記憶を取り戻せ!
ここは渋谷のマンションの屋根裏部屋。
「なぜ我が家にあんたがいるのよ?」
ここは言わずと知れたエルメスの家。
「そんなことを言わないで!? 私の設定も考えてよ!?」
そこに記憶喪失のようなルイヴィトンがいた。
「話の中で設定を決めろなんて、おまえはアンドロイドか?」
「何とでも言って!? 私もあなたと戦えるような設定にしてよね。」
「なぜライバルを育てねばならないの!?」
「いいじゃない!? 永遠のライバル設定なんだから!?」
この会話を続けていると徹夜してしまうので話を進める。
「エルメス! あなたはどうして銀河系最強の魔法使い設定になったのよ?」
ルイヴィトンはエルメスのことを聞きたかった。
「お星さまにお願い事したから。」
その通り。元々エルメスは「通行人Bの女の子」だった。それがお星さまにお祈りしたがためにCPUからキャラクターに生まれ変わったのだった。
「バカじゃないの!? お星さまにお願い事をしたからって、そんなに人生が変わっていい訳がない!?」
ルイヴィトンはバカバカしい話とエルメスの言うことを信じない。
「でも、言った通りだもの。星に願い、惑星に願い、月に願い、太陽に願い、銀河に願ったのが私だもの。ほれ、証拠の銀河系最強の魔法の杖、ギャラクシー・ロッドよ。」
「マジなのか!?」
ルイヴィトンはエルメスの話を信じ始めた。
「なぜ私が最強かというと、星座と銀河は聖闘士星矢。月と惑星はセーラームーン。太陽は走れメロスって感じかしら。これら全てを司るのが私。だから銀河系最強の魔法使い、からの魔法少女って感じかな。」
ここまで分解するとイメージがしやすいだろう。
「先輩! お姉さま! 永遠のライバル! 私もカッコイイ設定にしてちょうだい!」
「抱きつくな!? 気持ち悪い!?」
完全にルイヴィトンは白旗をあげて、エルメスに救いを求める。
「問題は何にお祈りをするかね。例えば、アリにお祈りするとアリにしか広がらないのよね。でも昆虫にお願いすると、アリだけでなく、カブトムシやクワガタも使えるというのがポイントよね。」
先輩としてエルメスがルイヴィトンに職業をレクチャーする。
「妥当なものは、海、空、天使、悪魔、魔界、天界、冥界、地獄、こんなものかしら?」
「でも、なんだかありきたりよね?」
ルイヴィトンは候補の中から選ぶことが出来なかった。
「なにかいいのはないかしら?」
「天使でいいじゃない。ミカエルやラファエルも使えるし。」
「エルメス。あなたのカテゴリーを分解して、私に寄こしなさいよ。」
「嫌よ。文句を言うなら出て行ってもらうわよ。」
その時だった。屋根裏部屋にスランプの暗闇を切り裂き、神々しくアイデアの神が降臨する。
「決めた! 私、軍隊系最強の魔法少女にする!」
「ぐ、軍隊系!? なによそれ!?」
「言葉の通りよ。最終兵器は核爆弾! 核兵器の一種で、核分裂連鎖反応や核融合反応を利用した爆弾。て感じのマニアチックな説明を入れればいいだけでしょ。これなら私も使える! ワッハッハー!」
その時だった。自分の設定が決まって喜ぶルイヴィトンは核爆弾のボタンを押してしまう。
「え?」
その瞬間、ドカーンとエルメスの屋根裏部屋の部屋は爆発した。
「んんな、アホな。」
真っ黒こげのエルメスは口から煙を吐く。
「私は軍隊系最強の魔法少女に決めた!」
ルイヴィトンの設定が決まった。もちろんルイヴィトンも真っ黒こげである。
「バタ。」
エルメスとルイヴィトンは2人で仲良く倒れた。
つづく。




