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もういくつ寝るとお正月。

 ここは渋谷のマンション。

「ふあ~あ。良く寝た。」

 谷子は10階のおばあちゃんの家で目が覚めた。

「おしっこ。」

 谷子は寝ぼけておしっこをしようとする。

「やめなさい!? 谷子!? ここは自分の部屋じゃないんだよ!?」

 母の谷代も一緒にお泊りしていた。

「え? ・・・うおお!? お母さん!?」

「まったく。」

 谷子は正気を取り戻した。

「あんたたち朝から元気だね?」

「おばあちゃん。」

「大家さん。」

 そこに大家さんのおばあちゃんが現れた。

「麻からハンバーガーの出前をとったから一緒に食べよう。」

 大家さんの松トウは谷子を孫のように可愛がっている。

「わ~い! ハンバーカー! ハンバーカー!」

 谷子はハンバーガーの出前に興奮して喜んだ。

「谷子、カに点々を忘れてるよ。」

 谷代は鋭いツッコミをいれる。

「エヘヘッ。」

 谷子は照れ笑いをする。

「笑って誤魔化すな。」

 母は娘の将来を心配する。

「それにしてもおばあちゃん。昨日の夜のピザの宅配は面白かったね。スノボーでピザを宅配する人を私は初めて見たよ。」

「私もそうだよ。東京の雪は10階まで降り積もることは無いからね。」

「ハハハハハッ!」

 昨日の渋谷は雪が積もりに積もって20メートル以上。それでも休めない稼ぎ時のデリバリーピザ屋さんだった。ピザ屋は渋谷でスノボーでピザを運ぶゲームをして楽しんでいたのである。

「それにしてもクリスマスが終わったと思ったら、もういくつ寝るとお正月だね。」

 クリスマスが終われば10日以内にはお正月がやってくる。

「早いね。年を取ると1年なんか、あっという間に終わっちゃうわよ。」

 大家さんのおばあちゃんの松トウは60才は超えている。

「そうですね。私も分かります。」

 谷代も相槌を打つ。

「谷代さん、あなたはまだ若いでしょ。」

「はい、29才です。」

 おばあちゃんは少しムスッとした顔をする。

「あんた私をバカにしてるのかい? いいのかい? 家賃を2倍にあげるよ?」

「お許しください!? 大家様!?」

 谷代は頭を下げて許しを請うのだった。

「おばあちゃん!? 谷子が本を読んであげるよ!?」

「そうかい? じゃあ、読んでもらおうかね。」

 母親のピンチに谷子が救いの手をあげる。

「ナイス! 谷子!」

 胸を撫で下ろす谷代であった。

「おばあちゃん、どんな本を読んでほしいの?」

「そうだね。エキサイティングな売れ残りのクリスマスケーキを顔面にぶつける、クリスマスケーキ合戦の本がいいね。」

「そんなゲームがあったら面白そうだね。」

 おばあちゃんの趣味は渋かった。

 その時、ピーンポンっと玄関のチャイムが鳴った。

「あ!? ハンバーカーだ!」

「そうだね。先にご飯にしようか。」

「わ~い! 朝からハンバーカー!」

 谷子の日常は、これでいいのだ。


つづく。

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