御貴族様に会いました。
そのままライルとスノウを撫でていると馬車の中から声がした。
「…もし、ウルフ達はどうなりましたか?」
従者の人が馬車の扉を開き、中から長い銀色の髪に綺麗なエメラルド色の瞳を持った美女が恐る恐る顔を出した。
「ウルフ達はこの嬢ちゃんが退けてくれたぜ。」
茶髪に琥珀色の目を持った精悍な顔立ちをした大剣使いが私の頭に手を乗せて美女に言ったもんで彼女の視線が此方に向く。
「貴女がウルフ達を撃退してくださったのですか?
あら、まだ幼い私の娘達と同じくらいではおりませんか。」
「いいえ。
ウルフ達を実際に撃退したのは馬車を守っていた彼等です。
私はその手伝いをしただけに過ぎません。
先を急ぎますので此れで失礼させていただきます。」
成るべく失礼にならないように敬語を使い一礼をしてからライルに乗ろうとしたが従者さんに止められてしまった。
「御待ちください。
この結界を張ってくださったのは貴女様ですか?」
「はい。
ウルフ達を避ける為にこの結界石を使って勝手に張らせていただきました。」
手に持ったままっだった結界石を見せると彼は大きく目を見開き手を捕まれた。
「どうかその結界石を買い取らせていただけませんか!?」
あまりの展開に驚き見返すことしか出来ないでいると凛とした声がした。
「ニコラス。
可愛いお嬢さん困っているわ。
先ずその手を放してあげなさい。」
そこで髪老の従者さん、ニコラスさんはやっと私の手を放してくれた。
「此れは失礼いたしました。
どうやら、年甲斐もなく興奮してしまったようです。」
「ニコラス。
貴方がそこまで取り乱したのははじめて見たわ。
彼女が持っている結界石は何か特別なのかしら?」
女性の言葉にニコラスさんは目を輝かせて語り出す。
「はい。奥様。
彼女が持っている結界石は通常売っている結界石より二周りほど大きく、鑑定した結果は最高品質でした。
この結界石一つで旦那様の御屋敷を丸ごと覆うことが出来ます。
そして今まで各場所で使っていた結界石を使わなくて済み、一年程で直ぐに壊れていた結界石を買い換える必要もなくなり浮いた財源を更に民に回すことが出来るようになります。」
「それは本当なのニコラス!」
「誠にございます。
ですから、是非とも彼女から買い取りたいのです。」
長い話が終わり二人の視線と冒険者の視線が私に突き刺さる。
私はなんだか気まずくなり下を向くと奥様と呼ばれた女性に話しかけられた。
「いきなりごめんなさいね。
私はクレア・アルファンスよ。
彼は私の執事ニコラス。
貴女のお名前を教えてくれるかしら?」
優しい声にゆっくりと顔を上げると女性は幼い私にあわせて腰を屈ませていた。
名乗るべきか迷い視線をさ迷わせる。
「奥様に先を越されしまいましたな。
私は奥様に長年仕えている執事のニコラス・セバスチャンと申します。
どうか、御名前を教えて頂けませんか?」
ニコラスさんにまで言われてしまい戸惑いながら一礼して名乗る。
「はじめまして。
私はコユキ・ツキノです。
この子達は私の大切な家族で従魔のライルとスノウ。
黒い毛の子がライル。
白い毛の子がスノウです。」




