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第四幕 ミッション開始

 同じく深夜。


 渋谷駅前。


 MIDORI達がほろ酔い気分で舗道を練り歩いている。以下、MIと表記。


 周辺にいる人達はMIに気づくが、まさかと思って遠巻きに見ているだけ。


 リョクは下戸のため、酔っていない。陽気にはしゃぐMI達を冷めた目で眺めている。


 ふと何かに思い当たるリョク。立ち止まる。


 リョク「ああっ!」


 リョクの大声に停止する一同。他の人達まで驚いて彼女を見る。


 リョク、周囲の耳目を集めているーのに気づき、赤面。


 MI「どったの、リョクちゃん?」


 MI、リョクに顔を近づけて尋ねる。酒臭い息がかかり、顔をしかめるリョク。


 リョク「武道館の控え室に、スケジュール帳忘れて来ちゃった!」


 酷く慌てている。大道具の松本がへらへら笑う。


 松本「あらま。リョクちゃんともあろう方が、何とした事でしょ?」


 リョク、頭を抱えている。


 MI、ニッと笑う。


 MI「じゃ、これから取りに戻ろう!」


 リョク、ハッと我に返り、姉を見る。


 リョク「ダメダメ! 姉さん達はホテルに帰って。私一人で大丈夫だから」


 リョク、眼鏡をキュッと上げて言う。


 しかし、MIはそんなつもりは全然ないような嬉しそうな顔をしている。


 MI「ダーメ! 一緒に行く。但し、私のみ! あとのみんなはここで解散!」


 えーっ、と言う声が上がる。MIの独白。


 MI「MIDORI BANDの独裁者である私の言葉は、王様の命令並みに絶対なのだ」


 リョク、項垂れる。


 リョク「全く……」


 MIの独白。


 MI「リョクちゃんは仕方なさそうに納得し、私と行く事に同意したのでした」

 



 国立近代美術館前。


 正面玄関の前に立つシャーロット。以下、シャと表記。


 シャ「あと一分。ドロント、どこから現れるつもり?」


 シャ、腕時計を見ながら呟く。


 シャ「貴女の今回の獲物は何?」


 シャ、眉間に皺を寄せ、鋭い目つきで美術館を仰ぎ見る。


 その時、暗闇を斬り裂いて飛ぶ謎の飛行物体が二つ。


 機動隊員の一人がそれに気づき、指差す。


 隊員「あれは何だ?」


 シャ、その声に反応し、夜空を見上げる。


 シャ「ライト!」


 サーチライトが幾つも照射され、空を舞う二機のハンググライダーが浮かび上がる。


 シャ「ドロントよ! しっかり追跡して!」


 シャ、ハンググライダーを追って、美術館前の歩道を走る。


 その時、とごからともなくドロントの声が聞こえる。


 ドロントの声「シャーロット、また赤っ恥を掻きに態々(わざわざ)日本までおいでとは、ご苦労様」


 シャ、ムッとして立ち止まり、辺りを見回す。


 シャ「うるさいわね! 今撃ち落としてあげるから、覚悟なさい!」


 シャ、スーツの下のショルダーホルスターからスミス&ウエッソン44オートマグナムを抜く。


 ガオオンと吠える44オートマグナム。


 ドロントの声「きゃああ!」


 ハンググライダーの一機が右の翼を撃ち抜かれ、クルクル錐揉みながらお堀の方へと急降下する。


 もう一機はそれを追うように飛ぶ。


 ミスティの声「首領!」


 シャ、してやったりの顔でニッとする。


 シャ「どうやら、ドロントの方が墜落したようね」


 シャ、ハンググライダーを追いかけ、お堀方向へ走り出す。


 シャ「ドロントを逃がしてはダメよ。お堀から猫の子一匹出し手はいけないわ!」


 シャ、機動隊を引き連れ、某新聞社のビルの方へと走る。


 一人、不審な動きをする隊員。実はドロントの変装。


 ドロント「もう、単純なんだから、シャーロットは」


 ドロント、変装を解き、仮面に仕込んである通信機を操作。


 ドロント「ミスティ、適当に引きつけて、早くこっちに戻ってね」


 ミスティの声「了解」


 ドロント、美術館に近づき、周囲を見渡す。美術館の裏手を首都高速の高架が走っている。


 ドロント、玄関に近づく。ドアを少しだけ開き、中に睡眠ガス弾を投げ込む。


 簡易のガスマスクを着け、中に飛び込むドロント。


 一階フロアはガスが充満しており、警戒に当たっていた機動隊員が皆、眠ってしまっている。


 ドロント、受付カウンターの前を通過、エレベーターに近づき、作動していない事を確認。


 階段の様子を見てから、二階に向かって睡眠ガス弾を投げ上げる。


ドロント「獲物は確か、二階のギャラリー3の一番奥のはず」


 ドロント、月面を歩くように身軽に階段を駆け上がる。




 大通りでタクシーを拾おうと必死のリョクとMIDORI。以下、MIと表記。


 全く止まってくれるタクシーがいない。


 イライラしているMI。焦り顔のリョク。


 ようやく停車してくれたタクシー。可愛い女の子が運転手。


 運転手「どちらまでですか?」


 MI、リョクを押し込むようにタクシーに乗る。


 リョク「武道館まで」


 MI「超特急でお願いしまっせ」


 運転手、MIの言葉に笑う。


 運転手「わかりました」


 運転手、無線で行き先を会社に告げ、メーターを倒す。


 ハザードを切り、走り出すタクシー。


 

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