表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/22

最終幕 これでお別れ?

 翌日。


 朝日が昇り、街の明かりが消え始める。


 梅雨の晴れ間である。


 路面のあちこちにある水溜まり。


 紫陽花の葉の上をゆっくりと進むかたつむり。


 早くも多くの人で混雑している成田空港ロビー。


 その中に見える、シャーロットとMIDORIとリョクの姿。


 以下、シャ、MIと表記。MIの独白。


 MI「昨夜は大変でした」


 以下、回想シーン。


 夜。警視庁全景。


 警視総監を始め、多くの幹部が大慌てで動き回る。


 記者会見場で質問攻めの副総監。汗を拭いながら、愛想笑い。


 MI「裏柳生のオジさん達が、全て警視庁の警官で、警視総監までもが事件に関与していた事が、シャーロットさんの捜査で判明し」


 シャが裏柳生の連中を締め上げているシーン。MIの独白の続き。


 MI「もう警視庁は大パニック。警察庁長官や、都知事、国家公安委員長、法務大臣まで出て来て、大変な混乱の中、あの法隆寺の絵を巡る事件は収拾へと向かいました」


 ロビー。シャ、MIとリョクに微笑む。


 シャ「世話になったわね、MIDORI」


 MI、周囲を見渡し、不満そうな顔をする。


 MI「全く、お偉いさん達は酷いわね。あれだけの事件を解決したシャーロットさんを見送りに来ないなんて」


 シャ「来られないわよ。今、人事異動で大変なんだから。まァ、来てもらっても迷惑なだけだしね」


 MI「それもそうですね」


 三人、大笑いする。


 リョク「お元気で、シャーロットさん」


 シャ「貴女達もね」


 シャ、下りのエスカレーターに乗り、やがて見えなくなる。


 リョク「行っちゃったね」


 MI、エスカレーターを見たまま。


 MI「ええ。行っちゃったね」


 二人、同時に振り返り、そこに美女二人が立っているのに気づき、ギョッとする。


 真っ赤なワンピースを着たドロント(仮面なし)と紺のパンツスーツの美咲である。


 MI、唖然としていたが、口を開く。


 MI「だ、大胆ですね、お二人共」

 

 ドロント、ニヤッとする。


 ドロント「まァね。私達の正体を知っているのは、貴女達だけですもんね」


 ビクッとし、後退りするMI。


 MI「それって、もの凄く危険な発言ではないですか?」


 リョクもピクンとしてドロントを見る。ドロント、微笑んだまま。


 ドロント「バカねえ。勘ぐり過ぎよ。貴女達の口を封じる必要なんてないもの」


 MIとリョク、ホッとする。そして、あれっと思うMI。


 MI「必要がないって、どういう事ですか?」


 ドロント「だって貴女、美咲と一緒に法隆寺の絵を盗んだでしょ? 立派な共犯よ」


 MI「げっ!」


 蒼ざめるMI。リョクも顔色が悪い。


 苦笑いするドロント。


 ドロント「私が記憶を失ったふりをしたのは、美咲の力を見るためもあったけど、貴女達が決して私達を裏切れないようにするためでもあったの。私、酷い女ね。謝るわ」


 ドロント、頭を下げる。そして顔を上げ、ニコッとする。


 ドロント「でも、面白かったでしょ?」


 MI「ええ、そりゃもう」


 MIの反応に驚くリョク。


 ドロント「もう一度、一緒に仕事しない?」


 MI「是非!」


 笑顔で応じるMIにムッとするリョク。


 リョク「姉さん!」


 苦笑いしてリョクを見るMI。


 ドロントと美咲、二人に背を向けかける。


 ドロント「じゃあね、MIDORIさん、リョクさん。また会えるといいわね」


 MI「ええ、ドロントさん。いえ、葵さん」


 ドロント、ニコッとして歩き出す。


 美咲「MIDORIさん、リョクさん、元気でね。縁があったらまた会いましょう」


 美咲も歩き出す。


 MI&リョク「お二人もお元気で!」


 ドロント達が見えなくなるまで手を振るMIとリョク。


 MI「さてと」


 リョクを見るMI。


 MI「これから、夏休みのコンサートに向けて、特訓よ!」


 力こぶを出してみせるMI。


 リョク「お酒も程々、カラオケも控え目にしないとね」


 ムッとするMI。


 MI「と、とにかく、おうちに帰りましょ」


 リョク「ええ、姉さん」


 歩き出すMIとリョク。ロビーは大きなスーツケースを引く人達で溢れている。


 MI「でも、まるで映画の中に飛び込んで、主人公と一緒になって活躍したみたいだったね」


 リョク「ええ。また会えるといいね、ドロントさんと美咲さん」


 MI「それと、シャーロットさんともね」


 MI、ウィンクする。


 成田空港全景。


 飛び立つ航空機。朝日に照らされ、輝く。


                                   END.

ここまでお読み下さり、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ