十三話 過去!?現在!?修羅場!?
終一が気を失って一時間が経った。
ようやく彼は目を覚ました。
「いててっ。俺こんなんばっかりだな。」
起きた終一はシャワーを浴びに行く。
「シャワーを浴びて今日は寝るか。」
疲れのたまっていた終一はシャワーをあびて、
届いていた布団を敷き眠りにつく。
だが終一は目覚まし時計を置いておらずそのまま、
三時間目の授業まで寝てしまう。
「んんー。やば、もうこんな時間じゃん!!」
入学三日目から遅刻とはシャレにならないので
休みの連絡を学院長にする終一。
「もしもし学院長ですか?今日は高熱が出てしまいお休みさせていただきます。」
「ほう、熱かぁ。それはしょうがいないのぉ。担任の先生にはわしから伝えておこう。
気を付けたまえ。」
そうことなく電話を終えた終一。
「今日はこのままゆっくり過ごそう。」
急激な環境の変化で終一の疲労はピークを迎えていた。
次第に本当の熱を出しそのまま寝込みだしてしまったのだ。
終一は幼少期の頃の記憶ことを夢の中で少しずつ思い出していく。
だが、それは夢の中だけであり起きた時には綺麗に忘れてしまっている。
終一は生まれた時からある研究室にいた。
そしてそこには終一の亡くなった両親も一緒に暮らしていた。
何かの実験に挑戦しては失敗の連続をしていた。
終一もわからないなりに失敗することは良くないと感じていたのだ。
そんなある日、外からの来客があり終一はその人たちと会うこととなった。
終一に対していろいろなことを話しそして帰っていった。
この時の終一がその人物のことを今になって少しずつ分かっていくとは知らずに。
夢のことで終一は熱と相まってうなだれながら眠っていた。
終一は寝言で、
「う・・・か・あ・さん・・・と・・う・さ・・ん・・。」
そう言っていたが誰にもその声は届かなかった。
さらに眠ること二時間・・。
目が覚める終一。
少し太陽が夕日に変わる少し前に起きたのだ。
学校では丁度実技の授業中である。
喉の乾いた終一は体を起こし、キッチンで水を飲みに行く。
まだ少しふらつきながらキッチンにたどり着き、コップに水を入れゴクゴクと飲んでいく。
「・・・ふぅ。まだ熱っぽいな。もうちょっと寝よう。」
そして布団に戻ろうとした時、足が絡んで転んでしまう。
ドカッとうつ伏せに倒れこんでしまう。
「いってー。力・・・入らねぇ。」
力なく言葉を発してそのまままた眠りについてしまう。
そのころ学校では・・・。
「もう終一は何やってるのかしら!昨日ならもうここに来てる時間だってのに。
電話もつながらないし・・・あとで部屋に行ってみるか・・・。」
シャーロットは午前の授業が終わっても終一が来ないことに怒りと寂しさそして心配が胸によぎる。
彼女は終一に対しての好意がどんどん大きくなっていくのを自分で分かりながら、
あえて見ないようにしている。
それは彼女がとても不器用な性格をしているからだ。
素直になればもっとかける言葉や態度が変わるのがこの性格でとても損をしている。
リリスはというと・・。
「セリたち今日はしっかりと終一君を生徒会に入れましょうね。」
今はやることがなく役員全員でティータイムをしている。
「ですが会長彼が素直にここに入るのでしょうか?」
セリはまだ手ごたえを感じておらず終一が生徒会に入るかわからなかった。
「いっそ入らなくてもいいじゃん。会長が言うほどの男には見えなかったしー。」
相変わらず終一の生徒会入りをよく思わないアカネだった。
「私も・・・そこまで・・・凄い感じは・・・しなかった・・です。」
サツキも終一の実力が伴っていないことにはアカネと同意見だ。
「二人とも会長の目は確かですよ。私も彼とは茶道部の部室で一度お会いしましたが
なんとも言い難い雰囲気を持っており一概にただの一年生とは思えませんでした。」
セリの仲裁に入るが、今言った言葉に嘘偽りはなかった。
実際セリの違和感は人間ということ以外に終一には何かあると感じていたのだ。
もちろん今この生徒会には終一が人間であると知る者は誰一人いないのだが。
「まぁ副会長が言うならなんかあるんだろーけどな!」
投げ捨てるようにアカネは言う。
だが会長より副会長を信頼しての言葉だった。
「私も・・・副会長・・・が言うなら・・・信じてみる・・・。」
サツキもセリを信頼しており二人は男を見る目に関しては
リリスよりセリのが上と思っているからこその言葉だった。
「その言葉に私は少し傷つきましてよ。」
ふんと腕を胸の前で組んで明後日の方向を見てリリスは言う。
「それより終一君を生徒会に入れる計画をさらに練りましょう。」
そう言ってはいるがリリスの終一への執着を語ることが続く生徒会であった。
「終一の奴、今日は休んでたが大丈夫か?後で見舞いにでも行ってやるか。」
そう言っていたのは終一が初めに友達になったイクタであった。
彼は気を利かして終一の元へ行くことを決めたのだが後で思いっきり後悔することとなる。
実技授業が終わり、夕日が見えていた午後にシャーロット、生徒会、タクトが
一斉に終一の部屋へとお見舞いに来る。
まず始めに来たのはシャーロットであった。
「終一?まだ寝てる?」
そう恐る恐るげ玄関の扉を開けて覗くシャーロットだった。
キョロキョロと辺りを見渡しなぜか忍び足で終一の姿を探す。
リビングにシャーロットが入るとすぐに倒れている終一が目に入る。
「終一!!どうしたの?」
呼びかけるが少し呼吸のリズムが早いこと以外何も答えなかった。
シャーロットは終一の額に手を当て、
「熱いわね。とりあえずベッドで寝かせなきゃ。」
終一を肩にかけ、彼のベッドを探しながら歩く。
すると、真新しく動かされた布団を見つける。
そのままその布団にシャーロットは終一を寝かせることにした。
かなり弱っている終一を心配そうに眺めるシャーロット。
「はぁ・・・はぁ・・なん・・で・・おれ・・を・・ころ・・・すんだ・・か・あ・・さん・・。」
「終一・・・・。あなたに何があったの?」
シャーロットは終一の寝言に答えを求めたわけでもなく質問していた。
終一の過去に何かがあったことが分かったが、終一から話されるまで今の言葉を聞かなかったことに
しようとシャーロットは決めた。
しかし、当の終一も自分の過去を今夢で思い出しているだけで本当のことが分かるのは
しばらく後のことになってからだ。
そう静かな時間が少し流れ、次の来客が来た。
今度は生徒会の四人であった。
昨日の終一の生徒会入りの返事を聞きに全員で来たのだ。
「終一君。失礼するわよ。」
そう言ってリリスから順に玄関から部屋へと入ってくる。
その声にシャーロットも気づき、
「リリス!なんであいつがここに来るのよ!」
小さい声で敵対心を見せるが、終一の答えを聞きに来ることを彼女すっかり忘れていた。
慌ててどうにかしようとシャーロットがしている内にリリスたちと会ってしまう。
「シャーロット!!なんであなたがまたここにいるのです!?」
リリスは露骨に嫌な顔を出してしまう。
普段の会長の顔のリリスはシャーロットの前ではすぐになくなってしまうのだ。
「そ、それはこっちのセリフよ!リリスこそ終一に何の用?」
すぐに張り合ってしまいいがみ合う二人だった。
「私は終一君の答えを聞きに来たのよ。」
一つ呼吸を置いてリリスは答える。
「まさか、生徒会に入るっていう答え!?」
はっと思い出したシャーロットは若干焦りながら聞き直す。
「そうよ。まぁ終一君には何が何でも生徒会に入ってもらうつもりですけどね。」
リリスは笑顔を見せ、自分のプロポーションをシャーロットに見せつける。
「そんな体で終一は落とせないわよ!!」
半ばやけくそで叫ぶシャーロットだが、リリスは引こうとはしない。
「ところで終一さんはどこに?」
最もな疑問をセリが言う。
「・・・終一はそこで寝ているわ。かなりの熱を出してね・・・。」
シャーロットが伏し目がちに答える。
「なんですって?それは大変ですわね。せっかく終一君と麗しのひと時が過ごせると思ったのですが。」
リリスは豊満な胸に手を当てそう言う。
「あんた今なに考えてたのよ?」
シャーロットがジト目でリリスを見る。
「さぁなんでしょうね。シャーロットの考えたことかもしれませんね。」
ふふっと笑いながらまた対立始める二人だった。
二人は擬人化を軽く解きアクマの力を少し開放していた。
このまま戦ってしまうと終一の部屋が吹っ飛ぶほどであったが、
終一が騒がしさに目を覚まし皆が集まっているリビングへと行く。
「なんだ、騒がしいな。!?なんで先輩と生徒会の人たちがいるんです!?」
リリス達に気が付き終一は思わず叫んでしまう。
その声に皆が振り向き終一を一斉に見た。
「「終一!?」」
全員終一を呼び捨てにして叫んでしまう。
「とりあえず喧嘩はやめて下さい!」
終一は目を瞑ってシャーロットとリリスを止めようと両手を前に出す。
だがその手は二人の片方の胸を鷲掴みにしてしまう。
(この柔らかい二つの感触は!?片方は大きくとても柔らかく
もう片方は少し手に余るくらいだが揉みごたえのある弾力を持っている)
少しづつ目を開け、事の収拾を測る終一だった。
そうリリスとシャーロットの胸をもんでいたのだ。
それに対して二人は顔を赤くし口をパクパクさせて終一を見ている。
次の瞬間、バチンと高い音がした。
それは終一の両頬を二人の片手で平手する音だった。
さらにその直後には
「お、お邪魔します。アリスです。終一君お見舞いにきました。」
「邪魔するぞ。俺も見舞いに来たぞ。」
イクタとアリスが終一の見舞いに来たのだ。
しかも二人の女にビンタされる終一瞬間を目撃してしまう。
最悪のタイミングだ。
終一は消えゆく意識の中このまま目を覚まさなくてもいいと思うほど落ち込んでいた。




