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第三話 身体測定と学院長!?

(特待生は個別で身体測定をすると言われていたけど、

女子の中に一人待たされるのは嬉しいがさすがに居心地が良くない。)

終一はそんな思いをしながら教室の端に移動し少しそわそわしていた。

周りは珍しい者を見るような視線を終一に送りながらひそひそと話をしている。

「誰かあの特待生と話してきてよ。」

「私は無理だよ。男の人と話すの緊張しちゃう。」

「あっじゃああたし行こっかな~。結構好みのタイプだし。」

「そんな抜け駆けはずるいよ。私も行く。」

「あたし一人でいいよ~。」

「ダメ。あんた一人で行かせたらろくな事がないんだから。」

特待生の終一が気になり、既に出来ていた仲良し四人グループが

終一に聞こえそうな勢いで話に花を咲かせいている。

そう四人が話している前を颯爽と歩き、一人の女生徒が終一の前に顔を覗かせた。

それに気づき終一が目をやると、ふわりとなびく髪とスカート優しく微笑む姿は

あまりに美しく一つの芸術になっていた。

終一が女生徒に心奪われていると

「最上くん。お話してもいいかな?」

終一はふと我に返り、

「え、ああ。えーとアリスさん・・・だよね?」

「名前覚えてくれてたんだ。ありがとう。」

そう同じ特待生のアリスが終一に声をかけていた。

名前の言われ嬉しそうにし両手の指を重ね合わせている。

あざといと思われる行動もアリスがやると普通にみえてしまうのだから不思議だ。

「最初に会ったクラスメイトだからね。それでアリスさんは俺に何かようかな?」

終一は照れ隠しのために頬を軽くかきながら目線を泳がせアリスに聞き返す。

「最上くんとお話しに来たんだよ。それと、アリスって呼んでくれていいからね。」

にぱぁと歯を見せながらアリスは終一に言い、

それも普通の子であればあざとく映るのだがやはりアリスは自然とやってのける。

「じゃあ、俺のことも終一でいいよ。」

「終一くん?最上くんが名前じゃないの?」

アリスの頭に?マークが飛んでいた。

「俺は名前が後になっているんだ。」

「そうなんだ。じゃあ終一くんは希少種なのかな?」

「ああそうみたいだ。」

「そうみたい?」

「実は俺希少種のことに疎くて自分がそれだなんてさっきまで知らなったんだ。」

「希少種の人ってみんなそんな感じらしいよ?」

「そうなのか。」

ふと終一は自然とアリスと会話していることに気が付き、

(あれよく考えると、俺普通に女の子と話してる?しかもアリスみたいなめっちゃ可愛い子と!?

何気に下の名前も呼んでもらってるよな!?)

なんてことを考え始め顔がみるみる赤くなっていくのが自分でもわかる終一だった。

「あれ終一くん顔赤いよ?熱でもあるのかな?」

アリスが近づいて終一の頭に手を触れようとした。

だが終一は恥ずかしく一歩下がろうとしたが、

目の前にアリスの巨乳が迫ってくるのが見えそれに夢中になった。だがすぐに我に返り、

「だ、大丈夫だよ。」

「そう?気分が優れなかったらすぐ言ってね。」

好奇心より羞恥心が勝り終一はさらに真っ赤になった顔を見せまいと後ろを向く。

内心はドキドキでかなりの鼓動を鳴らしていた。

アリスはというと自分のしていることに気づかず笑顔と穏やかな雰囲気を振りまいていた。

天然の小悪魔とはなんとも怖いものだろうか。

「そういえばアリスも特待生なんだよな?」

まだ恥ずかしいのでアリスを見ずに終一は言っていた。

「そうだよ。私は家の都合もあって特待生にしてもらえたの。」

眉を八の字に曲げ、少し弱々しく笑ったアリスを見て

終一は自分の聞いたことがアリスには聞かれたくないことだと悟る。

「悪い。聞かれたくないこともあるよな。」

終一は軽く頭を下げて謝る。

「いいよ。自分で言ったことだし。それに終一くんだから言っちゃったのかな。」

少し気恥ずかしそうに笑いながらアリスが終一を見る。

「っ~。」

からかわれているのかさえももはや終一にはわからなかった。

間が良いのか悪いのかメリーが勢い良くドアを開けた。

クラス中がメリーに注目した。

「では次、特待生二人を除く女子生徒は私についてきてください。」

少し雑談をしながらクラスの女子生徒はメリーの処へ集まり

そのまま測定場所の保健室へと向かっていった。

教室にはアリスと終一以外は誰もいなくなり辺りは静まり返っていた。

「誰もいなくなっちゃったね。」

少し困り顔で終一の方を見ながらアリスは言う。

(いきなりこんなシュチュエーションになるなんて考えてなかった)

そう思いながら身体を硬直させ返事が出来ない終一。

教室に男と女が一人ずつ、しかも相手はあどけなさが残るがかなりの美人。

男にとってこれ程に恵まれた空間はない。

それを意識してアリスも少し頬を赤く染めていた。

無言が続く教室に耐えられず終一はアリスに声をかける。

「せ、先生遅いな?」

「うん。そうだね。」

二人とも互いを意識するあまり互いを見ずに会話をするが続かない。

(女の子と話したことないから何話したらいいかわかんねぇ。)

などと終一が考えていると同時にアリスも

(男の子と二人きりって考えたら初めてかも。どうしたらいいのかな。)

時が止まったかのように時間が長く感じ、秒針の音が教室を満たす。

互いに同じようなことを考えて俯いているとガラッと教室の扉を開ける音が聞こえ、

びくりと心臓が飛びだしそうな勢いで体を動かした二人。

「遅くなり申し訳ありません。最後に特待生の二人ついてきてください。」

「「はい。」」

二人は思っていた声よりも大きい声出し答えていた。

メリーの後をついて行く終一とアリス。

次第に教室から離れ、二つの大きな部屋の前へと進んでいた。

「ここで二人に分かれて身体測定をしてもらいます。アリスさんは私が担当致します。

終一くんは右の部屋へ、アリスさんは左の部屋へ入って下さい。終一くんの担当者は中で待っています。」

「はい。わかりました。」

そうメリーに告げアリスは部屋の中へ入っていった。

終一もアリスが部屋へ入るのを見てから右の部屋へ入っていった。

二人を見届けアリスのいる部屋へメリーは入った。

「終一君。先程ぶりじゃな。」

そう終一に話しかけたのは部屋の真ん中で椅子に座っていた学院長だった。

「学院長!?なんでこんなところにいるんですか。」

驚きのあまり興奮して大きな声を上げた終一。

「身体測定はわしがやると言っておったじゃろ。」

笑みを浮かべながら終一の問いに答えた。

「あっそういえばそんなこと言っていましたね。」

すっかり頭の中から学院長の言葉が抜けていた終一は彼の今の言葉で思い出していた。

「思い出したか。この部屋は魔術で外部とは遮断してある。

故に今君が人間であることは一緒にいるわしにしか分からん。

じゃからまずは身体測定をささっと済まし、少し特訓をしておこうと思っとる。」

嬉々とした表情で話している学院長に終一は生気を吸い取られた人間のように落胆している。

びっしょりと冷や汗をかき頬が引きつりながら終一は聞く。

「が、学院長。と、特訓とは一体何を?」

「勿論、わしと手合わせじゃ。」

満面の笑みを浮かべ学院長は終一を見つめている。

先程見た華奢な身体とは打って変わって白いローブの上からでも

はっきりと分かるほどの筋肉が浮かび上がっていた。

(こんな学院長と手合わせなんかしたら俺は死んじまうぞ。)

そう考える終一をさておき身体測定を始める学院長。

目を閉じ右の手のひらを終一の顔の前にかざし、少しだけそのままでいるとそっと学院長は手を下ろした。

「よし。これで身体測定は終わりじゃ。特訓に入ろう。久々に腕がなるのう。」

呆気に取られている終一。何が起きたのか分からずにいた。

「学院長。ちょっと待ってください。今ので・・・終わりなんですか?」

手をかざされただけで身体測定が終わりだということに納得がいっていない終一が当然のように聞いた。

「今ので終わりじゃ。終一君の身体の魔力を測定するのが身体測定の役割じゃ。

わしの手に魔力を集めそれにどれだけ重一君の魔力が反応するかっというのがわかれば良いのじゃ。」

学院長は終一の疑問に丁寧に答えた。

「それで、僕の魔力反応はどうだったのでしょう?」

期待はできないことは分かっても期待してしまい、ごくりと生唾を飲んで終一は答えを待つ。

「ふむ。なんと中位アクマの下の方じゃな。」

学院長はしっかりと間をおいて答え、その答えにずるっとこける終一。

「期待はしていませんでしたが、それって微妙ってことですよね?」

むくりと起き上がり終一は尋ねた。

「確かに微妙な立ち位置ではあるが、終一君が人間であることを考えればとても凄いことじゃよ。

普通の人間では魔力すら持ち合わせていない者がほとんどじゃ。

それが下の方とは言え中位アクマと同等の魔力を持つ人間なぞわしは会うのは初めてじゃ。」

優しい笑顔見せ終一に事の凄さを理解させた。

(俺って実は凄いのか?)

目を輝かせている終一の浮つく心を見透かしたようにすかさず言葉を続ける。

「じゃが、いくら魔力を持っていても使えなければ意味がない。

そのためにわしと心ゆくまで特訓をしようぞ。」

学院長は筋肉を膨張させポーズを決めて終一を見つめる。


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