二十八話 一と終一、そして!?
「うっ・・・くっ・・はぁっはぁっ。」
過去の記憶が終一の頭に入ってくる。
しかも終一の記憶にない記憶が。
「このままだと危ないかも!」
オウカの治療術を持ってしても魔力の枯渇が激しくこのままでは魔力がなくなり終一が死んでしまう。
「くっ!このまま見ていることしかできんのか!」
学院長ですらお手上げ状態だ。
魔力とはその個人特有で代わりになるものはない。
魔力を変換させて魔力を送ることも可能だがそれはオウカのような治療術の最高峰の技術で魔術を発動させてもこのような状態だ。
血縁者であれば種族や魔力の質など関係なく分けることが出来るが終一の血縁者などいない。
いくら魔力があってもなにも出来ないのだ。
「ヤレヤレ。ナンテザマダ、サタン。」
終一のアクマが会話に割って入る。
「お、お主は!?もしや一か!」
学院長は一が終一の中にいるアクマだと考えていたが可能性の一つとしか思っておらず本当に一だと分かり驚いた。
「ヒサブリダナ。ユウチョウニハナシテルジカンハナイガナ。」
一はそう学院長に言う。
「確かに終一君のことは一刻を争うがどういうことじゃ?」
一の言葉に学院長は真意を見出せない。
「イマカラオレヲバイカイニシテシュウイチノマリョクヲフヤス。」
その言葉を聞いた学院長が驚く。
「待て!そんなことをしたらお主が!!」
そう一の魔力を媒介にして魔力を送るということは生命そのものを終一に渡すという事だ。
もちろん一は死んでしまう。
そのことが分かるのは学院長のみだった。
「サイゴクライ、オヤラシイコトヲサセテクレ。」
学院長はその言葉に何も言えなくなった。
「・・・・わかった。」
そして一言だけ絞り出した。
「オレニモコンナカンジョウガアッタンダナ。
ヒカリイマイクゾ。」
一は一人そう呟き魔力を終一に一気に送り始めた。
学院長と話す前から一は魔力を送り始めていた。
そのため終一の知らない記憶、一の記憶が終一に送り込まれていたのだ。
終一はやっと自分の中のアクマが父親だとわかるが、
起きた時には一は居なくなっている。
親子として会話することは現実では叶わない。
だが、今精神の中では二人が入り混じったようになっているため奇跡的に会話をすることが出来た。
「終一。父としては初めて話すな。光、お前の母さんとの約束を守れずにいなくなる父さんをどうか許しておくれ。」
「父・・さん?俺には約束とかはわからないけどこうして父さんと初めて会えて嬉しかったよ。」
終一の精神世界では終一と一が人間の姿で話をしている。
「このまま父さんが居なくなっても終一は一人じゃない。終一の中に父さんも母さんも一緒にいるからな。」
一は終一を優しく抱きしめるように近づきそう言った。
終一はその言葉にただただ泣いてしまって居た。
一人アクマの学院に通う終一にとって初めて弱みを見せていい場所に緊張が解けてしまったからだ。
「さぁそろそろ時間だ。」
いちが上を向いたまま終一に話しかける。
「あぁ。母さんにも言っといてくれ。
二人の息子はアクマの世界で元気にやってるって。」
涙を拭きながら終一は精一杯の笑顔で一を見送る。
「伝えとくね。それから終一。魔術は時に人やアクマを振り回す。どんな者でも、だ。それが分かっていれば終一はすぐに魔術を使いこなせるようになる。
俺の自慢の息子だからな。」
一はそう言って徐々に姿が薄くなり消滅していった。
終一は自分の中に父である一の魔力が入っていくのを感じていた。
「しゅ・・・い・・ち・・・終・・い・ち・・・終一!」
記憶のフラッシュバックかと思いきや、そう叫んでいたのはシャーロットだった。
魔力が回復したはずなのに目を覚まさない終一を皆が心配しており周りには学院長やオウカだけでなく、アリスやイクタ、リッカ、セラフィスなど昼食を共にした者までベッドを取り囲んでいた。
「みんな、どうしてここに?」
終一は朦朧とする意識の中そう言った。
「決まってるじゃない!終一が心配だったからよ!」
そう答えたシャーロットの目には涙が溢れていた。
終一の周りの女性はみな涙を浮かべていた。
「終一君。起きて早々に悪いんじゃが君の中で起こったことを覚えているか?」
学院長が真剣な眼差しで終一を見る。
「はい。」
終一は上手く説明が出来ずそのまま返事だけした。
「わしは分かっておる。じゃから無理に話さなくて良い。とりあえずは生きておって良かったわい。」
にっこりと学院長は終一に顔を向ける。
終一は安堵しそのまま倒れるように眠る。
「ちょっと終一!なにしてるの!?」
終一は眠りについてしまった。
シャーロットの胸の中に埋まるように。
「終一はすげーな。」
イクタが笑いながらシャーロットの胸に埋まる終一を見る。
「私の胸でも良かったのに。」
ぼそりとアリスが呟く。
「やっぱりシャーロットちゃんと終一君はそんな関係なん?」
オウカがシャーロットをいじる。
「それは違うって言いましたよね!?」
真っ赤な顔でオウカに反論するシャーロット。
周りはそれに笑いで返していた。
終一はそのまま一時間余り寝続けていた。
学院長やオウカも含め周りは皆自分の部屋へと帰っていった。
シャーロットは胸で眠る終一をどうする事も出来ずそのままベッドで一緒に寝ることとした。
「これは仕方なくなんだからね!」
自分への言い訳を言葉にする。
気づくとシャーロットも一緒に寝てしまっていた。
シャーロットが眠りについた少し後に終一は目を覚ます。
「なんか、すげーいい枕だな。」
終一はシャーロットの胸に顔を埋め手で揉んでしまう。
「あん。」
それに反応してシャーロットが声を出す。
「?」
終一はシャーロットの声に疑問に思い揉んだ手の方に目を向ける。
「え?」
シャーロットの胸をしっかりと揉んでいる終一。
あまりのことに脳が処理できず固まってしまう。
そして終一はこれが夢だと思い込んでしまう。
「なるほど。ならこれを堪能しないとな。」
終一はそう言ってシャーロットの胸を揉み始めた。
「すげー。手に吸い付いて離れないな。」
「・・・ん。・・・はぁん。」
シャーロットが終一の手に反応するが、終一は揉むことに夢中で気がつかない。
そして胸を揉んでいるうちに終一は小さな突起物を見つける。
「これは・・・まさか。」
ごくりと生唾を飲んでその突起物を刺激してみた。
すると、
「ひぁん。」
余りの刺激にシャーロットが大声を出して目を覚ます。
それも御構い無しに終一は刺激を与え続ける。
「きゃっ。ダメっ。ちょっと。あぁん。」
そう言いながら悶えるシャーロット。
「ん?」
起きているシャーロットに気がつき終一は手を止めた。
まだシャーロットの息遣いは荒い。
トロンとした顔をして終一を見つめていた。
終一はそれにドキドキし、何もできなくなる。
そしてそのまま唇が触れるかと思いきや、
シャーロットは終一の首筋にガブリと噛み付く。
「いってー!!」
終一は声を上げてしまった。
シャーロットが興奮すると血を吸うことを終一はすっかり忘れていた。
しかも今回はなぜか首筋を噛み付いたまま離さない。
シャーロットは終一に顔を見せたくないからだ。
それほど顔が赤く熱を帯び色っぽい顔をしていたからだ。
そんな顔を見られるのがたまらなくシャーロットは恥ずかしかったのだ。
最初は本当に血を吸ったが、後は吸う振りをして落ち着くまで待とうとしていたのだ。
「先輩?怒ってますか?」
終一は眠っているシャーロットの胸を揉んだことに怒っていると勘違いをしていた。
シャーロットはまだ噛んだままだ。
終一が勘違いしているのをシャーロットは分かっていたが、まだ顔を見せられなくそのまま無視してしまう。
「それと、言いにくいんですけど、その・・・このままだ色々まずいです。」
終一は目をあちこちにやりながら言った。
終一が揉んだせいでシャーロットの衣服が乱れていたのだ。
そして、噛み付いた際に座っている終一に乗って抱き締める形になってしまっていた。
かなり密着度が高いため終一が理性を保つのも限界に近い。
そのことに今になってシャーロットは気づき、思わず口を離してぷいっと後ろを向く。
内心ほっとした終一だがその行動が起こっているものだと勘違いを増幅させてしまった。
「あの先輩・・」
「目が覚めて良かったわ。わたしは研究の続きがあるから。」
終一の言葉に食い気味にシャーロットは話す。
そしてそのまま走って保健室から出てしまった。




