十八話 オウカとメリー!?
終一はオウカに尋ねた。
「オウカ先生はメリー先生と仲がいいのですか?」
その唐突な質問にオウカは笑ってしまう。
「うちとメリーの関係が気になるの?」
おちょくりながらオウカは終一に聞く。
「先生の様子がいつもと違ったので。」
オウカは治療するとき真剣な面持ちになるが、メリーのときはそれだけでなく焦りの感情も表に出ていたのだ。
その表情が終一には只ならぬ関係なのだと映っていたのだ。
「メリーとは同期なんよ。それが腐れ縁となって今の関係かなぁ。ちょっと主従関係に囚われな気もするんよ。だからうちが面倒を見たくなるんかな。」
そう答えたオウカの事が終一は羨ましくそして、どこか悲しげな雰囲気を感じていた。
「そうですか。早くメリー先生良くなるといいですね。」
終一はそう言うが言った後に自分がこの傷を負わせたことを思い出し負い目を感じていた。
しばらくしてからメリーは目を覚ます。
「うっ、ここは?保健室か?」
そう言いながらメリーは瞬きをしながら辺りを見渡す。
「メリー目が覚めたん?まだ安静にしといてな。」
オウカは少しほっとしながらメリーに告げる。
「メリー先生が目を覚ましてよかったです。」
終一も安心して笑顔をメリーに向ける。
メリーは終一の顔に驚き体を起こそうとするが痛みが体中を走りそのまままた寝てしまう。
「終一!?痛っ!!」
「もうメリー無理したらあかんよ。
それに何があったか知らんけど終一君はここまでメリーを運んでくれたんよ。」
オウカはなだめるようにメリーに寄り添いここに終一が運んだことを言う。
「!!そうですか・・・。終一君ありがとう。」
伏し目がちにメリーは終一のこと見ずに礼を言った。
「メリー先生が無事でよかったです。では俺はこの辺で失礼します。」
メリーも目を覚ますのを確認した終一はその場を去ろうと扉に向かう。
その終一をオウカは肩に手を置いて引き留めた。
「ちょっと待たんかい。詳しい事情が聞きたいんようちは。」
顔は笑っているがものすごい威圧感を出し終一が帰るのを阻止する。
「いや、でも、その今日は疲れたんで早く帰りたいなーなんて。」
だんだん声が小さくなり真面にオウカの事も見れなくなっている終一。
「さっきは詳しく聞かんとこう思ったけど今のメリーを見て気持ちが変わってん。
終一君の知ってること洗いざらい話してもらおうか。」
ガシッと掴んだ両肩は終一の力ではどうすることも出来なかった。
終一をおとなしく先ほどいた場所まで戻らされ、近くの椅子に座らせるオウカだった。
「さぁ話してもらおうか。」
ドカッと椅子に座ってその愛らしいルックスからはとても想像できないドスのきいた声をオウカは出した。
終一はメリーとオウカを交互に見て何を話したらいいか悩んでいた。
するとメリーが間を割って話し始めた。
「はぁ。オウカには敵わないですね。終一君からは言いにくいことなので私の方から話しますね。」
メリーは観念してオウカに事の顛末を話すことを決意する。
「端的に言いますと、私が終一君を襲ったのです。」
「「・・・・・・・。え?」」
二人して素っ頓狂な声が出てしまった。
メリーの説明は確かに短くわかりやすいがとても誤解を招く言い方になってしまったのだ。
「ちょっとメリー先生。それは誤解が・・。」
終一が具体的にもっと話すように言おうとしたがオウカはもう勝手に解釈してしまった。
「へぇーうちの知らない間に随分積極的になったやん。メリーが襲ってなんでメリーがこんなになってん?」
怒りで笑顔がさらに怖くなっているオウカ。
「それは・・・終一君が・・・その・・・あまりに・・・強かったので。」
困ったようにメリーが答えたことにより一層誤解を招く形になってしまった。
もう終一はなるようにしかならないと思い諦めてしまった。
「もう誤解は解けないな・・・・。」
「強いって・・そんな終一君はすごいのか?」
なぜか違う方向に話が逸れていき、
「えぇ、とても凄かったです。」
メリーは終一との戦いを思い出しながら、オウカは終一の股間をちらちら見ながら想像していた。
話が噛み合っていないがそのまま進む。
「その終一君は・・・お、大きいん?」
少し恥ずかしそうにオウカはメリーの問う。
終一は驚いた。
メリーは大きい?魔力のことですかね?っとやはり別の事を考える。
「そうですね。とても大きいと思います。私ではとても耐えきれなかった。」
はぅっと音が出そうな顔をオウカしていた。
「堪え切れなかったからここに運ばれたってことなんね?」
「残念ながら。」
オウカは終一の股間の事、そしてそれでする性行為が頭から離れず妄想してしまう。
メリーがこんなになるくらい激しいの?それとも回数?まさかすごい恰好で?などと、
オウカはさらに妄想し始めていた。
自分の世界に入ったオウカはなかなか現実に帰ってこなかった。
そのうちに終一はメリーの誤解を招いている事を話そうとした。
「あのメリー先生、今の言い方だと誤解を招いていると思いますよ?」
メリーは先ほど敵対していた終一に鋭い眼差しを向けた。
「先ほどの事があってよく話しかけられますね。」
聞く耳を持たないという態度をとっていた。
だが誤解を解かないとまずいと終一は思い意を決してメリーに話す。
「今の言い方だとメリー先生が俺に迫ってきたようにしか聞こえません!」
終一も言葉にするのは恥ずかしいので顔を赤くしながら叫んでしまった。
その言葉にメリーは驚きと自分の言葉を思い出し顔を赤くしてしまう。
「た、確かにそうかもしれませんね。それは後からオウカに言うとしましょう。」
オウカは二人の会話が耳に入っておらず、今は一人で妄想させておくのが最善であった。
「それよりなぜ終一君は私を助けたんですか?」
自分を殺しに来たメリーを殺しはされど、なぜ助けたのか理解に苦しむメリーだった。
終一はさも当然のように答えた。
「そんなの死んでほしくないからですよ。例え俺の命を狙っていた人でも。」
その答えを聞いたメリーは唖然とし、終一はとんでもないお人好しなんだと理解する。
そう分かると自然と笑いが沸き起こる。
「失礼。あまりにも変な理由だったもので。」
こほんっと咳払いしてからメリーは言う。
「そんなに変ですかね?」
終一は頭をかきながら困ったように笑う。
間髪入れずにメリーは言う。
「ええ、変ですね。先ほど殺されかけた者に情けをかけるなんて到底普通の神経とは思えません。」
すっぱり終一の意見を聞捨てるメリー。
終一も愛想笑いしか出てこなかった。
「終一君はあんなことをした私を助けて後悔はないのですか?」
真剣にメリーは終一に問う。
「はい。後悔はありませんよ。」
終一は笑って即答する。
そのあまりに純粋な顔にメリーは毒気を抜かれてまぁいいかと思わせるほどだった。
「それであれはなんだったのですか?」
終一の変わりように疑問を抱いていたメリーは直接聞くことにした。
「それが、よくわからないんです。」
終一はまた困ったように笑う。
自分のアクマでそうなったと思うからか先ほどとは微妙に違う困り笑顔になっていた。
だが、メリーは指したかのように何も聞かなかった。
「そうですか。」
終一も察してくれたと思いその後の言葉が出てこない。
そのまま暫しの沈黙が続く。
先に口を開けたのはメリーであった。
「終一君の実力テスト見事でしたよ。」
「へぇ?」
メリーの思いがけない言葉に終一は驚愕を隠せないでいた。
今日の実力テストは終一にとって数学こそ簡単であったが歴史についてはほぼ勘で書いていたからだ。
それなのに褒められることに違和感しか感じないのだ。
「あれほど博識だとは思わなかった。それこそ今回のように終一君に手が出なかったのも頷ける。」
いやそれは勘違いでしょう、と思わず突っ込みを入れたくなる終一だったがメリーにそれは伝わらないと思い断念した。
「そんなことないですよ?」
終一は上ずった声になってしまった。
「アクマ学なんてほぼ満点ですし、数学に関しては満点でした。
これほど秀才だとは正直思ってもいませんでしたが。」
素直に関心しているメリーに悪いが終一にとってはアクマ学は適当、数学に関しては簡単すぎだったなんてとても言えない状況だ。
「ありがとうございます。まだ他の教科もありますから早計だと思いますが。」
引きつった笑顔で頑張って答える終一。
「私はもう大丈夫ですからもう部屋に戻って勉強をしてください。」
メリーは優しく微笑んで終一に言った。
その顔からはオウカも私が何とかするという意思も感じられ終一はメリーに任せることとする。
「では失礼します。」
そう言って終一は保健室を後にした。




