隆起
どうやら、首都の防衛を任されている部隊が首都の壁から、双眼鏡で周りを見渡していると蜘蛛のような生き物達が、土から湧いてきたようだ。
直ちに部隊の者がそれ等に接近を試みると、ミシン針を大きくしたような形状をした鈍く黒いものが部隊の全員を貫いたらしい。
その情報が壁内の部隊の偵察によって報告されたというわけである。
商業地区は騒ぎになっていた。このままでは壁内まで入ってきてここにいる皆も怪物に殺されてしまうのではないのか、と。
騒ぎは首都の部隊によって鎮められ防衛線が張られた。
しかし、蜘蛛のような生き物は土中に姿を消したらしい。
だが、不安がある。壁内に入ってくるという。
それを考えて商業地区は夜通し、警備の目が光ったが何も起こらなかった。
農作業をしている国民の状況に戻す。
国民は鍬で土を掘り起こしながら、種を蒔いている。
「首都は大変だな。人も多いし、金の流れもいいのに。」
先ほど聞き手であった国民が言う。
彼らは、日が沈みかけた地平線へ目をやる。
「そろそろ帰るか」
彼らは、自身の家へ帰る。
彼らは、耕した土が徐々に盛り上がっていくのを知らない。
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