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書籍化の打診が来ています -出版までの遠い道のり-  作者: ダイスケ
その他の章:いろいろとおまけ

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45/48

45話:半歩先を目指すなら

本日投稿の2話目です。ご注意下さい。

あるレーベルが破綻したことで「なろうブームは終わった」という言説が増えてきました。

「最近なろうの本が以前ほど売れなくなった」という人がいます。

「なろうの作風に世間が飽きたのだ」とここぞとばかりに苦言を呈する人もいます。


どんなブームもやがて終わりが来ます。

「終わる終わる」と言い続けていれば、いつかは必ず当たる予言になるでしょう。


ですが、私はなろうの書籍が売れないとしても、その原因の分析が的はずれだと思うのです。

というのも、なろうの作風が・・・と批判する人々のなろう分析が、とても古いなろう作品について上っ面だけの分析に終始しているからです。


そうした人達は、だいたいがアニメ化されたなろう作品を元に批判を展開しています。

ですが、アニメ化される作品というのは、なろうではもう数年は前の作品です。

6、7年前の流行り、と言って良いかもしれません。


3ヶ月で流行が変化する、と言われるなろう界隈では、大昔の作品、と言って良いかもしれません。


これは言い換えると、世間様がなろう発の作品に抱いているイメージが、それぐらい大昔の作品であるということでもあります。


なろう発の小説は、確かに増えました。書籍化も毎月何十冊というペースで行われています。


なろうサイトの熱心な読者さんのお財布はそこまでのハイペースで増えたりはしませんから、部数を伸ばそうと思えば、いわゆる一般のお客さんに訴えかけて行かねばならないわけです。

書棚を拡大して目につくスペースに移動して、CMを打って広告を展開する。

出版社の努力もあって一般のお客さんにも、なろう書籍は一定の存在感を持つことができるようになってきました。


そうした一般のお客さんのなろう書籍に期待するイメージは、アニメ化された作品のいわゆるチーレムものであり、そうした作品があるだろうということで書籍をチェックするのでしょう。


書棚には「アニメ化決定!」などと派手な帯がついた作品が多く並んでいて、新しい書籍は、いかにもそうした作品の類書ですよ、という顔で陳列されているわけですが、実は世間様の認知から数歩先を進んだ、なろう最先端の流行作品であったりします。


ここで、新規の読者さんは混乱します。

「新しい!すごい!」と喜ぶのか「なにか期待している作品と違う」と失望するのか。


残念ながら多くの人は保守的なものですから、反応の大多数は後者になるでしょう。


世間の流行より半歩先の作品は売れる。三歩先の作品は売れない。

そういうことだと思います。


そうした状況で、なろう作家は売れるためにどうすれば良いか。


私は「適切なタイミングを待つ」ことだと思います。


なろうサイトの流行に乗って書籍化の打診が来たならば、世間の流行が追いつくまで出版を待つ。

原稿は上げて、コミカライズも済ませ、市場の反応を見ながら後出しジャンケンで勝つ。


出版社にも作家さんにも忍耐が必要になります。

ですが、そうして立ち止まって考えるということが、ときには適切な戦略であると信じます。

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