19話:「ビジネス書で出したいのです」
【文章を読む上での注意】
1.聞き取った情報は私の主観で構成されています。事実かどうかは保証できません。
2.実在の出版社や編集者から取材した内容に基づいてはおりますが、相手方のプライバシー保護及び信義則のため、話の内容や順番、インタビュー対象者などは私の主観で大きく編集した上で再構成したものです。
3.要するに「眉にツバをつけた上で」胡散臭い目をしつつ「読み物として」読んで下さい。「これが事実だ!」などと本気でとらないようお願いします。
編集の方との話を通じて、なろう書籍のビジネスの全体像が見えてました。
そして、自分の作品がどういう位置づけなのかも。
これもソシャゲのガチャで例えるなら、出版社にとって自分の作品はガチャチケです。
レアになる確率は、なろうのポイントなどである程度ある、と保証されています。
このガチャチケに出版社側で、製品として最低限の校正をしたり、あるいは予算をプラスして表紙をつけることで当選確率を上げようとするわけです。
これを出版戦略といいます。
ガチャチケであるところの私は、その出版戦略と自作の相性を考えなければなりません。
いわゆる戦略のすり合わせ、というものです。
これまでは、私は聞き役に回って、こちらの要望を伝えてきませんでした。
右も左もわからない状態で何を言っても的外れになる可能性は高かったですし、出版業界側の率直な見方を知りたかったのです。
そこで私は幾つかの確認と主張をすることにしました。
「実はですね、今は他の出版社さんからも提示を受けています」
その言葉の効果は劇的でした。それまでは、かなり余裕のある態度であった先方の顔が急に真剣味を増したのです。
その時の自分は(あ、やっぱり効果あるんだ)などと呑気に思っていましたが。
交渉の駆け引きというのが得意な人は押したり引いたりするのでしょうが、自分はそういうのが下手なタイプなので、最初にこちらの手札は見せてしまいます。
それで合理的に納得できる落とし所があればよし、なければ席を立つ、そういうスタンスです。
「それで、作品についてなのですができればビジネス書のような形態で出してみたいと思っています」
「ビジネス書、ですか?」
相手の編集の方は、鳩が豆鉄砲を食らったような顔で「ビジネス書」と繰り返しました。
「ビジネス書です」
私は(笑ってはいけない)と口元を引き締めながら、真面目くさった顔で何度か頷きました。
本日は18:00にも更新します
電子書籍は1日早く発売したようです!(ガチャの祈り




