整合性をぶっ飛ばせ
ここは渋谷のマンションの屋根裏部屋。
「渋井谷子の奇跡、製作委員会を開催します!」
「ワン。」
「ニャア。」
栞とケーリーとバーキンは話し合いの入る。
「今回、9才の怪獣ちゃんの友達が初登場。桜ちゃんと南ちゃん。」
ここで問題が発生した。
「そこで5才の純粋な瞳の子共から質問のおはがきが届きました。9才の谷子の友達のみなみちゃんは、将来は最強の歯科助手になるんですか? もしかして怪獣ちゃんとみなみちゃんはクラスメートなんですか? こういうお便りが届いたの。どうしたらいいと思う。」
子供の夢を壊す訳にはいかない。
「もうクラスメートの友達でいいんじゃないですか? ワン。」
「でも、そうすると谷子さんの友達だと16才設定だから、最強の歯科助手のみなみちゃんと年齢設定が合わないので整合性が合いませんよ。ニャア。」
ケーリーとバーキンも悩む整合性の無さ。
「どうしよう? 魔法で同い年にしてしまう?」
魔法があれば何でもできるの原則。
「無理があり過ぎますよ。谷子さん16才と、みなみちゃんは19才なんですから。ワン。」
「こうなったら同姓同名の別人ということにしときましょうよ。ニャア。」
「こういう偶然の一致って困るわ。」
栞たちは頭を抱えて悩んでしまう。
「南ちゃんには、みなみちゃんというお姉さんがいたというのはどうかしら?」
「ダブル南というやつですね。ワン。」
「姉妹ネタは、渋井姉妹だけで十分ですよね。」
今回の課題に打つ手が思いつかない。
「仮にみなみちゃんが南ちゃんであった場合、19才のみなみちゃんは、16才から成長したということになるわね。」
「過去の行けたということは、未来にも行けるということですよね。ワン。」
「エルメス様。未来の世界に行くとか言い出さないで下さいよ。ニャア。」
嫌な予感がケーリーとバーキンを襲う。
「ケーリーとバーキン! 未来の世界へ行・・・かないわよ!」
「おお!? エルメス様が踏みとどまった!? ワン。」
「奇跡だ!? どこにでも首を突っ込む人なのに!? ニャア。」
なぜか栞は未来の世界には行かないと言う。
「人をゴキブリみたいに言わないでちょうだい。私が未来に行かない理由は簡単よ。今から未来に行ったら尺が足らないからよ。それに謎のままにしておく方が視聴者も感心があるでしょう。」
「伏線をはりまくって、放置するというやつですね。ワン。」
「謎が謎めくミステリーですね。ニャア。」
整合性を考えるだけでミステリー小説にもなる。
「ミステリー小説って、なんか重たいわね。」
「確かにちゃらんぽらんなエルメス様には無理ですね。ワン。」
「そうですね。今年は良いことをするぞ! と正義のヒーローになると思ったのに、もうやめてますからね。ニャア。」
三日坊主どころか、正月三日すら栞の今年の目標は破られた。
「好き勝手、自由奔放で生きてきた私が、本当に正義のヒーローになれるのかしら?」
「大丈夫ですよ! エルメス様なら正義のヒーローになれますよ!ワン。」
「良いことをしましょう! 大衆は良いことが大好きです! 目指せ! 一日一善! ニャア。」
ケーリーとバーキンはご主人様のエルメスを励ます。
「おお! 私は猛烈に感動している! なんて良い家族をもったんだ! 私は幸せです!」
「私もエルメス様に拾ってもらって幸せです! ワン。」
「がんばって、エルメス様の降臨祭を実現させましょうね! ニャア。」
栞とケーリーとバーキンは3人で家族である。めでたし、めでたし。
つづく。




