第3の魔法少女
ここは悪の総本山、渋谷の質屋の店の中。
「お呼びでしょうか? 悪の総統ブランド様。」
誰もいない質屋の中に一人の女の子がいる。
「よく来たティファニー。区長とセンター街会長から直々の要請がきている。」
女の子の名前はティファニー。
「なにかあったのですか?」
「最近、魔法少女エルメスというものが、この平和な渋谷の街で、2020エルメス降臨祭なる暴動を計画しているらしい。」
「まあ!? なんというテロリズム!?」
「ハロウィン、カウントダウン、ニューイヤー、日本代表のサッカーの試合だけで渋谷の暴挙。これもエルメスの仕業らしい。センター街の人々もお客さんを表参道に奪われて、売り上げが下がると困っている。」
構図は、渋谷のテロの首謀者悪い魔法少女エルメスと、渋谷区長やセンター街会長から直々に依頼を受けた正義の魔法少女ティファニーの戦いということになる。
「分かりました。渋谷の街は、このティファニーが守ります!」
唐突だが、整合性のある視点を変えた素晴らしい前フリである。
ここは早朝の渋谷のファーストフード店マクドナルド。渋谷には3店舗もある。
「夜勤明けなんだ。眠いよ。」
自衛隊で働く魔法少女ルイヴィトン。
「おまえ恥ずかしいから、魔法少女の衣装で出歩くなよな!」
その友達の栞。
「コスプレです! って言っとけば、魔法少女だろうが、自衛隊のアーミー衣装でも大丈夫だ。」
それが渋谷である。
「私にも女子高生ネームをつけてくれ! 働くより、高校に通っている方が楽だ。」
「そう言えば、怪獣ちゃんのクラスメートに女子高生自衛官がいたような。」
同じ魔法少女のエルメスとルイヴィトンは大の仲良し。
「あっちはあっちで楽しそうだ。ワン。」
「関わらないのが一番の平和です。ニャア。」
「ご主人様たちは、自分を正義のヒーローとして売り出すために、悪役を探してますからね。」
「アホ~。エルメス、ルイヴィトン。アホ~。」
「zzz。」
魔法少女の5人の家族たちは、朝マックを食べてエルメスたちに関わらないようにしている。なぜなら危険だからだ。
その時、一人のズボンをずらした渋谷ヤンキーがゴミの分別もしないで食べたものをゴミ箱に捨てた。
「ああー! 悪者発見! ゴミを分別しなさい! エル・エル・エルメス!」
「防毒マスク着用! 撃て! 猛毒サリンミサイル発射! ルイ・ルイ・ルイヴィトン!」
渋谷ヤンキーはゴミの分別もし、猛毒を吸い込み逃げることが出来なくなった。
「正義のヒーロー、魔法少女の勝利ね!」
栞とルイヴィトンは防毒マスクを顔に着けたままで、勝利のポーズを決める。
「し、死ぬ。ワン。」
ケーリーたちは猛毒を吸い込みピクピクしている。
「あんた、日本の自衛隊が毒ガス兵器を使っていいと思ってるの?」
「いいじゃない。既に核爆弾だって使ってるんだから。」
「そうね。キャッハッハ!」
細かいことは気にしない。それが魔法少女。
「店内の毒ガスを消臭。ティファ・ティファ・ティファニー!」
マクドナルドに散布された毒ガスが消えていく。
「おまえは何者だ!?」
「私は第3の魔法少女、ティファニー。」
「ティファニー!?」
「私の朝食を邪魔する者は何人たりとも許さない!」
ティファニーは朝食に強いこだわりを持っている。
「残念! 10時30分を過ぎました! 朝マックは終了です!」
「見ましたか! お巡りさん! あの女ですよ! 騒ぎを起こしたのわ!」
「ええー!?」
こうして濡れ衣を着せられたティファニーは渋谷警察に逮捕された。
「朝から良いことをするって気持ちいいわ。」
「きっと昼のニュースで、現役、自衛官、渋谷で悪人を逮捕のお手柄って出るわよ。」
「キャッハッハ!」
エルメスたちの活躍で渋谷の平和は守られた。
つづく。




