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二十九話 影使い登場!?

一人終一は保健室に残された。

誰もいなくなった途端に父の一の事を思い出し一人で泣き始めた。

「なんで、なんで初めから父親だって言わなかったんだよ・・・。」

終一は一を父親だと思って話したことは最初で最後の会話になってしまった。

一と会話は何度かしたがそれは赤の他人であるという前提でだ。

父との再会と別れを一度に体験した終一は嬉しさよりも悲しさで溢れていた。

本当に一人になってしまった終一はしばらくそのまま泣き続けた。

その様子をさっき出たシャーロットは保健室のドア越しに聞いてしまっていた。

今慰めに入ったとしてもあまり結果は変わらない、そう思い静かに一人にするシャーロット。

そのまま泣き疲れたのか終一はしばらくしてから保健室のベッドでそのまま寝てしまった。

そのまま朝まで寝てしまっていた。

幸い休日のため終一が長い眠りについても心配する必要ない。

終一が目を覚ましたのは昼過ぎになってからだった。

終一が保健室で眠っていた頃、学院長たちは学院長室にいた。

「終一くん、立ち直れるでしょうか?」

オウカが心配そうに言った。

「彼次第、じゃな。」

学院長は窓の外を見ながら答えた。

「でもー、ルシファー様は結構前から終一君の中のアクマが一さんだって気づいてましたよね〜?」

おとぼけキャラでルルカが学院長に向かって言う。

その事に驚きながらオウカも聞く。

「それって本当なんですか!!」

少し目を瞑り間を空けてから学院長は答えた。

「確かにわしは終一君の中のアクマが父である最上一の可能性が高いと思っとった。」

「じゃあなんでその事を終一君に言わなかったんですか!」

オウカが怒りから熱くなり始めた。

「可能性は可能性じゃ。それに一から話しかけてくるまでわしも信じられなかったのじゃ。

あの魔界で極位にいた一が急に姿を眩まし何年も経った。今になって戻ってくるとはとても思えなんだ。」

学院長は友の死を間近に受け感慨深いものを感じていた。

その姿にオウカも責められなくなる。

「それでも終一君には知る権利くらいあったと思います。」

俯き握りしめた拳が震えながらオウカは終一の事を続けた。

「確かにそうじゃな。これはわし個人の問題。終一君には悪かったと思っとる。」

遠い目をする学院長だった。

「あらあら〜空気が重いですよ〜。

なってしまったことはしょうがありませんのでこれからの事を考えましょう〜。」

ルルカは素知らぬ態度で二人を和ませようとした。

いや、彼女は和ませようとは思っていなかったが結果としてそうなったのだ。

良くも悪くも空気を読まないルルカだった。

「ともかくじゃ、これからは終一君の事気にかけてくれ。わしも出来る限り手伝おう。一の形見じゃしな。」

学院長はまた何処か遠くを見て二人に言った。

「わかりました。」

「はいはーい。」

オウカとルルカは答えて学院長室を後にした。

二人が出たの確認して学院長は言う。

「終一君が生きているのが分かってしまうとまた戦争が起きてしまう。なんとしても阻止せねば。」

「それではどういたしましょう。」

部屋の影から長身の女性が姿を現した。

「聞いておったのか?」

学院長は彼女を見ずに背中越しで話した。

「私はルシファー様の影。いつでもあなた様の側に仕えております。」

片膝を付き学院長に忠誠を誓う女性。

その立ち振る舞いは王に仕える騎士の様な佇まいだ。

それとは裏腹に格好は酷く簡素だ。

黒いローブを一枚羽織っているのみだ。

「堅苦しいのはよすのじゃ。お前さんがわしを慕うのは勝手じゃがそろそろ自分の意思も伝えたらどうじゃ?」

彼女は生死の狭間を学院長に助けられて以来ずっと尽くしてきたのだった。

「この身はルシファー様あってのもの。あなた様のご恩をお返しするまでは尽くすのみでございます。」

片膝を付き頭を下げたまま彼女はそう告げる。

「もう十分じゃと思うがのぉ。・・・五年・か。」

学院長は頭を少し掻きながら彼女との出会いを思い出す。

「まぁお前さんの力が必要なのも事実じゃしな、また頼らせてもらうぞ。」

少し考えてから学院長は彼女に言う。

「ありがたき幸せ。ではまずはその生徒の周辺の警戒並びに調査を開始いたします。」

「頼んだぞ。」

彼女はそのまま部屋の影から闇に消えていった。

「忘れ去られし遺産・・か・。終一君に良い影響を与え、そして受けて欲しいのう。」

学院長は一人呟く。

先ほどの彼女はエリカ・シャドーバック。

闇魔術である影使いだ。

影使いは一子相伝によりある種族にしかいない。

その種族も五年前のある大規模実験により滅んでしまったのだ。

彼女を除いては。

唯一の生き残りの彼女は生きる意味を見出せなかったが助けられた学院長のために働くことを生きる意味として生き残ってきた。

学院長も最初はそれで生きてもらえるのならと良しとしたが、今では自分のために生きて欲しいと願っている。

そんな彼女と終一との出会いは衝撃的だった。

文字通りの衝突から出会うのだ。

エリカは終一の動向を監視すべく終一の部屋へと向かった。

だが、そこには誰もおらず静寂で包まれていた。

それもそのはずだ、この時終一は保健室で眠ってしまっているのだから。

「じき、戻ってくるか。このまま彼の部屋を調べよう。」

エリカは終一の部屋へと難なく入りどういった生活をしているのか調べた。

「これは一体。」

エリカは調べれば調べるほど終一という存在が平凡そのものだと思い知らされる。

そして、自分と同じ一人で生きていたことに気がつく。

終一は周りに合わせているが基本的に一人で行動をしようとしている。

その成果なのか、部屋のあちこちにこの魔界の事を調べた形跡がある。

終一はこの世界に来てからずっと一人で魔界のこと、学院の事、魔術の事を調べていたのだ。

しかも誰にも悟られない様に。

だがエリカには分かってしまった。

それは彼女もまた学院長のためとはいえ、長く一人で何かをしようと足掻いているからだ。

終一に身寄りがないことも聞いておりエリカは他人事だと思えなくなっていた。

そしてとある写真を見つけてしまう。

他の誰もが見つけることが出来なかった終一と母の光、そして一が写っている写真を。

エリカはこれを見たときに涙してしまう。

影使いに感情は不要なもの。

しかしエリカは泣いてしまった。

終一という似た境遇に感情移入してしまったからだ。

ほんの数刻だがエリカは仕事を忘れてその写真を眺めていた。

そしてはっと気づくと仕事に戻った。

「私にまだこんな感情が残っていようとは。」

エリカの目は生きているのか死んでいるのか分からない状態にあったが、これをきっかけに少しずつ生気を取り戻してくことになる。

そのまま一晩エリカは終一の部屋を監視するが本人が帰って来ず思った成果はあげられなかった。

学院に戻ろうとエリカは走っていた。

丁度反対から終一も部屋に荷物を取りに走って戻っていた。

そしてそのままラブコメのようなぶつかり方をして二人とも倒れる。

「うわっ!」

「きゃっ!」

終一はそのまま後ろにこけるが、エリカは盛大にひっくり返った。

なんだ、と思い終一の前には思わぬ光景があった。

「履いてない、だと。」

そうエリカはローブの下に何も着ていなかった。

そのため終一の前にはありのままの姿のエリカがいたのだ。

慌ててエリカはローブを元に戻そうとするが頭に被さったローブのせいで一向に解決しなかった。

終一はなんて素晴らしい景色だ、などと思っていたがエリカの余りのドジっ子さにすぐ手助けする。

「ほらよ。」

「ありがとう・・ございます。」

エリカは羞恥心で顔が真っ赤になっていた。

「まぁ俺も悪かったからさ。じゃあ俺急ぐから。」

終一はそのまま走って部屋へと向かおうとした。

エリカは羞恥心で見れなかった終一の顔を見て任務を遂行しようとした。

「私も急ぎの用がありますので。」

そう一言だけ言って終一を見送った。

そして終一がエリカの気をそらしたらそのまま尾行を始める。

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