ハザードサイレン
プロローグ
1つの影が机に寄りかかってタバコを吸っていた。すると脇のドアから、もう1つの影が入ってきた。
「研究の方はどうだい?」
「ええ、順調よ。」
答えた影のそばには、いくつもの幾何学模様が表示されたモニターがおいてある。
1人目の影がそばのボードを操作し、棒グラフのようなものが映し出された。その棒はわずかな上下を繰り返し、右端でとてつもなく上がっていた。
「すごいじゃないか!・・・でも、どうしてこれをやらないのかい?」
2人目はすっていたタバコを机の灰皿に落とし、呆れた表情で答えた。
「それをするにはものすごい費用がかかるからよ。ま、もう少し出費を出してくれれば、やらないことも無いわよ。」
「う~ん・・・まあ、上に掛け合ってみるよ」
「フフ、そういうと思った。」
「?」
2人目は手元のリモコンのボタンを押し、壁に内蔵されたガラスケースを露にした。
そこには、胎児のような生物が、その透けた容姿にそぐわぬ屈強な心臓を動かしていた。
「おお・・・すばらしい・・・」
「・・・」
1人目はガラスケースを見つめ、うっとりとした表情でつぶやいた。
「ニトログリセリンを投与したのよ。ただし、濃度と量は半端じゃないけど」
「何でそんな危険なもの・・・」
「あら、知らない?ニトログリセリンは血管拡張作用があるのよ。だから狭心症の薬になるわ。」
「なるほど。だからこんなに心臓が・・・」
そのとき、ガラスケース内の生物が突然もがき始めた。
「「!?」」
そのうち生物は見る見るうちに黒く変色し、胎児から卵のような姿になった。
「なんだ!?どうしたんだい!?」
「わからない!・・・っ!!これは・・・」
「どうした?」
すると、卵の殻を突き破って1対の歪んだ翼が生え、ドン、ドンとガラスケースを叩き始めた。
「大変だ!わ、割れる!」
「落ち着いて!このガラスは強繊維ガラスよ。早々に割れやしな・・・」
バキ!ビキ!という音と共に、ガラスケース中にひびが入った。
「いっ!?」
「ひゃ~!!」
「ちょ・・・待ってよ!」
廊下に2人目の影が一目散に逃げ出し、1人目があわてて追いかける。
「しまった、ニトログリセリンはタバコの火でも引火する引火性の高い薬品・・・」
そう思った瞬間、翼が叩いていたガラスがわれた。内部の液体が捨てたタバコに触れた瞬間、部屋や廊下もろとも轟音と火に包まれ、もう間もなく、ウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥ~~~~~~~ッッ!!!!というけたたましいサイレンらしき音が鳴り響いた――――――――――
どうも、決勝 戦(男)です。これが最初の小説ではないんですが、久しぶりに書いて面白かったため、このような経緯にかかりました。まず、プロローグの影ですが、正体は明かせません(当然)。いわゆる伏線ってかフラグですね。ニトログリセリンは、『ニトロ』という名がついてる時点で危険な香りが漂ってきますね。そのまんま着火性と爆発性はかなり高いです。これを高濃度で投与してるからおお、こわいこわい。途中まで書きおわってるので、すぐに投稿出来ると思います。乞うご期待!