2話
このまま何処かいって・・・くれないよな
水中から見える緑の手が俺の腕をつかみ
ご対面。
「ギィギィギィギィーギィ(勝手に逃げやがって)」
「ギィギィギィ(それ以上やると死ぬぞ)」
「グギグギャギャギ(死んでも問題ないだろ)」
「ギィギィ(でもボスの命令だぞ)」
「ギィギィグギグギ((命拾いしたな))」
ゴブリン達が会話をしている。
他人からすれば何言ってるか分からないんだろうが
同じゴブリンの俺にははっきりと分かる。
このまま楽にはしてくれないようだな
会話が纏まると
1匹のゴブリンが俺の手と足を縄で縛り
足から伸びた縄をもち引きずり始めた。
引きずられるたびに折れた木、尖った木の実など自然の障害物によって
いたるところに傷がふえていく。
声が出そうにもなるが今声を出すのは危険と思い必死に我慢する。
「くっ・・・」
そう思っていたにもかかわらず
ふいにくる痛みに対してはつい言葉をもらしてしまった。
まぁゴブリンごとき今のぐらいなら大丈夫かと思いながら心配なので
ばれないよう少しだけ目を開けた
奴らは笑っていた
初めからわざと荒れた道ばかり通り
俺の様子を見て楽しんでいたのだ。
待ってました!と言わんばかりに
口角を上げ涎を垂らしながら
不快でしかない視線をおくってきた
その瞬間
「ドンッ!」
大きな音にあわせて強烈な痛みが頭を襲い
目の前がかすんでいく
「ギィギィギィギギ(これヤバくないか?)」
「グギギャギグ(大丈夫だろ)」
俺の人生もここまでか・・・
最後にゴブリンになって死ぬとか笑える
意識がブラックアウトした。
バシャンッ!
急にかけられた冷水と悪臭によって意識を取り戻す。
「ギィギィグギグギグギ(さっさと起きろ。新入りが)」
そういって水をかけてきたゴブリンが檻越しに言う。
「ゴホッゴホッゴホ」
臭い・・・
かけられやのは水ではなく汚水だ。
これ以上は考えたくもない
ただ言えるのは意識を取り戻すほどの悪臭で
ドブより臭いということだ。
「ギィギギグギグ(起きたら早く壁を掘れ)」
偉そうな少し大きめのゴブリンはそれだけ言ってどこかに行った
バチンッ!
鞭で叩かれたような痛みが背中を襲う。
「グッ!」
「グギィグギグギグギグーギグギグ(壁を掘れって言われてるだろ!早く行け!)」
後ろから来た鞭をもったゴブリンが親指を立て後ろをさし
早くいけと言ってくる。
「グギィーグギ(まだ足りないのか?)」
反抗してはいけないと思い
指さされた方へ向かう。
先ほどの場所は少し大きめの部屋のようだが奥に行くと段々小さくなり
人が3-4人ほど通れるほどの大きさになっていた。
所々で同じゴブリン達が素手で壁を削り道を作っていた
「グ-ギィギィギィーグギ(お前はココだ)」
案内されたのは2人ぐらいが入れるほどの大きさの通路で合った
「ギィーグギ(中のジジイと一緒に作業しろ)」
少し奥に進むと1匹のゴブリン
ゴブリンの爺さんがいた。
「ギギィーグギギギギ(お前また抜け出したのか)」
「グギ(そうみたいだ)」
「グギギィギィグ(まぁいい、今はボスも機嫌が良い。早く手伝え)」
「ギ(わかった。)」
俺はゴブリン爺さん、ゴブ爺と一緒に洞窟を掘る
何日たっただろうか・・・
ずっと洞窟の中で朝、晩もわからない。
腹も減るが食料も渡されない。
たまに腐った肉。余りものを投げ込まれゴブ爺と一緒に喰う。
最初は喰うのも抵抗があったが、環境?またはゴブリンになったせいか
今では抵抗がなくなった。
そんな日が繰り返されていたが
ある日、洞窟作業のゴブリン達が
最初に俺が汚水をかけられた場所に一斉に呼び出された。
なんのことかと思ったが
定期的にある査定の日だった。
どうやら洞窟掘り作業の中で成長しているものは
次の場所に移されるそうだ。
なんか会社みたいだなと思ったが
次の場所に移される奴は滅多にいないそうだ
この作業場にいるやつは
爺さんか馬鹿しかいないそうだ。
急に前より知能が高くなった俺は移動されるんじゃないかと
ゴブ爺は言っている。
いや、ゴブリンよりは知能が高くありたいよねとは思った。
それにしてもゴブ爺さんも知能が高いので何でここにと思って聞いたが
詳しくは教えてくれなかったが昔に色々あったそうだ。
まぁでもそのおかげでここの事や外の世界の事など詳しく教えてもらえて
俺にとっては良かった。
上の方までいけば外に出る機会も増えるとのことで
早く抜け出しいたいという思いは日に日に強くなっていた。
「グッギー(静かにしろ!)」
どうやら査定が始まったようだ。
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