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二十七話 終一の過去今一度!?

急いで終一は自分の部屋へと戻り、学院の教科書に書かれている無系統魔術を片っ端から試そうとしていた。

「はぁっはぁっはぁっ。これでやっと俺も魔術が使えるのか。」

終一は嬉しさに舞い上がっていた。

「アマクカンガエルナ。オチツイテヒトツズツタメセ。」

そんな終一の心を察して中のアクマが話しかけてきた。

「なんだよ。俺に魔術を使われるのが嫌なのか?」

終一は少し中のアクマに対抗してしまい、口調がとんがる。

「まずはお前と同じ魔術破壊をやってみよう。」

終一は教科書の内容を頭でイメージして魔術を発動しようとした。

が、何も起こらなかった。

「俺には使えないのかよ!?」

終一は叫んでしまった。

「オチツケ。ホカノマジュツモタメシテミロ。」

中のアクマが終一に話しかける。

それから終一は様々な無系統魔術を試していった。

破壊魔術、転移魔術、時魔術、強化魔術、精神魔術、回復魔術、創造魔術などを試していった。

が、終一はどれも一向に発動する気配を感じられずにいた。

それでも中のアクマは何の魔術で発動したかを把握していた。

それを終一に伝えるかは彼の気分次第だ。

「くそっ!やっぱり俺は魔術使えないのか?」

発動しないとはいえ魔力自体は使っている。

そのため終一は今にも倒れそうなほどに魔力を使ってしまっていた。

それに彼自身は気がついていない。

典型的な初めて魔術を使う者が陥る症状とでも言える。

これ以上の魔術行使は終一の命にも関わることなので中のアクマも次魔術を使ったら止めようと決めていた。

「次は、放出魔術、か。」

そう終一が呟き魔術を発動しようとした。

「イカン。ソノマジュツハツカウナ!!」

中のアクマが急に大声を出し終一は驚いたが魔術は発動しようとしていた。

「な、なんだこれ・・・。どうなってんだ?」

終一は周りに起こることに驚きと恐怖を感じた。

それもそのはず、放出魔術とは最初に魔術を放出するために周りのありとあらゆる物を吸収して魔力に変換させることから始まるからだ。

終一の周りに起こっていることはまさにその吸収だった。

周りに置いてあるものが次々に消えて終一の手のひらへと魔力として集まっていく。

部屋の半分の物が無くなったところで魔術は発動した。

そしてそれは終一の意思と反した場所に向かって放出された。

集まった魔力はレーザービームのように放たれ終一の部屋を跡形もなく消しとばした。

「ギリギリダナ。」

中のアクマが終一の体と魔術を制御して誰もいない場所に魔力を放出させたのだ。

「はぁっはぁっはぁっ。うっ。」

終一は魔力が尽きかけそのまま突っ伏してしまう。

「ダカラアマクカンガエルナトイッタンダ。」

「もう、ちょっと、ちゃんと言え。」

中のアクマの言葉に終一は消えそうな声で言った。

終一の魔術の音と規模に周りの寮の部屋にいた生徒が連絡して学院長と保健室にいたオウカが終一の元へと走っていく。

「終一君!大丈夫か?」

学院長の声に何も答えられない終一。

魔力はギリギリまで使い切りさらにさっきの放出魔術のせいで指一本すら動かせないでいたのだ。

「これは重症じゃ。オウカ君急いで保健室に行くのじゃ。」

学院長が終一を担ぎオウカと共に保健室へ急ぐ。

「着くまではうちが終一君のこと回復させます。」

「頼む。」

オウカは終一に治癒術を施しながら走る。

その傍らでメリーが駆けつけ事の収集に当たる。

そしてまた終一は眠りにつくと同時に過去の記憶を思い出すことになる。

「しゅ・・・い・・・しゅ・・・ち・・・終一!

いつまで寝てるの?もう起きなさい。」

それは今は亡き終一の母だった。

今の終一には父の顔も母の顔もしっかりと思い出せないでいた。

そのため顔には靄がかかっている。

そのまま終一は母に起こされ朝食を家族三人で食べていた。

そこでは仲睦まじく食事をする両親が終一の目に映っていた。

母は人間、父はアクマとだと言われそのことで父親の方はアクマの擬人化だと見えるようになっていた。

そして二人は終一の見えないところで喧嘩を始め、少し会話の内容が聞こえてくる。

「やはり・・・・したのは間違いだったんだ。」

「あの子を・・・せたのはあなたでしょ!」

会話の内容はうまく聞き取れなかったが、終一は自分がいらない子のように解釈をして今後は迷惑をかけないように心掛けることになった。

終一の前では仲良くしている両親も見えないところで喧嘩していることを終一は気づいていた。

だがそれを言うことが怖かったため知らないふりを続けていた。

そのまま数日が過ぎ、終一は衝撃を受ける。

「だから、・・なんですって。本当ですよ。」

それは終一の父である一の声であった。

電話ごしに誰かと話している父を終一は見つけそのまま近づいてしまう。

一は終一のことに気がつかず、そのまま相手と話を続けてしまった。

「終一は最高傑作ですよ。人間とアクマの力を半分ずつ受け継いだ混魔種です。一目見ればわかります。

姿からして半分が人間、半分がアクマですから。」

その言葉に終一は鏡で自分の姿を見てしまった。

まだ小さい終一にとって自分の姿は化け物にしか見えなかった。

「うわああああー!」

そのまま終一は気を失い生命の存続すら危うい状態まで陥った。

「すいません。また電話します。」

一は終一の声に気がつき、電話を切り声がした方に向かう。

「終一。一体どうしたんだ?」

一の目に入ってきたのは虫の息の終一だった。

「終一!どうしてこんな!ひかり!光はいないのか?」

光とは終一の母、そして一の妻だ。

「そういえば、光は実験室に行くと言っていたな。

このままでは終一が死んでしまう。私の最高傑作が。そんなことはさせない。急いで実験室に向かわなくては。」

終一を抱きしめて一は光がいる実験室へと走って行く。

程なくして二人は実験室にたどり着き、実験結果をまとめている光のことを見つける。

「おい光!終一がこんなになった!どうしたはいい?」

一はまるで終一が物のように扱い人間らしさの欠片もなかった。

「ちょっと!そんな風にしたら終一が死んじゃうでしょ!」

そういって光は一から終一を強引に抱きしめた。

「どうしてこんな・・・。」

光は何かに気づき終一を実験で使われる台の上に寝かせコンピュータで打ち込みを始める。

「おい何をしている!早く終一これをどうにかしろ!」

一の言葉に目もくれずに一心不乱に光は入力をし、終一に必要な魔力を作っていた。

その事がわからない一はガヤガヤ話している。

光は人間業とは思えない早さで魔力を生成させ、終一に飲ませる。

「そんなもの飲ませて死んだらどうするんだ!おい!」

一はそんなことを言ってはいるが手は出してこない。

彼もまた光の作った魔力に頼るしかないとわかっていたからだ。

終一は人間からアクマの特徴を体に出した状態、学院で行われている擬人化の逆をしているのだ。

そのためアクマの魔力が暴走し人間の終一の部分を脅かして今の状態になっていた。

それもまだ小さい終一には魔力を自分で生成する力が足りずアクマである部分を補えずに溜まった魔力分を生命という力で無理矢理引き抜いてしまったからだ。

その事をいち早く見抜き光は足りない魔力を補うべくして魔力を生成させたのだった。

その魔力は液体に変化させ終一の口から飲ませる。

「はぁっはぁっ・・・すぅ・・すぅ・・。」

終一の症状は収まり人間の体へと戻りながら寝息をたて始めた。

「なんとかなったわ。」

光はぐったりとした。

「・・・ふん。」

一は生粋のアクマなので人間のような感情はないはずだった。

さっきまでも終一を物のように扱っていたが今はほっとした気持ちでいっぱいになっていた。

彼はこの感情がどこからきてどういうものかわからず、そう思う自分にも戸惑いがあり行き場をなくした気持ちから光と終一だけにして戻ろうとした。

「待って。やっぱりあなたは終一を思う親よ。

決して冷酷なアクマなんかじゃない。私にはわかるわ。だからあの事も考えといて。いつかいなくなる私のために。」

光は一が終一を物扱いしようと必死になっている事がわかっていた。

始めは確かにそうだったが終一や光と共に過ごして行くうちに人間の感情が芽生えていったのだ。

光の言うあの事とは、自分が人間であるためアクマの一や混魔種の終一と違って寿命が短く先に逝ってしまうため、終一に寂しくさせまいと一に一緒にいてもらうということだった。

元々アクマの一は終一が大きくなる前に姿を消すと話していたのだ。

だが、光はこれを断った。

終一は二人の子供。

だから例え光が死んでも側にいてほしい、と。

一は光の言葉に逆らえなく答えをうやむやにして時間がどんどん過ぎていき今に至る。

光が病に患っているとは一は知らずに。

そして、ここからすぐ後に交通事故という形で終一は両親を失ってしまう。

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