十二話 生徒会が部屋に来ちゃいました!?
「終一。その今日はその色々悪かったわね。」
保健室を出てから程なくしてから、シャーロットは終一に謝る。
「いえ、先輩にはこれから修練してもらいますので感謝してますよ。」
素直に感謝を述べる終一。だがそこから二人の会話が続かない。
そのまま学生寮まで着いてしまう。
ここでようやく口を開いたのがシャーロットだった。
「わたし、終一の部屋に居座るからね。」
それだけを言い自分の部屋へとは知っていくシャーロット。
「俺の部屋分かってるのか?」
そんな疑問を持ちながらも今度こそ終一は自分の部屋へと向かって行くのであった。
ドアのセキュリティを外し、
「ニンショウカクニンシマシタ。」
と機械音で喋るのも確認していざ部屋へと入る。
だが、そこにはさらなる驚愕の光景が待っていた。
終一が自分の部屋で目にしたものとは、生徒会の役員全員がリビングでくつろいでいたのだ。
もちろん終一が知っているのは会長であるリリスと、茶道部で見かけた副会長のセリのみだ。
他に書記のアカネ・フリート、会計のサツキ・ダークサイドがともに座っている。
またもや終一はここが自分の部屋ではないかと疑問に思い、もう一度部屋の名札を確認する。
そこには紛れもなく男子寮、特待生部屋と書かれていた。
訳が分からない終一に気づき、リリスが説明をする。
「終一君。来ちゃいました。」
本心をにこっと笑って言うリリスだが、終一は訳が分からないままだ。
「ここにいるのもビックリですけど、この人たちは何なんですか?」
リリスの事は分かる終一だが、他の三人はよく分かっていない様子だ。
「これは紹介が遅れましたね。この三人は生徒会の役員たちです。」
リリスはそう言うと他の三人に手を向け、三人は左から副会長、会計、書記の順に立って並んだ。
「こちらから、副会長のセリ・ルーカス、会計のサツキ・ダークサイド、
書記のアカネ・イフリートですわ。」
リリスが彼女たちの説明を終え、終一の顔にグイっと近づく。
「そ、それは分かりましたけど、なんで会長たちがここにいるんですか?」
リリスの顔に恥ずかしくなり終一は一歩下がってから言う。
「終一君に会いたかったからよ。」
下がった終一にリリスは追いかけ体を密着させ脚を絡ませてくる。
(いろんなところが当たって柔らかくて気持ちいい~。なんて考えてる場合じゃない。)
リリスの誘惑に浸りながらも終一はリリスの答えを再度聞く。
「それは理由になってませんよ。生徒会の人たちと来た理由はなんですか?」
するっと終一から離れて正直に答えるリリス。
「実は終一君を我が生徒会にお誘いにきましたの。」
ビシッと終一を指さしリリスは宣言する。
「なんで俺なんか誘うんですか?」
生徒会に誘われる理由が思い当たらない終一は選んだ訳を聞いた。
「色々あるけど、一番は終一君の事が気に入ったからかしらね。」
ウインクをして終一の事上目遣いでリリスは見ていた。
「その色々が知りたいんです!!」
目を瞑って勢いで終一は言い放つ。
「しょうがないですわね。まずは終一君が一年生の特待生であるからよ。
生徒会は毎年新一年生の特待生から一人役員を決めなければいけないのよ。」
「でも俺以外にも特待生はいるじゃないですか。」
人間である自分よりも相応しい人がいると終一は思っていた。
「次に終一君が一年生の特待生の中で一番擬人化が出来ているからよ。
擬人化の質=(イコール)魔術の質自体が高いこと示している。
これにより終一君も当然高位のアクマで自分の魔術を熟知していることになるのよ。」
嬉しそうにリリスは終一を選んだ理由を話していくが、
その終一はというと心ここにあらずで魂が口から出ていきそうなほどだ。
(そもそも擬人化ってなに?俺はそんなにそれが出来ているって?
てか自分の魔術で俺は死にかけてるのに熟知なんかしてないよー)
終一の心の叫びがどんどん力を無くしながら一人話していく。
「それにさっきも言いましたけど、私の一番の理由は終一君が気に入ったからですわ。」
放心して動かないでいる終一をいいことに、
リリスは首に腕を回して唇が触れそうな距離でしっかりと目を見て話す。
それに気付いた終一は今度はドキドキで気を失いそうになる。
あまりに話が進まないことにセリがリリスを止めに終一との間に割る。
「会長、このままでは彼が生徒会に入るかが決まりません。
ですのでしばらく大人しくしてください。」
眼鏡を上げて、リリスの事を見るセリ。
それにリリスが軽く舌を出して、
「ごめんなさい。」
笑いながら可愛く謝った。
「最上終一さん。書記として生徒会に入ってもらえないでしょうか。」
セリは単刀直入に終一を生徒会に誘う。
「俺では役不足だと思いますので断りたいのですが。」
終一は自分が生徒会に入ってもし人間だとバレたらどうなるか分からなかったので、
丁重にお断りをしたのだ。
「そうですか。生徒会に入ると色々特典がついて良いと思ったのですが。」
少し残念そうに言うセリ、そして終一に喰いつかせるために特典という言葉までが計算だった。
「特典っていったい何なんですか?」
表情を変えずに内心でにやりと笑ったセリ。
「教えても良いのですが、それを知ったら生徒会に入ってもらう事になりますがいいですか?」
セリはもう一度眼鏡を上げ終一に話しかける。
「う、それは・・・考える時間をくれませんか?」
終一は悩んでいた。
今でもとても優遇されているというのにこれ以上の特典とは何かという好奇心もある。
だが安易に生徒会に入っては自分の身が危険だと思い即決できないでいるのだ。
「いいでしょう。明日また放課後にこの部屋を訪ねてきます。
その時までに答えを出しておいてください。」
すぐにセリは答えた。そしてリリスも、
「私もそれで構いませんわ。明日が楽しみですわね。」
「僕はこんなのと一緒に書記をするのは嫌ですけどね。」
そう言ったのは赤い髪にサイドテールが目印のアカネだった。
「私は・・どっちでも・・・。」
白銀に輝く髪がなんとも美しいサツキが薄い表情で言っていた。
「さぁでは自分の部屋に帰りましょうか、皆さん。」
リリスが言葉で締めて終一の部屋の玄関から帰ろうとした。
(やっと自由に休めれる)
そんなことを終一は考えていたが残念なことにこれで終わらなかった。
そうまだ誰も出ていないのに終一の部屋が開いたのだ。
「終一!わたしが来たわよ。」
開口一番で指さし立っていたのはシャーロットだった。
本当に終一の部屋に泊まる用意して部屋まで来てしまったのだ。
だがシャーロットの指さした所にいたのはリリスであった。
全員が固まりしばらく沈黙が続く。
最初に口を開いたのはシャーロットだった。
「なんでリリスがここにいるのよ!!」
「それはこちらのセリフです!!よりにもよってなんでシャーロットなんですの!!」
二人はいがみ合うほどの犬猿の仲なのだ。
セリたちはぼーっと二人のやり取りを見ることとなる。
「わたしは終一とここで住むのよ!」
「それは問題ですわ!男女の学生が一緒に住むことは認められません!」
「そんな規則なんか何処にも書いてないからいいのよ!」
「不純異性交遊は禁止ですわ!これもそれに入りますわよ!!」
「でも終一の許可は取ってあるの!!」
「そんなはずありませんわ!」
「じゃあ終一に聞いてみれば!?」
「聞くまでもありません!いつもあなたは一方的に意見を押し付けているのですから!!」
「それは周りに凡人ばっかでわたしの言ってることが理解できないからよ!!」
「それはあなたが研究ばっかやってるからですわ!!この研究オタク!!」
「なに言ってんのよ!!それならあんたは淫乱会長じゃない!!」
「なっ!!だれが淫乱ですって!?」
「あんたのことよ!あんたの!!」
二人の視線から物凄い火花が散っている。
これは比喩表現ではなく実際に魔力の力を使って目からビームが出ている。
二人の感情の高まりから魔力が形となって出てしまっているのだ。
「あのー先輩も会長もそのへんで・・・。」
「「うるさい!!」」
終一が止めようとしたら二人に怒られついでに魔力のビームももろに食らってしまい
終一は軽く跳ねてから吹き飛ばされる。
それを見た二人は正気に戻るが素直に謝れずにさっさと帰ってしまう。
「「ふん!!」」
「今日は失礼しました。それではまた明日。」
リリスが終一を見ずにセリ達を連れて玄関から出ていく。
それに続くようにシャーロットも、
「わたしも今日は帰るわ!!また明日来るからね!!」
終一を見ないで出て行ってしまう。
「やっと一人になれたー。」
がくっと終一は倒れたまま意識を失ってしまう。




