新学期
「間に合った!」
16才の谷子は冬休みも終わり新学期が始まる。
「高校へ行くわよ! 怪獣ちゃん!」
「待って! お姉ちゃん!」
谷子は姉の栞と共に高校へ旅立つ。
「学校に行くの嫌だな。だって冬休みの宿題やってないもの。」
「そうなの。私に任せて。宿題終われ! エル・エル・エルメス!」
栞は魔法で谷子の宿題を終わらせる。
「やったー! 宿題ができた!」
「どんなものよ!」
「お姉ちゃん大好き!」
「キャッハ!」
渋井姉妹は今日も行く。
「でも、お姉ちゃん。学校に行くの嫌だ。」
「なぜ? 宿題も終わったのに。」
「だって学校にはいじめっ子がいるもの。」
「しまった!? ドキ子ね!? 忘れてた!?」
土器ドキ子は、自分は谷子の親友だと思っている。迷惑ないじめっ子は、そういうものである。
「なぜかドキ子には魔法が効かないのよね。困ったわ。」
「まさか!? 魔法を防げるというの!?」
「とりあえず相手にしないのが一番ね。がんばろう!」
「おお!」
冬休みの宿題にいじめと高校生は勉強以外で大変だ。
「でも学校に行くの嫌だな。」
「怪獣ちゃん。もう遅刻するから、そのフリはやめましょうね。」
「うん。」
こうして渋井姉妹は高校を目指す。
「遅い!」
渋井姉妹の前に泪が立ち塞がる。
「ごめんごめん。お待たせ。」
「おはよう。泪ちゃん。」
「集合時間に10分遅刻だぞ!」
立ち塞がる、待ち伏せするとは待ち合わせのことだった。新学期初日、一緒に学校へ行こうというのだ。
「あれ? あと一人足らないな。」
「結ちゃんも遅刻だ。」
せっかくなので魔法少女の高校生ネームもできたことだし、魔法少女3人で仲良く谷子の学校に通うことになった。
「違う。結はあそこよ。」
泪が指を指す方向を見る渋井姉妹。
「ゲッ!? 朝マック!?」
結はモーニングをしていた。
「あんたたちが待ち合わせに遅刻するから「私は朝食を食べてくる」だって。」
結は朝食を愛する魔法少女。
「どうするの!? このままじゃ、新学期早々遅刻しちゃうぞ!?」
「遅刻は嫌!? 先生に怒られる!?」
やっぱり怒られたくはない渋井姉妹。
「どうする結を呼んで来るか?」
「無理だろう。結は朝食を食べ終わるまでは出てこない。それに食後の紅茶も飲むはずだ。」
「完全に遅刻だよ!?」
谷子たちは困り果ててしまう。
「あなたたち何を騒いでいるの? ゆっくりと朝食も食べれないじゃない。」
そこに結がやってきた。
「おまえが原因だろうが!」
「そうなの?」
「早く学校に行かないと遅刻しちゃうよ!」
「大丈夫よ。だって私たち魔法少女だもの。朝食を食べ終わったら、時間を戻して、学校に行けばいいのよ。」
「おお!? その手があったか!?」
魔法があれば何でもできる。
「あんたたちも朝食を食べれば。美味しいわよ。」
「食べる食べる!」
「やったー! モーニング! モーニング!」
魔法で時間を操れると何とでもできてしまう。谷子たちは遅刻が怖いものではなくなった。
「魔法って、便利だね。」
「日常モノって平和でいいね。グダグダしていても許される。」
「話に困ったら新しい魔法少女を追加すればいいんだもの。」
「キャラクターとして生まれるなら、やっぱり魔法少女がいいわね。」
谷子たちは美味しく朝食を食べたらしい。
「遅い! ホームルームが終わっちゃったじゃない!?」
その頃、学校では新学期の顔合わせの初日が終わった。
「谷子ちゃんは初日からサボりね! 殺す!」
ドキ子は親友と思っている谷子が来なかったことに怒っていた。しかし、ドキ子は知らない。このあと朝食を食べ終えた魔法少女が時間を戻し、もう一度、新学期初日の高校が始まることを。
つづく。




