第六話妖怪の山
「そうですか、ならば力づくで!」
椛が剣を逆さにし峰うちを狙っているのだろうこちらも剣を取り出すがこちらの剣は両刃だ。峰うちが出来ない。仕方なく剣その場に置きこぶしを構える。
「素手で止めれますか!」
剣を振る、その場で跳躍し頭上を越え椛が振り返ると同時に足蹴りを顎に食らわせる。跡が残らぬよう手加減はした妖怪かよくわからなかったから手加減したが、まぁ女だしな本気をだすのも手が引けるしな。などと思っていると不意に剣が横切る。
「あん?気絶しなかったのか、頑丈なやつだな。あれか妖怪ってやつか」
「あなた人間ですか?」
「さぁな、少なくとも妖怪のようなもんじゃねぇな」
想像に任せると言って再び構えを取り指をクイッとし挑発する。乗ったのか乗ってないのかはわからないが向かってくる。足で剣を弾き手に取り向かってくる剣を受け止める。
「パーティの時間だ」
剣を押し相手の剣を弾き次々に斬撃を繰り出す。椛はレオンの斬撃速度に追い付けていないのか何とかそらしている。そればかりに気を取られていたのか足元がお留守になっていた。そこの隙を付かれて足払いを思わずくらってしまう。倒れたところで首のすぐ横に剣を突き刺し、お前の負けだと言わんばかりの態度をとる。
「ま参りました・・・」
「だろうな」
椛の手を取り立たせる。大華が駆け寄ってくる。
「凄かったです!凄かったですよ!!なんというか本当に凄かったです!」
なんでこいつがはしゃいでるんだ?などと呆れながら思うと強烈な風が吹く。この風は少しおかしかった何故なら風が集まっているのだ。その場所に。
「この風は、あいつか」
「あいつ?だれだそれ」
「射命丸文という鴉天狗です。私は嫌いなんですよ」
「私しってますよ!私の憧れの人なんです」
「ほほう、私に憧れていると?ふふそれは嬉しいですね」
舞い降りたのは鴉の羽を生やした少女だ。手には紅葉みたいなうちわを持ち首にカメラをかけている。
「随分現代的なもん持ってんだな。と言っても古臭いけどな」
「まぁ、外来人のあなたからすればそうかもしれませんね。それに今となっては外来人の記事はそう珍しくもありませんし」
俺を記事にされるところだったのか?と疑問を浮かべると一ついい方法を思い浮かべる。こいつは記事といったつまり新聞記者か何かなのだろう。ならこいつに頼んで広告を張ってもらえればいい。という案が浮かんだ。
「なぁお前新聞記者なんだろ?」
「まぁ、そうですが」
「ならあんたの新聞に俺の何でも屋の広告を出してくんねーか?」
「はいぃっ?」
「だから広告出してくれって言ってんだよ」
深く考えられる。二つ返事でかえってくるとは思ってはいないが。そして条件付きで返事がかえってくる。
「それでしたら、一つ頼みがあります。今私たち天狗の間で厄介ごとがあるんですよ」
「人間の力を借りるなど!」
「あなたはその人間に負けたんでしょ?上にばれなきゃ問題はないはずよ」
椛が苦虫を噛み潰したようを言い表す様な顔をする。
「まぁ、わかったこの依頼が終わったらやってやるよ」
「待ってください、人間を通すわけにはいかない」
「だから・・・」
「いやいいですよ。ルールだったら守らないと」
依頼人が言うんだったら仕方ないとそれに従う。文との約束は明日の昼に約束し一旦神社への道へ行くため獣道を戻り正規のルートで神社へと向かう。ちゃんと整備されているのかちゃんとした道になって階段もあった。
「ふぁあ・・・!凄いですね、なんだかとっても神秘的です!」
「まぁあそこ程ボロッちくもないな」
博霊神社と比べるまでもなく新しくもどこか由緒正しい感じを思いただしてる。パシャパシャ撮っているとそれに気付いたのか緑髪の少女が出てくる。変な髪飾りや髪留めをしているが流行ってんのか?それにしてもどっかで見たことがあるような服装をしてんな。
「参拝客ですか?初めまして私東風谷早苗と言います。ここの巫女をやっています」
道理で見たことがあると思ったらこいつも巫女だったのか。あいつよりも大分しっかりしってんな。感慨に浸ると大華が何やしら円を箱に入れている。これは募金か?
「こりゃあなんだ?恵んでほしいのか?」
「何失礼なこと言ってるんですか!お賽銭箱ですよ」
「オサイセンバコ?募金箱のことか?」
今度は叩かれる。痛くはないのだが叩かれる理由が何一つ見つからない。腑に落ちないのだ。
「いいですよ、彼外国人でしょ?顔立ちが外国人っぽいですから、知らなくてもしょうがないですよ」
「そーだよな、まったくいきなり叩くなよ」
「・・・悪かったです」
「拗ねてんのか?」
「拗ねてません!」
大華がどう思おうと知ったこちゃないと気にも留めずに早苗に向かって話をする。
「さっき天狗が神社へ行けってうるさかったんだがな、天狗の間で起こってる問題ってなんだ?」
「それは天狗だけの問題じゃないんです。山全体に関わってることなんですが。妖怪わかりますか?その妖怪、いえあれは悪魔でしょうかそれがこの山で暴れているんです。もう何人の被害も出てまして大抵は傷ついているのですが何名かは全くの傷なしで死んでいるんです。今その対策に追われていましてあなた方もここから離れた方がいいと思いますよ」
「いやここに来たついでだ片付けてやるよ。あいつが言ってたことだろうしな」
困惑している顔を早苗はする。それも無理は無いだろう、いきなり来た人間が異変解決をしてやるなどどこぞの異変解決を副業としてるわけでもないのにだ。
「多分大丈夫ですよ。彼人里に出た化け物を簡単に倒しましたし、それに犬走椛さんにも勝ってましたし」
「まぁ、そういうこった。任せとけ」