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良いこと、谷子、拒否する。

 ここは魔法学校渋谷高校。

「全員を魔法少女にするなら、我が妹のカワイイ怪獣ちゃんも魔法少女になるはずよね。」

 ふと、栞は素朴な疑問を思いついた。

「いいよ。私は私のままで。魔法少女にならなくても、私は私だもの。」

 谷子は面倒臭いので魔法少女になることを拒否する。

「そうよね。怪獣ちゃんは、ほんのおねえさんという魔法少女ネームを持っているから。箔をつけるために高級ブランドネームをつける必要がないのよね。」

「私は本が好きなだけで、歌を歌ったり、踊ったり、コンサートをしたり、握手会をするのは苦手なんだけど。」

 谷子は本が大好きな静かな読書ガールである。

「大丈夫よ。ストーカーや暴行犯が現れても、私たちなら魔法で退治することが出来るから。」

 警察は無罪放免にするから信じられない。

「ストーカーには、必殺! 土星落とし! エル・エル・エルメス!」

 普通に土星が空から降って来て、衝撃で大地を焼き払う。

「怪獣ちゃんもやってみて。」

「落ちろ、土星、必殺、土星落とし。ここから何て言えばいいの?」

「なに!?」

 谷子は洗礼を受けていないので、魔法の唱え方が、他の魔法少女4人とは異なる。

「谷、谷、谷子! 本、本、本! ほんのおねえさん! 何かが違う!?」

 栞は魔法少女設定にしようということで、最大の試練を迎える。まさかの魔法の詠唱問題である。

「今までと同じにはできない。どうしよう。怪獣ちゃん、何か好きな言葉はある?」

「ほんのおねえさんでいうと、良い子のみんな! 本が大好きですか? 良い子のみんな! 本を読んでますか? 良い子のみんな! 本を買ってください! せいの~、読書! 最高! 本が大好き!」

 谷子はほんのおねえさんのセリフを言っていく。

「それだ! 読書! 最高! 本が大好き! を魔法の言葉にしよう。言ってみて、怪獣ちゃん。」

「落ちろ、土星、必殺、土星落とし。読書! 最高! 本が大好き!」

 谷子が魔法の言葉を言うと、空から土星が降ってきた。またまた衝撃で大地が吹き飛んだ。

「素晴らしい! これで怪獣ちゃんも魔法少女よ!」

 谷子は5人目の魔法少女になった。

「嬉しいような、嬉しくない様な。」

 谷子は魔法少女になったからっといって、素直に喜べない。

「大丈夫よ、元々ほんのおねえさん自体が魔法少女みたいなものだったから、なんの違和感もないわ。」

「怪獣ちゃん、何かの本を読んでみて。」

「うん。」

 谷子は国語の教科書を読む。

「昔、昔、地球は水と緑で溢れていました。空気は透き通り、水は飲み水として飲め、生命力の溢れる緑の木々には小鳥がさえずっていました。」

 ほんのおねえさんの谷子にとって、教科書などの本は魔法書グリモワールと同じであった。

「見て! 2回も土星を落とされて、地面むき出しだった大地が、水と緑の溢れる魔法渋谷公園になったわ!」

「わあ! きれい! 青い星、地球だ!」

 ゴミゴミしたビルなど要らない。人間の心を豊かにするのは、水と緑の大自然なのかもしれない。

「どう? 怪獣ちゃん。魔法少女の実力は? なってよかったでしょ?」

「私は魔法少女48を卒業します。」

「どうして!? やめるなんて言うのよ!?」

「私は本が好きなだけなの。別に魔法少女にならなくても、私は本を読むだけで魔法が使えるから。私はソロでいい。」

 谷子のほんのおねえさんという上位職種は、グループアイドルよりも人気があった。

「それに魔法少女48に入って、メンバーに自宅の場所を強姦魔に教えられて怖い思いをしたり、テレビに出るために芸能事務所の性奴隷にされたり、仕事といって水着撮影ばっかりで、現場では着替え中のヌードも撮られてるし、調教が済んだら風俗かAV女優に売られるもの。」

 谷子は本が大好きなだけの純粋な女の子でした。ほんのおねえさんは、良い子のみんなの味方である。


つづく。

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