全て。

 人間が文明を生み出す遥か以前より存在していた【魔神】以外には理解のしようもない感情。


 加えてこの世の調停者を気取る神獣共も、必ずや屠ってやろう。

 以前その地位には我ら【魔神】が座っていたのだから、返してもらうのは道理である。


 彼の目指すもの、それはまだ人間の文明が存在しなかった頃の「ありのまま」の静かな世界を取り戻すこと。

 自らにとって住み心地がよかった世界を、再び人間共から取り戻そうというのだ。

 そのために彼は、現世への再進行を始めようとしていた。


『私は【七魔神】。始まりの三柱が一体、ファルヴード』


『今再び始めよう、我が望む世界の姿を取り戻すために』


『そして……ああ、現代の【神獣使い】よ。あのデスペラルドに【世界最強の神獣使い】と言わしめた者よ』


『我が同胞を下したあなたの力、ぜひこの目でしかと見たい。そして願わくば……世界をありのままに戻すべく。その力、ぜひ我がものとしたい』


 昏き居城で、彼……ファルヴードはデスペラルドとアスモディルスの記憶の残滓を魔力から読み取り、静かに嗤っていた。

 彼もまた【七魔神】である以上、一方的な殲滅ではなく、強者との戦いに喜びを見出す側面も持ち合わせていたからだ。


 世界を太古の平穏な姿に導かんと望むが故、猛き者との戦いに身を投じたいと願う矛盾を孕んだ最後の【魔神】は、ここに復活した。

 最後にして最大の脅威が、再びこの世に牙を剥きつつあった。


 ***


 最後の七魔神が遂に目覚めた……その最中。


 ***


「クズノハ、そっちの調子はどう?」


「ふっふっふ……良好だとも。ローア、そちらは?」


「ふふ〜ん、こっちも大丈夫かなーって。いい感じかもっ!」


「こっちも予定通りよ」


「マグさん、喜んでくれるといいですね〜!」


 マグの家の一室では、フィアナとクズノハにローア、それにマイラやリーサリナが何やらわきあいあいと作業を進めていた。

 彼女らが一体何を賑やかに進めているのか、マグは数日後に知ることとなる。

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