第五話厄介な依頼人
塵となって芋虫型の悪魔が消え、リラックスするかのように首を回す。それほど苦戦はしないかった。まだお遊び程度のものだった。大した悪魔でもなかったのであろう。それより気になったのが悪魔の出現だ。ここは他と隔絶された土地ならば悪魔が現れるなど考えられないのだ。ただ単に向こうで忘れられた悪魔がここに来たのかと思考を張り巡らせるが途中で途切れた。何故なら知り合いの女性、藤原妹紅と上白沢慧音が来たからだ。
「何があったんだ?騒ぎがあったから来たんだけど」
「いや何お見合いさ」
「お見合い?」
「まぁ、カップル不成立だったけどな」
何を言ってるんだという目でみられてため息をしながら仕方なく説明をする。
「なるほど、その悪魔という妖怪が暴れていたから退治したということだな」
「ああ、まぁ妖怪じゃねぇけどな」
しかし慧音は腑に落ちない顔をしている。それが気になり聞いてみてみる。
「なんだ?悪魔が現れたのがそんなにおかしいのか?」
「人里には博霊の巫女の特殊な結界があってな、博霊の巫女に認可されてない妖怪は入れないようになっているのだが」
「だから、妖怪じゃねぇって」
「それもあるかもしれんが・・・」
「慧音そんなに疑っても意味ないって現れちゃったんだからまた出てきたら叩きのめせばいいんっだって」
妹紅の意見にそれもそうかなと少し不満を残しながらも納得をする慧音。
「その悪魔だっけ、そんな連中を一人で片付けるなんてあんた強いんだね」
「まぁな、仕事で悪魔狩りとかやってるからな。その一環だ」
そうなのかという。伸ばさないのかと心の中で思う。そして報酬を受け取り慧音が事態の収束を行っている間子供達の授業を行ってくれと頼まれたので簡単な数式を教えている。
「これをxに代入してだ、割れば・・・」
「せんせーそんなのならってませんー」
「なんだって?・・・まぁ数学なんてどの学年からやっても同じだ足し算引き算掛け算割り算覚えておけば解けない問題はないからな、おっし今から教えてやる」
数式を書いてる時にがらがらと扉が開く。依頼人だろうか、メガネをした少女だ。
「依頼か?今授業中だ後にしてくれ」
「あ、すいませんでした!表で待っておきます!」
元気溌剌した奴だったなと思い授業を再開する。一通り授業が終わった後慧音が帰ってきてバトンタッチする。待たせていた依頼人を呼び出し与えられていた部屋に連れて行き用件を聞く。
「あのですね。私がここでいう外来人なんですよ」
「みりゃわかる」
服装が江戸ぐらいの服装ではなく近代的で普通なものだ。
「依頼っていうのはですね。私のボディガードになって欲しいんですよ」
「ボディガード?何かに狙われてんのか?」
「ちがいますよ、危険なところに行くのでその一緒に来てもらいたいんです」
「わかったが、どこに行きたいんだ?ここの果てから地獄の底どこでもいいぜ」
「妖怪の山です」
「妖怪の山ぁ?」
聞いたことのない所だ。言葉から察するに化け物集団の総本山と言ったところだろう。
「そうです。わたしはそこで写真が撮りたいんです」
「報酬は高いぜ?」
「大丈夫です。自慢になるんですけど、私実家大富豪なので」
なるほどと頷くが意味ないだろとすぐさま思う。何故ならここは幻想郷元の世界とは違うのだ。
「実家がそうでもここでは意味ないだろ金はもってないんだろう?」
「小切手がありますよ。百万一千万一億訳ないです」
「ははん、けど大丈夫なのか?親の金だろ?」
途端暗い顔をする。元気だったのがウソのようだ。しまった地雷踏んだと心の中で思う。事実そうだった。
「親は関係ないです。私をよくしてくれてますけど・・・」
「わかったわかった言いたくないなら聞きやしない、まぁさっそく行くか?用意は?」
また途端にもとに戻る。まったく難儀なやつだぜ、扱い辛いやつだなと呆れながらも憎めないやつだなと思う。用意はもう纏めているらしく野宿をするつもりでもあるとのことで少しばかり用意をする必要が出てきた。用意が終了するとさっそく出発をする。妖怪の山への道中は何もなく写真を撮ってばかりだ。欠伸をしながら歩いているとその場所に着く。
「ここですよ!ここ!一人じゃ危険だって慧音さんに言われたからあなたに依頼したんです」
「はいはい、ちょっとうるさいから黙れ」
なんですか!その言い方!とか言われるが耳がキンキンするせいではっきり言ってあまり聞こえない。悪魔と天使の間に生まれたレオン等は常人の倍以上の身体能力を有していてもちろん五感もなので大変耳もよいので甲高い声を出されるとキンキンするのだ。
「まぁいいですけど、早くいきましょ!」
獣道を歩きながらもさも当然ながらも写真を撮る。そして突然変なことを言い出す。
「あなたに夢ってあります?」
「ああ?いきなりなんだ?」
「そういえば自己紹介がまだでしたね。私、一番合戦大華って言うんですけどあなたは?」
「俺はレオン・パージバル。さっきの夢っていう話は父さんのようになりたいだな」
「そうなんですか、私は新聞記者になりたいんです」
「そうかいい夢だな」
棒読みでいったことに対して馬鹿にしてるんですか!?と言われるが軽く流す。そんな話をしていると何者かが前を塞ぐ。
「なんだ?あんた」
「犬走椛、白狼天狗です。あなた方が侵入したのを見てこの場に来たわけです。この道は神社への道ではありません、引き返してください」
「それは無理だな、これは依頼だ。このかた失敗したことはないんでね力ずくで行かせてもらうからな」