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親睦会

 ここは渋谷のマンションの屋根裏部屋。

「ハロウィーン、年越しカウントダウン、日本代表のサッカー、そして、とどめがエルメス降臨祭! ちゃんと渋谷警察に出動してもらわなくっちゃ。」

 エルメスは独り言のように何かを呟いている。

「何を言ってるんですか? エルメス様。」

 ケーリーとバーキンが心配そうにエルメスに問う。

「渋谷のスクランブル交差点やセンター街で大人数で騒いでも良い日を考えてるのよ。」

 ちゃっかりと自分の降臨祭も渋谷で暴動して良い日に入れている。

「それよりも、あんたたち。今日はルイヴィトンの使い魔たちと親睦を深めるお食事会でしょ? 楽しんできてね。」

「面倒くさいです。」

 ただのキャラ作りをしていない新キャラクターの設定作りのための親睦会である。

「あんたたちも、どっちがケーリーで、どっちがバーキンか分からないわよ。どっちが犬で、どっちが猫よ?」

 飼い主のエルメスですら自分の使い魔の存在感を心配する。

「そんな!? 酷い!? それでもご主人様ですか!?」

「ほらほら。そこよ! 普通は2匹なら2会話入る所が1会話しか入ってこない。あんたたち危機感を持ちなさい。危機感を。」

「それは困ります!? ワン!」

「そうだそうだ! ニャア!」

「遂に鳴き声を入れ始めたか!? やるわね!? でもケーリーは犬? それとも猫? バーキンは犬? それとも猫? さあ! どうする?」

 完全に他人事と思い遊んでいるエルメス。これが大人の遊び心というものだ。

 ということで、使い魔5匹の親睦会が始まった。

「エルメス様の家族の犬のケーリーです。ワン。」

「同じくエルメス様の家族の猫のバーキンです。ニャア。」

「ルイヴィトン様の家族の小鳥のモノグラムです。ちゅん。」

「あれ? 雀になったんじゃなかったですっけ? ワン。」

「小鳥の方がブランドイメージが良いので。どうして雀なのよ!? とか、苦情がきたら困るじゃないですか。ちゅん。」

「ちゅんは小鳥で、ちゅんちゅんは雀なんですね。ニャア。」

「アホ~、アホ~。」

 そのやり取りを見ていたカラスのヴェルニが鳴いた。

「何を!? このアホガラス!? ワン。」

「まあまあ。悪気はないんです。ヴェルニは上手にしゃべることが出来ないんです。日本にやってきた留学生みたいなものです。許してあげて下さい。ちゅん。」

「そういうことなら仕方がないね。ニャア。」

「アホ~、アホ~。」

「でもなんかムカつく。ワン。」

「そして最後がフクロウのダミエ。ちゅん。」

「zzz。」

 フクロウのダミエは眠っていた。

「昼間は寝てます。ちゅん。」

「それでいいんですか!? ワン。」

「私はこうなると思っていました。ニャア。」

 結局、魔法少女ルイヴィトンの家族の3鳥は、小鳥のモノグラムしか役に立たないくせに、美味しい所を持っていこうとするカラスのヴェルニとフクロウのダミエという設定になり、親睦会は終わった。

 ということでケーリーとバーキンはエルメスの元に帰って来た。

「おかえり親睦会は楽しかった?」

「ええ、楽しかったですよ。ワン。」

「疲れた・・・。ニャア。」

 犬のケーリーと猫のバーキンの苦難は続く。


つづく。

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