表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/22

第六幕 武道館周辺混戦模様

 国立近代美術館前で炸裂したドロントの仕掛けた閃光弾の輝きは、周辺を一気に照らし出す。


 その輝きは、公園の反対側にある武道館の向こうにまで届いた。


 MIDORI、その閃光に気づき、窓から顔を出す。以下、MIと表記。


 警官も気づき、振り返る。


 警官「何だ、今のは?」


 警官が閃光に気を取られているのを見たMI、運転手に囁く。


 MI「今よ!」


 運転手の女の子、キョトンとするが、やがてハッとなる。


 運転手「はい」


 女の子、アクセルをベタ踏み。


 タクシーは唸りを上げて武道館方面へと急加速する。


 警官、アッと驚き、タクシーを追いかける。


 警官「こら、待ちなさい!」


 車に人間が追いつけるはずもなく、タクシーは警官を突き放し、武道館前へと走る。


 MI「よし!」


 MI、一人でガッツポーズ。


 呆れるリョク、苦笑いする運転手の女の子。


 リョク「こんな事しちゃって大丈夫なの、姉さん?」


 MI「平気平気。何も悪い事してないでしょ」


 お気楽に笑うMI。溜息を吐くリョク。


 そんな彼女達の遥か上空をドロント達のハンググライダーが滑空して行く。


 MI達は全く気づかない。


 それを追うようにして現れるパトカーの一団。


 絶対逃げられないくらいの数が、彼女達の方へと走って来る。


 蒼ざめるMI。ポカンとしてしまい、動かなくなる運転手の女の子。


 項垂れるリョク。


 リョク「終わったかも知れない。芸能人MIDORIの人生……」


 運転手、ハザードを点滅させてタクシーを端に寄せ、停止。


 MI、手を合わせて頭を下げる。


 MI「ごめーん! 罰金なら、私が払うから」


 運転手の女の子、振り返ってMI達を見る。


 運転手「大丈夫ですよ」


 笑顔で応じる女の子に涙ぐむMI。


 次の瞬間、パトカーの一団はタクシーの横を走り抜け、田安門方面に走り去る。


 キョトンとする三人。思わず顔を見合わせる。


 やがてムカムカし始めるMI。


 MI「何よ、何よ! これってどういう事?」


 MI、タクシーを降りると、パトカーが走り去った方角を睨みつける。


 MI「こらーっ! 人騒がせな!」


 MI、あっと思い出し、運転手を見る。


 MI「ホントにごめんね、酷い目に遭わせちゃって。お釣りはいいわ」


 MI、運転手の女の子に一万円札を差し出す。


 女の子、目を丸くして驚く。


 運転手「いえ、そんなにいただけません。何もなかったのですから」


 それでもおさまらないMIは、更にバッグからコンサートのチケットを取り出す。


 MI「それから、これ、明日の夜のコンサートの最前列のチケット。是非観に来て」


 女の子、そのチケットの価値を知っているのか、震えながら受け取る。


 運転手「あ、ありがとうございます」


 MI、走り去るタクシーに手を振る。タクシーは近代美術館方面へと去って行く。


 MI、リョクを見る。


 MI「さてと。忘れ物を取りに行きましょうか」


 リョクはようやく笑顔になる。


 リョク「ええ」


 二人、武道館へと歩き出す。


 


 武道館脇の林の上を滑空するドロント達のハンググライダー。


 次第に高度を下げて来ている。


 ドロント「ミスティ、このままじゃ、二人共捕まっちゃうわ。私は走って逃げるから、貴女はビルの屋上に戻って」


 ドロント、必死にグライダーの操作をしているミスティを見上げる。


 ミスティ「でも首領、あの人の射撃の腕はかなりのものですよ」


 ミスティ、姿勢を維持しながらドロントを見る。


 ドロント「大丈夫。このスーツだって、防弾性抜群なんだから」


 ドロント、ウィンクして縄梯子から飛び降り、地面に着地。


 ミスティ「首領、ご無事で」


 ミスティ、グライダーを右旋回させて元来た商事会社のビルを目指す。


 パトカーを降り、走って追跡していたシャーロットがそれに気づいて立ち止まる。以下、シャと表記。


 シャ「今、ドロントが飛び降りたようね」


 シャ、同行していた機動隊員を見る。


 シャ「貴方達はグライダーを追跡して。私はドロントを追うわ。それから、他の隊に靖国通り方面に非常線を張るように無線連絡を」


 機動隊員、敬礼して走り去る。


 シャ、ホルスターからオートマグを抜き、再び走り出す。


 ドロント、木の上に身を潜め、シャを観察。


 ドロント「また物騒なモノを持ち出して、あの()は。暴力で何でも解決しようなんて、若い女の子の考える事じゃないわね」


 ドロント、枝の上に立つ。


 ドロント「シャーロット、私はここよ」


 手を振って挑発するドロント。


 それを見てムッとするシャ。


 シャ「私をバカにしているの、ドロント!?」


 シャ、オートマグを構える。


 ドロント、肩を竦める。


 ドロント「そう思うなら、それでもいいわよ」


 シャ「何ですって!?」


 シャ、いきなりオートマグを発射。ガオオンと吠えるオートマグ。


 ドロント、類人猿のように木から木へと飛び移り、銃撃をかわす。


 シャ「待ちなさい!」


 シャ、歯軋りして走り出す。


 ドロントが次に飛び移った枝が枯れていたらしく、ボキッと折れる。


 ドロント「えっ?」


 そのままバランスを崩して落下するドロント。頭を木に打ちつけ、気絶。


 それに気づかず、そこから更に先へと走って行くシャ。


 


 武道館前。


 銃声を聞いたMI、驚いて周囲を見渡す。


 MI「何、今の?」


 リョクも顔色を変えて辺りを窺う。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ