表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/49

39.帝都へ帰るわよ!

 ノークス伯爵領滞在五日目。

 途中トラブルはあったものの、本日、ビビアン達は帰路につく。


 城の前で、ジョージに見送られ、ビビアン達は別れを告げた。


「男爵、それでは達者で。貴殿なら、この領地を立て直せると期待している」

「過分なお言葉、大変ありがたく存じます。陛下のご期待に添えるよう、ひたすらに力を尽くしたいと思います」


 今後、ジョージは前伯爵と執事が行った不正の後始末をしつつ、領地を立て直すことになる。

 苦難が多いだろうが、その表情はどこか晴れやかだ。


「世話になったわ。村の件、こちらでも希望者を募ってみるから、結果がわかれば連絡するわ」

「あのようなことがあったのに、この領地のために動いてくださるのですか……」


 驚愕の表情を浮かべるジョージに笑ってみせる。


「あら。今後も、薬草のことでわからないことがあったら、聞くつもりなの。その時は、よろしく頼むわね」

「もちろんです。いつでも、お聞きください。皇妃殿下にも、領地のことで、大変ご迷惑をおかけしました」


 捕縛された伯爵達は一足先に皇都へと送られている。

 度重なる不祥事に、ノークス伯爵領は男爵領へと降爵され、ジョージが男爵家を継いだ。

 継母や、その娘達は、離婚して生家に帰ることを希望していた。

 ジョージとしても、流石に自分を冷遇していた彼女達を養う気はないようで、もし生家に受け入れを拒否されたら、修道院に行ってもらうことになるだろうと話していた。


 上級回復薬に偽装して売ってしまった回復薬については、少しでも信頼回復に努めるため、販売記録を遡り弁償あるいは交換を行うそうだ。

 男爵領に余裕はないが、必要なことだと話していた。

 そんなジョージならば、男爵領を立て直すことができると思っている。


 また、前ノークス男爵の隠し子であるクロビスの存在については、今の段階ではジョージにのみ伝えてある。

 ジョージは、クロビスの意見を聞いて判断したいと言っていた。

 どちらを選ぶにしても保釈金は払うので、異母弟としてでも、ただの雇われ魔術師としても、できたら男爵領に来てくれたら嬉しいという希望を聞いている。

 不祥事を起こした男爵家とは関わりたくないのなら仕方がないが、男爵領的には、少しでも人手がほしい。

 特に、上級回復薬の製造に携わっていた魔術師も捕縛されてしまった。

 魔術師の資格を持つクロビスが希望するなら、男爵領で働くことも考えてほしいという話だった。


「色々あったけど、全ていい方向に行きそうね」

「ビビとの初の遠出が、仕事漬けで終わってしまったな」


 ユリウスは少し残念そうだ。


「あら。また、旅行は旅行で行けばいいじゃない。今回は、私も仕事が目的だったもの」

「そうだな。必ず行こう」


 そうして、ユリウスのエスコートで馬車に乗り込んだ。



 皇都に帰宅した翌日。

 執務室に向かうと、ビビアンの机には手紙が溜まっていた。


 標準的な皇妃の公務を受けているわけではないので書類は少ない。

 代わりに手紙が山のようにたまっている。


 面会を望む高位貴族からの手紙や、孤児院関係で面会やビビアンの判断を求める手紙が来ており、全て侍女では判断できない内容だ。


(五日も空けたのだもの、仕方がないわよね。でも、私でこれなら、ユーリはどれくらい溜まっているかしら……)


 ユリウスは、この状態を見越していたのだろう。

 しばらくは忙しくなると言っていた。

 二つ、三つ、書類の塔が建っているかもしれない。

 そんなことを考えつつ手紙に目を通していると、宮廷魔術師のエリックから手紙が届いていた。

 どうやら、ビビアンの薬草畑で進展があったようだ。


(遠出した甲斐があったわね……!)


 早速魔力水を与えてくれたらしく、薬草は元気を取り戻したと書いてある。

 くだいた魔石を土に混ぜ込む方法も試してくれたようで、そちらの方法でもうまくいっているらしい。


 ただ葉が完全に枯れている部分が多いため、回復薬はまだ作れていないそうだ。

 一度、株元まで苗を切り戻し、成長を待ってから作るため、時間がかかるということだった。

 それでも、回復薬の元となる薬草は成長が早い。

 1ヶ月もすれば結果は出るそうだ。


 そのまま続けてもらうように手紙を書き、孤児院関係の手紙を読む。

 孤児院長のノエミからも手紙が届いていた。

 できたら、ビビアンと会って話したい用件があるそうだ。


(相談、かしら……?)


 食料も衣服も、今後の運営資金も問題はないはずで、心当たりが思い浮かばない。


(今日は……厳しいかしら。明日、向かうと連絡してもらいましょう)


 マクシムに手配を頼み、残りの手紙にも目を通していく。


(お茶会のお誘いも多いけど、そちらはもう少し回復薬事業が安定してから考えましょう……。今はまだ無理ね)


 全ての誘いに丁寧に返事を書いていくのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ