十七話 終一またも暴走!?
終一はダメージを受けていたがすぐに回復し元通りの体に戻っていく。
その回復速度は異常で回復というよりも再生と言った方が納得がいく。
「バカな!?あの魔術を喰らってたった一瞬で回復するなんてあり得ないわ。」
尋常じゃない終一にメリーは驚愕と畏怖の念を持ち始めていた。
終一は学院長の時同じでアクマ本来の姿でメリーに対峙している。
「グルル・・・・。グアっ。」
獣じみた声で終一はメリーに襲い掛かる。
ただ真っ直ぐ突進していくだけの終一なのだか、
メリーにとっては怪物が襲ってくるほどの圧力を感じさせていた。
「くっ、なんてふざけた魔力量なんですか!」
終一の莫大な魔力にメリーは思わず呟く。
終一は止まらずそのままメリーへと向かっていく。
だがメリーはそれを避けて後ろに回り込む。
終一は少し勢いがつき止まるのに時間がかかつていた。
その隙をつこうとメリーは魔術を発動させようとした瞬間、終一の魔力と突進の勢いで彼の前を弾丸が通ったかのような空気の大砲で遠くの壁まで大きな穴が開いていた。
メリーはその破壊力に背筋が凍り魔術を発動できなかった。
あれを直撃したらたとえ高位のアクマでもタダじゃ済まない。
メリーは自分がもし回避せずに受け止めていたらと考えると真っ二つになるイメージしか湧いてこなかった。
真っ向からの勝負は危険と考え、メリーは距離を取りながら中遠距離からの攻撃に変更した。
さっきの五合自然魔術は回復されたが効果がなかった訳ではないとメリーは終一の回復ばかり気を捉えられていたが一旦冷静になり打開策を見つけ出そうとする。
魔力オーラは強力だか終一自体のスピードは決して速くないので隙をつけばメリーの魔術は当たる。
そう確信し再度隙を作ろうとするメリー。
終一の中のアクマもバカではなくお互い攻撃をかわし続けていた。
終一はそんな攻防をしているのにも関わらず息一つ乱していなかった。
それに比べメリーはしっかりと頭が働いているが体力の消耗が終一より激しく肩で息をしてしまっていた。
「このままでは私のが先に殺されてしまう。
残り全ての魔力で攻撃する他ない。」
メリーはジリ貧になっていく自分の立場に限りをさし
覚悟を決めて魔力を使い果たそうとしていた。
魔力が無くなってしまうとしばらくの間回復せず、
身体能力も人間と同じなってしまい非常に危険だ。
だが彼女はそこまでしなくては終一に勝てないと悟ったのだ。
いや勝てるかもという程度だった。
それでもメリーはやらなければいけない状況まで追い込まれてしまったのだ。
石麻痺魔術で一瞬だが動きを止めその間にありったけの魔力を使い、メリーの奥の手の崩大地魔術を発動させようとしていた。
この魔術は禁術扱いになっており使える魔力持つアクマが極端に限られている。
それは魔力量と魔術効果が絶大だからだ。
大抵のアクマ使えるほど魔力を持っておらず、
仮に使えたとしても自身が魔術によって死んでしまうことがのだ。
メリーはそこまでして終一を殺してしまいたかった。
そしてメリーの思惑通りに終一の動きを止め禁術を発動させた。
「これで終わりです。はぁーーーーーー!!」
崩大地魔術が発動しそこにあるすべての大地が終一に向かって取り囲み、
互いの衝突で大きな爆発を生み出し辺りは円状にごっそりとえぐり取られていた。
メリーは限界まで魔力を使い切りその場に倒れこむ。
これで仮に終一が生きていても重傷は確実と思えるほどの強大な破壊力だった。
メリーはかろうじて目線を終一のいた方に向けた。
その目で確認するまで安心ができなかったからだ。
やがて視界が晴れていく。
そこにはおおよそ見当つかない終一の姿があった。
メリーの魔術が直撃していて体が上下真っ二つなり普通のアクマですら生きていられない姿で上半身だけが空中に浮いており今も尚引きちぎられた体からおびただしいほどの血が流れ出ていた。
そしてなぜか終一の下半身も少しずつ動いて浮いている上半身と繋がろうとしていた。
人間であるはずの終一がアクマよりも禍々しい体をしていることにメリーが驚きを隠せなかった。
さらにメリーは今から終一に殺される覚悟する。
「申し訳ありません。彼を殺すどころか殺されてしまうことになるなんて。お許しくださいサタン様。」
徐々に繋がっていく体のまま終一は少しずつメリーの元へと向かっていく。
「オマエ・・・ガ・・サタン・・・・ノ・ナカマ・?」
終一の中のアクマはサタンを知っているかのように呟く。
だがメリーへの歩みは止めようとしない。
死を覚悟しメリーは目を瞑っていた。
やがて終一がメリーの前へとたどり着く。
その時にはもう体は完全にくっついており元通りになっていた。
そしてその瞬間に終一が目を覚ます。
「!?やっぱり夢じゃなかったのか・・・。」
今回は終一とアクマが入れ替わっただけで終一はアクマの視点と同じことを見ていることが出来ていた。
そのため終一には現実とは思えない光景ばかりで夢ではないのかと思っていたのだ。
だか現実は無残なものだった。
終一がアクマと入れ替わってからは視点だけを共有し痛覚や魔力放出などの感覚が一緒でなかっただけ幸運だった。
もしもそこまで共有していたなら終一はショック死してもおかしくない程に体中が痛みで縛られていたのだ。
元に戻った終一はあろうことか今殺されかけたメリーを担ぎ助けようと保健室まで行こうとしていた。
またその大人な体に終一は不健全ながら少し悶々としてしまった。
押し当たる実った胸、そして手から伝わるストッキング越しの柔らかな太腿、それらが終一の煩悩に働きかける。
「ナゼ・・・タス・・ケル・?」
不意にアクマから話しかけ驚く終一だったがその答えは単純明解なのですぐ答える。
「俺は誰も死なせたくない。」
太腿を弄る手以外はとても凛々しい姿だった。
「アマイナ・・・コノサキ・・コロサ・レテモ・・オカシクナイ」
真面目な話をアクマがしているのに終一の頭はメリーの体を堪能することでいっぱいになりつつあった。
「なぁお前はさっき俺の体を奪えるチャンスだったのになんで俺を助けるようなことをしたんだ?」
終一のアクマにとってはメリーと戦っているときから体の自由を奪っておりそのまま終一の体を奪うことが出来たはずだと彼は考えていた。
「ソレガ・・デキ・・タラ・ヤッテ・・・イル・」
その言葉に終一は疑問を感じていたがこれ以上は聞いても答えてくれないと思い追求することをやめた。
「それより先生は本当に助かるんだろうな?」
メリーは衰弱しきっておりかなりの熱を体から発していた。
「コレ・・クライ・ナラ・・オウカ・・・デジュウブンダ・」
アクマはオウカの事も知っておりさらに謎が深まるが一刻を争う状態なのでとりあえず保健室まで急いで終一は運んでいった。
「オウカ先生!」
ガラッと勢いよく扉を開き開口一番に終一は言う。
それにオウカはびっくり終一を見て固まっていた。
「先生!メリー先生をお願いします!」
そのまま終一はメリーをベッドに寝かせオウカに治療をお願いした。
オウカはメリーの容態を見るやすぐに切り替え治療術を施した。
さすがと言うべきかオウカの処置は迅速かつ正確なのもであった。
「ふぅ、とりあえずはこれでいいかな~。」
オウカがメリーの処置を終えひと段落する。
「よかった。ありがとうございます。」
終一も安堵の息を漏らす。
「それより~うちはこんなことになった経緯のが気になるんよ?」
オウカが終一をジト目で見つめる。
「いやーそのなんていうかメリー先生と模擬戦?みたいな?」
若干語尾が上がって不自然な言葉になっている終一。
「ほんまにそれだけ?」
さっきのオウカとは違う真剣なトーンの声で言う。
終一は真実を話すか迷ったがこれはまず学院長に話してからだと思い言葉を飲み込ん黙ってしまう。
「・・・・・。」
「はぁーまぁいいわ。とりあえず無茶なことだけはしんといて。」
いつも通りのオウカがそこにはおりそれ以上は何も聞かなかった。




