第21話「魔人、フェンルの実年齢をばらして疑われる」
「王都へ来た目的は?」
王都の城門を通った俺たちは、衛兵に呼び止められた。
よく見ると、まわりの旅人も、他の衛兵に話を聞かれている。王都に来たのははじめてだけれど、こんなに警戒が厳重なものなのか……いや、違うな。まわりの旅人が「いつもと違う」と言ってるのが聞こえる。今日は祭りでもあるのか?
「俺はクロノ=プロトコル。こっちは仲間のフェンル。どっちも冒険者です」
「あやしいものではありませんっ」
俺の隣で、フェンルは直立不動の姿勢。緊張しすぎだ。怪しい。
「そしてこっちは、俺たちのパーティの新メンバーです」
後ろにいる2人に、俺と衛兵は視線を向けた。
「名前は『ルチア』と『マルグリッド』──ちっちゃいけど、優秀な者たちです」
「ルチアなのね」「マルグリッドです」
2人は昨日打ち合わせした通りに、新しい名前を告げた。
王都に着く前日の夜。
俺とフェンル、ルミーアとマルグリアは、これからのことを話し合っていた。
まっさきに考えなければいけないのは、ルミーアたちの身の安全についてだ。
「王都では別の名前を使った方がいいかもしれません」
俺は、そう提案した。
彼女たちの養父は『あちこちに手紙を出して「濁点魔王教団」のことを訴えた』って書き残しているのだ。迷惑なことに。
それが本当だとすると『濁点魔王教団』にはすでに王国の兵士か、派遣された冒険者が向かっている可能性がある。ルミーアたちは目立たないように陸路で来たけれど、彼女たちの町との距離は、海路だとさらに縮まる。すでに彼女たちの叔父が捕らえられていることも考えられる。
その叔父が根性なしで、ルミーアとマルグリアが『魔王の器(現実の魔王とはまったく関係がありません)』だと兵士や冒険者に話していたら、面倒なことになる。
だからルミーアとマルグリアは名前を変え、髪型も変えて、ついでに年齢も偽った方がいいだろう、というのが、俺の意見だった。
「クロノお兄様のご意見に従うのね」
「わたしも、異存はございません」
ふたりは迷いなくうなずいた。
「新しい名前は、前のものに近い方がいいと思う。呼ばれたときに違和感がないからね」
「それなら、クロノお兄様につけて欲しいのね」
ルミーアは言った。
胸に手を当て、まるで敬礼するように、小さな身体を折り曲げる。
「これからルミーアたちは、クロノお兄様が示してくださった道を行くのね。だから、お兄様に名付けていただくのが一番だと思うのね」
「わたしも賛成いたします!」
俺が?
いいのか? 魔人センスでつけることになるが。
隣のフェンルに目をやると、相変わらずの幼女モードで「つけてあげてよ、おにーちゃん」って笑ってる。もはや第二の自我と化しているようだ。
それはともかく、名前くらいつけてやってもいいだろう。
俺が2人の面倒を見られるのはここまでだからな。記念のようなものだ。
「では『ルチア』と『マルグリッド』でどうだろう?」
音は似ているが、文字にすると微妙に違う。
最初はとまどうかもしれないが、そのうち慣れるだろう。
「ありがとうございますなのね」「感謝いたします」
ルミーア改め『ルチア』と、マルグリア改め『マルグリッド』は、指で地面に名前を書いて確かめている。気に入ってくれたようだ。
どうでもいいが、文字はマルグリッドの方が上手いのだな。ルチアは落ち着いているし頭もいいが、文字はいまひとつ読みにくい。いろいろ個性があるものだ。
あと、フェンルよ。お前のそれは象形文字か。あとで粘土板を買ってやるから字の練習しろ。
さて、これで名前の問題は解決だ。
あとは……そうだな。
「冒険者ギルドに登録したときのことを、考えておいた方がいいかもしれません」
「パーティの組み方、とか?」
「はい。ルチアもマルグリッドもまだ小さいですし、能力が特殊ですから」
実際のところ、冒険者ギルドは人材育成には熱心だ。
前にも言ったが、人はもろいのだ。魔人に比べるとすぐに死んでしまう。もったいないことだ。能力も意思もある人間を死なせてしまうほど、愚かなことはない。
それがわかっているから冒険者ギルドも『見習いコース』なんてものを作っている。これは10代前半の冒険者に、腕利き冒険者の補助として働いてもらうシステムだ。
そうすることで初心者は技術を覚え、熟練者は荷物なんかを運んでもらうことで、楽に冒険を勧めることができる。ポイントは、いかに親切なパーティに加わるかということなのだが。
「まず注意点としては──」
「「はい(なのね)」」
俺の言葉に、ルチアとマルグリッドがいい返事をする。
「男女比が近いパーティを選ぶといいでしょう。男女片方だけだと、万が一性格が合わなかったときに大変だから。男女比が一緒なら、たぶんどっちかは味方してくれるんじゃないかな?」
これは経験、というよりも期待によるものだ。
前世では……魔人って男性ばっかりだったな。孤立してたの、そのせいかな……。
「次に、年齢が近いパーティを選んだ方がいいと思う。年配のパーティは確かに強いけど、戦い方のレベルが違いすぎて参考にならないことがあるから。あと、こっちをパーティの仲間じゃなくて『荷物持ち』にしちゃう人がいるからね。
若い人なら、自分が新人だったときのことを覚えてるから、親切にしてくれるんじゃないかな。ギルドの言うことも、素直に聞いてくれるからね」
よし、ルチアもマルグリッドも真剣に聞き入ってるな。感心感心。
もうひとつ。これは余計なことかもしれないが──
「できれば、2人と同じくらいの年齢の少女が入ってるパーティがおすすめかな。そういう子がいれば、パーティが彼女をどう扱ってるかわかるだろ? 自分がこういうふうに扱われたい、っていう女の子がいるパーティを選べば、まぁ、はずれには当たらないと思う」
簡単だが、説明は以上だ。
……ん? どうした?
ルチアもマルグリッドも、なぜフェンルの方をじーっと見ているのだ?
俺はなにかおかしなことを言ったか?
ん? どうしていきなり地面に手をついているのだ? 頭を下げて、顔を上げて。2人とも、真剣な顔をしているな。どうした。
「クロノお兄様」「クロノさま」
2人は声をそろえて、宣言した。
「「ルチア(わたし)たちを、このパーティの見習いとして働かせてください」」
「…………えー」
どうしてこうなるのだ……?
えっと、冗談を言っているわけではないのだよな?
ふたりとも唇をかみしめて、必死な目をしているからな。フェンルまで俺の隣で、なにかを訴えかけるような顔をしている。
「ルチアもマルグリッドも『邪悪な教団』を倒す勇者をめざしているんですよね?」
「「はいっ!!」」
元気な返事だな。ちっちゃな身体に、めいっぱい力を入れてるな。気張りすぎで倒れないか心配になるな。
だが、この2人はわかっていない。
俺とルチアたちの運命はこれ以上まじわらないということを。
確かに、こいつらの能力は、利用できる。
ルミーアの魔物探知能力があれば、安全なキャンプ地を割り出せるし、マルグリアの戦闘能力と魔法があれば、魔物を効率よく狩ることもできよう。それにフェンルの戦闘能力が加われば、クエスト攻略の速度は格段に上がるはず。俺は楽をさせてもらえるというわけだ。
だが、それも長くは続かないだろう。
俺の正体は、魔人の転生体なのだから。
そしてルチアとマルグリッドは『魔王の器』として育てられた、いわば実験体のようなものだ。彼女たちは『ニセ魔王』をあがめる教団の犠牲者なのだ。そんな奴らを、魔人の配下として使うことなどできるものか。
だから断るしかないのだ。
しかし……ここで正体を明かすわけにもいかぬか。仕方あるまい。
俺がフェンルをどんなふうに扱っているか、教えてやろう。
そうすれば2人とも、自分がこれから利用されるであろうことに気づき、離れていくだろうよ。
「来い、フェンル」
「──え? おにーちゃん!?」
俺はフェンルの小さな身体を抱き寄せた。
いつも通りに膝に乗せ、銀色の髪をなでる。ルチアとマルグリッドは笑っている。ほほえましい光景だと思っているのだろう。が、真実は違うのだ。教えてやろう──
「実は、フェンルは俺の妹ではない。従者だ」
「「「えええっ!!」」」
どうしてお前まで驚いているのだ、フェンル。
……そういえばさっきルチアたちが「一緒のパーティ」って言ったときも平然としてたな。そうなると永久『幼女モード』確定なのに。本当に身も心も幼女になってしまったのか……?
いいか、よく聞け。
「フェンルは見た目は小さいですけど、本当は15歳です。結構、しっかりしてます。あの口調は演技です」
「そ、そうでしたー!」
フェンルは、はっ、と顔を上げた。
「だましててごめんねー。ふぇんるは、ほんとはじゅうごさいなんだよー」
「「だますつもりですね!?」」
「ちがうよー!」
ルチアとマルグリッドに否定されて、涙目のフェンル。
……そういえば俺もフェンルの年齢を確認したわけではなかったな。
だが、フェンルは必死に首を横に振っている。本当のようだ。本当……だよな?
「フェンルを責めないでくれ。俺の指示だったのだ」
俺の言葉に、ルチアとマルグリッドが後ずさる。
俺の口調が変わったことに気づいたようだ。
「……何故、フェンルちゃんにそのような演技を?」
「実は、この手段を使ったのは、俺の趣味に合わせてのことなのだ」
俺たちが倒れた馬車を見つけたとき、マルグリッドは事故のせいで気が高ぶっていた。いきなり魔法を使ってきたくらいに。彼女の気をそらすためには、フェンルに幼女のふりをさせることが必要だったのだ。力押しは趣味ではないからな。
つまり──
「フェンルに幼女のふりをさせたのは、たかぶりを鎮めるためだ」
「「「────!?」」」
フェンルも含めて、3人まとめて目を見開いた。
マルグリアとルミーアはわかるが、どうしてお前も驚くのだ。フェンルよ。
「フェンルの『幼女モード』には、心をおだやかにする効果がある。俺はそれを利用したのだ。フェンルにそういう能力があることは、これまでの旅の中で、ルチアもマルグリッドもわかっているだろう?」
ルチアもマルグリッドは『幼女モード』のフェンルとはすぐに仲良くなれた。大変な状況の中、心おだやかに過ごすことができたはずだ。フェンルのその力は、俺も評価している。
「その後、フェンルに同じことを続けさせていたのは、俺が『幼女モード』で心を静めていたとは言いづらかったからだ。もちろん、くせになってしまったというのもあるのだが」
ルチアたちは呆然としている。
わかるぞ。俺もフェンルが『幼女モード』がくせになってしまうとは思わなかったからな。
「…………クロノお兄様と、フェンルちゃんは……そういう」──と、ルチアがつぶやいているのは、俺が従者を利用する主人だと気づいたからか。正義を愛する勇者志願者としては、許せないのかもしれぬな。
だがマルグリッドの「……そういうかたちの……あい」とはどういう意味だろうか。なぜ頬を染めているのだろうか。もしや、魔物と戦った夜、ずっと裸でいたせいか。いまさら風邪でも引いたのか?
が、2人とも、ちょっと退き気味に俺を見ているのは変わらない。
ようやくわかったようだ。魔の者の恐ろしさが。
では、最後の警告といこうか。
「パーティに入った場合、ルチアとマルグリッドにも、俺の命令に従ってもらうことになる」
「「──!?」」
「このパーティでは俺がリーダーだ。もしもそれが不満なら、パーティ加入はやめておいた方がいい。むりやり従わせているようでは、気持ちよく生活できないからな」
『スローライフ』とはそういうものだ。
俺がルチアとマルグリッドを支配したいわけではない。そんなぎすぎすした生活が『スローライフ』のわけがない。おたがい快適で気持ちいい生活をめざすべきなのだ。
「できればルチアとマルグリッドにも、フェンルのように心地よくなって欲しいからな。俺の元ではそうなれないというのなら、他を当たった方がいいだろう」
「……クロノさま……」
ふと見ると、膝の上からフェンルが俺を見上げていた。
「ご苦労だったな。フェンルよ。もういいぞ」
「ううん。だいじょうぶだよ、おにーちゃん!」
「いやいや、もういいのだ」
「なにがかなぁ、おにーちゃん?」
「……週イチくらいで『幼女モード』許可するから、今はやめてくれ」
「わかりましたクロノさま」
しゅたっ、と、フェンルは俺の隣に座り直した。
……従者に変な癖をつけるものではないな。
「これでわかっただろう。俺の正体が」
魔人、とまではいかないだろうが。他者の敵対心を消すために、従者を利用するような奴だということはわかったはずだ。さあ、どうする?
「わたしは、クロノさまに忠誠を誓います!」
不意に、マルグリッドが声を上げた。
真っ赤な顔で、背筋をぴん、と伸ばして、俺の顔を見つめている。
「わたしはすでに……クロノさまにすべてを見られてしまっているのです……クロノさまの正体を知ってしまったとしても、後戻りはできないのです」
「……いや、もう少しゆっくり考えた方がいいぞ」
「いいえ。決心がにぶりますから」
マルグリッドは首を横に振った。きっぱりと。
「どのみち、クロノさまに助けていただかなければ、私は死んでいたかもしれません。その身をどのように扱われようと、クロノさまのお好きに……。
改めてお願いします。わたしを、クロノさまのパーティに入れてください!」
「ルチアも覚悟を決めるのね」
幼女ルミーアがうなずく。
「このルチアも、クロノお兄様についていくことにするのね。光を知るためには、闇を受け入れなければいけないの。だから……」
幼女ルミーアは髪を振り乱して、叫んだ。
「ルミーアはクロノお兄様を信じることにしたのね。好きにすればいいのねっ!」
話はついた。ついてしまった。
おかしい。断るように仕向けたつもりだったのだが、どこで間違えたのだろう。
……まぁ、いいか。ふたりが冒険者として独り立ちするまで限定なら、仲間にしても。
2人は勇者を目指すと言った。そして『魔王復活』を名乗る教団を倒すと。ニセ魔王をあがめる奴らを倒す勇者を、俺が育てるというのも面白かろう。400年前にいた勇者たちへの仕返しにもなるしな。
いずれにせよ、俺の目的はあくまでも『スローライフ』。
その実験のため、ルチアとマルグリッドにも手伝ってもらえることはあろう。フェンルだけだと、ごはんの量が中途半端になってしまうからな。食材がよく余るのだ。4人なら、誰かが余った分を食べてくれるだろう。
そんなわけで、俺たちのパーティに幼女『ルチア』と、護衛少女『マルグリッド』が加入したのだった。
そして──今に戻って。
俺たちは王都の城門をくぐり抜けた。
他の町とは違い、王都は十数メートルの高さの城壁に囲まれている。城壁は二重になっていて、第一城壁の内側が一般人の町、第二城壁の内側が城や貴族街のエリアになっている。
町がある外郭部にはこうやって普通に入れるが、城や貴族街のある内郭部は多数の衛兵に守られていて、許可がなければ絶対に入れないそうだ。もっとも、内側になど用はないから問題はないのだが。
「うわーっ。すごーい!」
城の大通りに入ると、フェンルが歓声を上げた。
こら、走るな。手を放すな。子どもか。
ルチアを見ろ、しっかりマルグリッドの手を握って──いや、押さえてるのはルチアの方が。スレンダーなマルグリッドはフェンルと同じ子どものように、今にも走り出そうなほどわくわく顔で大通りを眺めている。気持ちはわかる。通りにはたくさんの露店が並び、商人や船乗り、旅人や吟遊詩人、踊り子装束の者も歩いている。種族も人間、エルフ、ドワーフ、その他さまざまだ。
「すっごく平和そうですね……ブロブロさま」
「そうだな。ここには大きな冒険者ギルドもあるというし、衛兵も多い。治安はしっかりしているのだろう」
俺がそう言ったとき──
町の大通りに、十数人の衛兵が現れた。
「王都の衛兵団よりお知らせする! さきほど、港町から連れてきた犯罪者が脱走した! その者は衛兵を傷つけ、今も逃亡中である!!」
……せっかくいい気分だったのに。
誰だ。その空気読まない逃亡者って。
「その者は『魔王グルガンゴルガ』なる者をあがめる邪悪な教団--いや、犯罪集団の主である!!」
「「……え」」
衛兵の言葉を聞いた、ルチアとマルグリッドが目を見開いた。
「……叔父さま」「でしょうか」
「だろうな」
さすが王都の兵士、行動が早い。
2人の養父の密告を受けて、すぐに動いたか。
ルチアたちの養父が死んで一ヶ月、彼女たちが町を出て、約10日、その間に海路で兵士を送り込んだようだ。
「居場所を知っている者は、衛兵の詰め所に知らせるように。匿名でも構わぬ。繰り返す。奴は魔法で衛兵を傷つけた、邪悪な組織の主である!! 闇の魔法使いや、暗殺者を使っていたという記録がある。注意せよ!!」
「……まぁ、俺たちには関係のない話だけどな」
俺は最小で『結界』を展開。衛兵の声を遮断する。
ルチアとマルグリッドは教団に利用されていただけだし、名前も見た目も変えている。すでに新しい人生を歩いているようなものだ。関係ない。
俺とフェンルが王都に来たのは情報収集のためだ。騒ぎになるようなら、すぐに別の町に移動したっていいのだ。まったくもって問題はないのだ。だから気にするな、ルチアも、マルグリッドも。
そう言って頭をなでると、2人は肩の力を抜いた。
まだ緊張しているようだが、ぎこちない笑顔で歩き出す。うむ。それでいい。とりあえず宿に入って休むとしよう。
「ひとつ聞いてもいいか。ふたりとも」
「はいなのね」「なんでもどうぞ」
「2人は、王都に来たら知り合いの商人を訪ねると言っていたな? 父親が殺されたことを訴えるために。そいつの名前と、だいたいの居場所を教えてくれないか?」
きょとん、と、ルチアとマルグリアが顔を見合わせる。
「なんてことはない。そいつのいる方には近づかないようにしたいだけだ。そいつも『濁点教団』の関係かもしれないからな。できるだけ離れたところに宿を取って、関わらないようにしようってだけの話だ」
「「は、はいっ」」
よし、いい返事だ。
ん? どうしたフェンルよ。なんでそんな心配そうな顔でこっちを見ている?
『教団』のことは問題なかろう。ルチアたちの叔父が逃げたといっても、土地勘のない場所だ。すぐに捕まるだろう。俺たちには関係ない。俺たちはただの、新人冒険者なのだからな。
だからすぐに宿を取って休むとしよう。そこでミルクを売っているから、温めて飲むか。落ち着くぞ。そしたらフェンルは、ルチアとマルグリアを寝かしつけてやってくれ。
──俺か?
俺はちょっと散歩に行ってくる。王都は初めてだからな、少し時間がかかるかもしれない。先に寝ていてくれ。いいな。
「……わかりました……ブロブロさま」
フェンルは俺の手を握り、耳元で小さく『魔人名』をささやいたのだった。
魔人さん、ひとりで町をおさんぽしに行きます。散歩です……
次回、第22話は土日くらいに更新予定です。
もうひとつのお話「異世界でスキルを解体したらチートな嫁が増殖しました」の書籍版4巻が、早いところではもう発売になっているようです。こちらもあわせて、よろしくお願いします。




