表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/30

第二話 いきなり特待生!?

終一は心の中で自問自答を繰り返していたが、

「どうせここに入らなくても戻る場所も他の入学先もあるわけでもないし。」

ぼそりと独り言を言うと、

「覚悟を決めました。ここに入学させてください。

人間が僕一人でも、魔界でも、アクマしかいなくても、それでも僕はここに入りたいです。」

立って深々と頭を下げて入学許可をお願いした。

学院長は少し考え、口を開いた。

「よろしい。君の覚悟はしかと受け取った。この世界で何か不自由があれば私に言いなさい。

改めて、ようこそ聖アクマ魔術学院へ。」

にこりと笑顔を見せ学院長は迎えた。

そしてここでの生活で必要になることを説明する。

「まずは、君が人間だということは周りに気づかれないようにしてほしい。」

「?」

「君はアクマをどういう生き物だと思う?」

「僕の暮らしていたところでは、悪に染まった魔物みたいな感じですかね。

人間を無差別に襲うような・・・。あっ学院長の前で失言でした。失礼しました。」

学院長に向かって頭を下げた。

「よい。わしが聞いたのじゃから。」

手で制すると、続けて、

「それにじゃ、概ねその解釈で正しい。ここの学院は品行方正の良い生徒が多い、じゃがそれと同じくらいアクマらしい者もおる。そ奴らに君が人間だと気づかれたら?これ以上は言わなくても分かるじゃろ。」

少し凄んで俺に言った。

顔から血の気が引き、冷や汗が止まらない。

終一自身がどれほど汗をかいたかわからないほどに。

(これって死亡フラグ?)

などと、終一はビクビクしながら心の中で今後の学院生活を考えていると、

ぽんっと学院長が肩に手を乗せ微笑んだ。

「わしが全面的に協力するから安心したまえ。人間に理解のある学生や職員もおる。

学生は君自身で見分けなくていけないが、職員にはわしから伝えて協力してもらう。

じゃから余程の事がなければまず心配ない。」

その言葉に安心し終一は体の力が抜けた。

「それと、君には特待生になってもらう。」

肩に乗せた手を下ろしながら真っ直ぐ終一を見ながら学院長は言う。

「特待生?なぜですか?」

終一はなぜ特待生になれるのか疑問に思いそう尋ねると、

「君が人間であることを隠すのに特待生はうってつけなのじゃ。

特待生は入学時から卒業時までに行う身体測定を個別で受けられる。

さらに学院内でのあらゆる施設を無料で利用でき授業料も免除じゃ。

この学院で生活するだけで君には危険が付きまとうのじゃ、これくらいは当然の権利じゃな。

そしてある程度魔力を制御できるようにし多少の危険くらいは自分でなんとかできるように、

特別個別授業でわしが一対一で指導させてもらおう。

施設や寮は職員やパンフレットを参考にすると良い。まだなにか質問はあるかね?」

ゆっくりと特待生の優遇について学院長は話した。

「大丈夫です。あとは自分で確認したいと思います。何から何までありがとうございます。」

終一はもう一度深々と学院長に頭を下げた。

「おっと、大事なことを言い忘れるとこじゃった。

君は今日からアクマとして生活するにあたって自分がどの種族を名乗るかは大変大事じゃ。

そこで君が名乗るアクマの種族はオニじゃ。」

「オニ・・・ですか。」

終一はいまいちピンと来ず、ただ復唱してしまっていた。

「そうじゃ。オニは高位のアクマじゃ。特待生に選ばれてもなんらおかしくない。

それに元々人間に近い姿をしておるから擬人化についても問題ないはずじゃしな。」

「あの擬人化というのは?」

擬人化という聞き慣れない言葉に終一が喰いつく。

「それについても詳しく話したいところなんじゃが。

もう新入生のホームルームが始まってしまうからまた次の機会にしよう。

君は一年C組にクラス分けされておる。

特待生は一般生徒の後に教室に入るから今から行って丁度良い頃に着く。

初めが肝心じゃから頑張るのじゃよ。」

そう言うと学院長は終一に軽く手を振っていた。

「今後ともよろしくお願いします。失礼します。」

終一は軽い会釈をして学院長室を後にすると、部屋を出てすぐ前から突然声をかけられた。

「あなたが一年C組特待生の最上終一さんですね。」

声の方に向くと一人の女性職員がいた。

眼鏡をかけ鋭い目つきをしていて、黒髪でロングポニーテールをしている。

高身長で胸とお尻の肉付きは良く、しかしウエストはくびれているナイスバディ。

白のカッターシャツに黒スーツ、黒のタイトスカートに黒ストッキングと

学生ではないのは一目瞭然だった。

「えっと先生ですか?」

突然現れた女性に驚きそう聞く終一だった。

「あなたの担任になるメリー・サテラスです。覚えてください。

それと学院長から命により、あなたの学院生活の補助もすることになっています。」

出席簿を片手に淡々とメリーは答え、凛々しい姿に一切の揺らぎがない。

「最上終一です。色々ご迷惑をかけると思いますがよろしくお願いします。」

軽く会釈しながらそう言ったが内心では

(この担任の先生は素晴らしい太腿を黒ストッキングで覆っているなんていやらしいんだ)

なんて思い終一の目は血走っていた。

「では、私について来なさい。教室まで案内します。くれぐれも行動には気を付けてください。」

くいっと眼鏡を上げ、終一の心を見透かしたように鋭い目線と言葉で念を押され少し冷静になる終一。

終一はこれからアクマしかいない教室へと向かうことを再確認し、

まずはどんなことがあっても冷静に対処できるように心を強く持つように、

両手で頬を叩き気合を入れ直した。

一年C組の教室前にやって来たところ、もう一人教室の前で立っている女性が見える。

制服を着ているのとこの時間に教室に入っていないことから彼女もまた特待生なのだろう。

背は低く、幼い顔つきだが、制服から溢れんばかりの巨乳をしている。

目と髪は艶やかなブラウンをしており和やかな雰囲気を醸し出している。

彼女の制服には乱れがなく足を揃えて立っていた。

彼女も終一達に気付き、軽い会釈をして自己紹介をした。

「はじめまして。アリス・ゼファーです。同じ一年C組のクラスメイトとしてよろしくお願いします。」

にこっと笑い、効果音にキラッと付きそうに眩しく見えた。

「はじめまして。俺は最上終一だ。こちらこそよろしく。」

終一もぎこちないが、はにかんで返した。

「さ、時間もないことですし、教室に入りましょう。」

メリーはちらっとこちらに目を向けすぐにガラッと扉を開けた。

メリーに続いて教室に入ると、着席している学生が二十人ほどいるのが分かった。

メリーはそのまま教壇に立ち、終一達はメリーの隣に並んだ。

「お待たせしてすみません。特待生の説明に手間取ってしまったので。

紹介しよう、この二人が特待生です。では二人とも自己紹介を。」

近くにいた終一から自己紹介をする。

「えー最上終一です。よ、よろしく。」

緊張で顔が強張ってるのが自分でもわかっている終一に対しアリスは一歩前に出て、

「私はアリス・ゼファーといいます。これから一年間共に生活するクラスメイトの皆さんとは、

末永くお付き合いしていきたいと思っております。よろしくお願いします。」

姿勢正しいまま会釈をし、気品溢れる佇まいは、クラス中が見とれてしまうほどだった。

一つ間が空き、クラス全員から拍手が送られていた。

(俺は完全におまけ状態じゃん)

などと落胆しながら終一は思っていた。

「では二人とも空いている席に着きなさい。」

「「はい」」

アリスは元気よく、終一は間延びしながら返事をした。

「アリスさんこちらでご一緒しましょう」

「いえこちらにお座りください。」

クラスの女子がアリスを誘い、

「僕の隣に来ませんか?」

さらに男子までもが誘いアリスはすでにクラスの人気者になって隣の席の取り合いが始まっていた。

終一はというと、いそいそと静かな場所探していたところ、

「こっちの席空いてるぜ。」

声のした方に向くと、頬杖をしながら隣の席を指さしているクラスの男子が目に入った。

「あ、どうも。」

終一は軽く礼を言ってその席に座る。

「俺はイクタ・ルーカスだ。よろしくな。」

そう気さくに自己紹介してきた彼は角が頭から生えていること以外は普通の人間そのもの。

イクタは身体男らしく、制服の上からでも筋肉が分かるほど、

淡い赤い色の目に短髪のツンツンヘアーで割とイケメンなノリの良さそうな男だ。

その角を見て彼もやはりアクマなのだと終一は思った。

「俺は最上終一だ。よろしく。正直どこに座るか迷って助かるよ。」

「そうだろうと思って声かけたんだ。名前は最上か?変な名前だな。」

外国人的な質問に親近感を覚えてつい、

「終一が名前だ。最上が苗字だよ」

と答えてしまい、この世界では名前と苗字が逆なのが当たり前だったら

終一がアクマでないことがバレてしまうと言ってから気付き、

イクタの返答次第でここで死んでしまうかもと肝を冷やしていたら、

「そうか、終一が名前なんだな。名前が先なのが一般的だが、

名前が後の種族もいるって聞いたことあるしな。」

イクタは自分で納得しているのを見て終一は安堵した。

「そ、そうそう俺はその種族なんだよ。」

咄嗟にイクタの話に合わせた終一だったが。

「でもよ、名前が逆の種族って希少種ってことになるよな?」

「希少種?」

終一は聞きなれない言葉に思わずまた新たな言葉に聞き返してしまった。

「希少種の終一からしたら聞きなれない言葉かもな。

希少種は色々な種族の中で、特に種族の人数が少ないとされている。

それに希少種は名前が後になっているのが多いことでも有名だ。

今いる希少種はオニにヤマタノオロチにバハムートにヴァンパイアにバジリスク・・・。

まぁ他にもいるけどそのくらいか。

でもほとんどは一人に与えられる種族名だから消去法で終一はオニだな。」

犯人を見つけたようにイクタは終一に言った。

「っ、そうだよ。でもなんで分かったんだ?他にも名前が逆の種族もあるんだろ?」

終一は種族名を当てられ悔しいがそれよりもイクタの態度に少しムカつきを感じたが疑問を投げかける。

「あるんだけど、ヤマタノオロチは空席であとは学院内にいる先輩達が名前を貰ってて、

複数いる種族なんてオニくらいだぜ。」

誇らしげに親指を立て終一に向かって突き出したイクタだったがクラスの場を治めるようにメリーが、

「それでは、まずこの学院でこれから行う事について説明をしますので、

クラス全員しっかり聞くように。」

その言葉を聞いたクラスの全員が私語を止め席に着いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ