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第八話 早くも優等生扱い!?

小鳥がさえずる中、終一はいまだに眠っていた。

多忙であった入学初日を考えたら当然であった。

が、その終一の寝込みを襲うとシャーロットが気配を消して近づいていく。

彼女は終一の上に跨り、小さな声で確認をする。

「ねぇ、もう起きてる?」

シャーロットは昨日と同じTシャツ一枚だけの恰好をしていた。

傍からみたら夜這いをかける美少女にしか見えない。

彼女の目的は一つ。

昨日の終一の血があまりにおいしかったため、また吸いたくなり寝込みを襲ったのだ。

いわゆる吸血衝動に押し負けてしまったのだ。

「よし、起きてなさそうね。では、いただきまーす。」

そう言うと、シャーロットはそっと今度は耳を甘く噛み血を吸い始めた。

終一は少し悶えてから目を覚ましてしまった。

耳に軽い痛みを感じた終一はそれが何かを確認する。

「う~ん、なんだ?」

終一の前には耳の痛みより強烈な光景が広がっていた。

それは下着が透けて見えてしまっているシャーロットの胸が軽く波を打ちながら跳ねていた。

それ見た瞬間、終一は興奮しシャーロットの噛んでいる耳から多量の血を放出した。

吹き出た血にびっくりしてシャーロットが声を上げる。

「あんっ、急に出さないでよ。」

溢れ出る血をシャーロットは丁寧に舐めとっていた。

「先輩。これはどういう状況ですか?」

なんとなく終一は察していたがシャーロットに一応確かめた。

「あなたの血の味が忘れられなくてつい。てへっ。」

満面の笑みで話、あざとい笑顔でしめていた。

「そんなことだろうと思ってましたよ。俺も約束したんで仕方ないとは思いますけど。

昨日俺が言ったこと覚えてます?」

頭をかきながら終一はシャーロットに昨日言ったことを思い出してもらう。

「昨日?・・・・////」

シャーロットは一部始終を思い出し、終一の股間の事から恥ずかしい言葉まで思い出し、

ささっと彼からどき、後ろを向いて赤くなった顔を手で覆いかぶしていた。

「い、今のはわざとじゃないし、そ、それに恰好だってただ忘れてただけだからね!」

シャーロットがわざとやったことではないと分かった終一は優しく微笑んだ。

「わかりましたよ。でも次は勘違いしますから気を付けてくださいね。」

そう言うと顔を洗いに終一は席を外した。

シャーロットは気を引き締め、朝食のパンをトースターで二枚焼きに行く。

終一の分も作るのはせめてもの償いだ。

コーヒーとサラダも添えて終一が戻るのを待った。

ほどなく終一がリビングに戻り、シャーロットの作った朝食を目にする。

「わー、先輩が作ってくれたんですか?」

きらきらと目を光らせる終一と、横に顔を向けながら答えるシューロットであった。

「さっきのこともあるし、ついでにね。ただパン焼いただけで大げさよ。」

どこか嬉し気にしているシャーロット。

終一にとっては誰かと食べる食卓が珍しいものなのだ。

育ての親と暮らしていたころも共働きで終一一人での食事が普通だったのだ。

朝食を二人でおいしく食べて登校の仕方について話し合う。

「俺がこのまま出たら女の子たちに見つかって大変なんですよね?

だとしたらギリギリまで待って急いで学校に行った方が良くないですか?」

「それでも絶対に見つからないとは言い切れないわ。だから・・・」

なぜか相談した結果、終一が女装をし人気がなくなったところで着替えるということになった。

黒髪ロングのウィッグに女の子用の制服を身に纏い、シャーロットとともに出る終一。

幸運なことなのか終一の女装は誰にもばれないほどクオリティが高い。

そのためシャーロットと並んでも遜色がないほどだ。

そして、人気がいなくなったところで急いで元の姿に戻る終一。

「あん、残念。もっと女装姿を見ていたかったのに。」

本当に残念そうに語るシャーロット。

「もう金輪際こんな格好はしませんからね!」

投げ捨てるように言う終一。

「それは残念だな~。」

ジト目で終一を見るシャーロット。

「ま、これ以上一緒にいると怪しまれるからわたしは先に行くね。

放課後に第二研究室まで来なさいよ。じゃね。」

終一に放課後の約束を取り付け颯爽と駆け抜け学院へ走っていく。

「まぁバラされずに済んだから良かったか。放課後が憂鬱だ。」

ずーんと肩を落としながら自分の教室へ足を運んでいく。

終一が教室に着いたころに丁度、キーンコーンカーンコーンとホームルームが始まる鐘の音が鳴る。

他の生徒は席についており、終一が席に座った瞬間、メリーが教室の扉を開ける。

「日直号令!」

そう端的に伝えると今日の日直が、

「起立、礼、着席。」

と歯切り良く号令をかけた。

「えーではさっそく昨日の身体測定の結果に基づき午後の実践授業の週間受講量を伝える。」

一番から順番に一週間に受ける実践授業の数を伝えていき終一の番になる。

「最上終一。あなたは実践授業を受けなくて良いと学院長からお墨付きを受けている。

他の教育科目に抜かりがないように努めるように。」

そう話されると、終一は納得できずにいたが心の中で自問自答をした。

(俺が実践授業免除?あり得ない。だが学院長との手合わせで何かあったのなら辻褄が合う。

だけど肝心の俺の記憶がないんじゃ憶測でしかない。だけど人間である俺が他のアクマに勝っているとは

どうしても考え難い。)

そう真剣に考えて真面目な顔をしていると隣のイクタが終一に声をかけた。

「終一。お前いいなぁ。実践がないなんてよ。俺なんか週三授業だってのによ。」

羨ましそうに終一に話すイクタであったが、

週三だけの実技というの彼もそれなりの実力者という意味でもある。

「出るなって言われても俺自身はそんなに実践強くないから正直不安だよ。」

思っている以上に不安を抱いてる終一とは裏腹にイクタは悪気なくさらに追い打ちをかけていく。

「何言ってんだよ。特待生で希少種のお前が実践強くないわけないだろ?

そんな謙虚なところは俺は好きだけど他の奴には火に油を注ぐことにもなるから気をつけろよ。」

親切で忠告してくれるイクタの言葉が痛い終一。

自分が人間でこのクラスの誰よりも弱いと自覚している終一は一刻も早く力をつけたいと願っていた。

そして午前中に日本の高校生と同じ教科(歴史のみアクマ学)を学び

本当なら終一は午後から暇を持て余すところであるが、ある人から学校支給の携帯から連絡が入る。

終一は携帯の声を聞いてすぐに誰かわかった。

「ちょっと今日はどれくらいに終わりそうなの?」

そうシャーロットである。

学校支給の携帯には、在学生はもちろん新入学生全員に面識があれば誰にもかけれるように

端末に魔術がプログラムされている。

それでシャーロットは終一に電話をかけてきたのだ。

「え?先輩ですか?今から暇になりそうですけど。それよりなんで俺の番号分かったんですか?」

終一にはとても不思議なことでシャーロットに尋ねることにしたのだ。

「はぁ?学校の携帯は相手の顔が分かれば繋がるようにできてんのよ。

まぁしっかりと相手の顔も認識してくれないといないと繋がらないけどね。

それより今から暇なら第二研究室に来なさい。いいわね。」

シャーロットには携帯は当たり前でなぜ聞かれたのかわからなかったが、しっかりと答えた。

それから終一に自分の研究室に来ることだけ伝え切ってしまう。

「えっ?先輩?第二研究室ってどこだー!」

耳から聞こえるのはツーっツーっと切れた音だけ、

終一はどこにあるか分からない第二研究室を探す羽目になる。


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