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樹当千  作者: 千葉
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四十九話 華麗なる戦闘


だいぶ更新が遅れて申し訳ありません!!




キリリと引き締まった顔立ちと特徴的な尖った耳から青年はリザルトさんと同じエルフ族ということがわかる。そのリアルイケメンに街中で会ったら思わずぶん殴りたくなるほど造作は完璧だ。だがこういう奴は大抵何かしらの致命的な欠点を持っていることが多い(ただの僻み)。

それを見つけ出せば……


「何故こちらをジロジロ見ているのだ。たかが人間の分際で!!」


こいつの欠点は性格だねっ!!


さすがにイラッときたので何か言い返そうとしたら、リザルトさんが俺以上の怒声で青年に返した。


「お前こそ何故ここにいるんだグルーナ!!


もはやお前はエルフ族から追放された身、この地域に立ち寄ることは禁じたはずだ!!」


「何故ここにいるって!?


夫が妻を迎えにくるのは当然じゃないですか、なぁユレイア?」


その言葉に驚愕してユーリィを見るが、ユーリィは親の敵を見るかのような眼でただグルーナという男を睨んでいる。何が真実かよく分からないがユーリィがこいつを嫌いでいるということは確かだ。


「世迷言を!!


貴様に娘をやるぐらいなら最近ここにやってきた馬の骨にやったほうがマシだ!!


馬の骨がすごく気になったがそれはともかく、リザルトさんは剣を手にしてグルーナ相手に斬りかかった。しかし先ほどの結界が破られたときの疲労が溜まっているのか、動きは幾分遅くなっている。

案の定その攻撃は竜の頭を模した杖によって阻まれ、返す一撃でリザルトさんを貫こうとするがそれはいつの間に自分の横から消えていたユーリィが止めた。


「夫の出迎えご苦労、ユレイア♪」


「誰がっ、貴様などに!!


死ねっ、死ねっ、死ねーーー!!」


ユーリィの剣技は怒りでぶれにぶれていたが、その殺気は今までに感じたどんなものより強い。それを平然とした表情で受け止めるグルーナにユーリィの殺気は更に膨れ上がっていく。

しかしユーリィの手は魔法による火傷で覆われていて今は気力だけで剣を振るっているようなものだ。

そんな状態で無茶したら手の傷は悪化して二度と直らなくなるかもしれない。

最悪二度と剣をもてなくなってしまったらユーリィは絶対後悔するだろう。


まっ、そんなことはさせないが


「何っ!?」


普段ならユーリィに気づかれず後ろを取ることなどできないが、ユーリィはグルーナへの怒りで平静を欠いている状況なので後ろへ移動し、石突による打撃でユーリィの意識を刈り取ることも簡単だった。気絶したユーリィを抱えて一度グルーナと距離をとろうとしたが、グルーナは


「人間の分際で妻に触れるな!!」


っと言い杖で俺の体を貫こうとした。

相手も怒りで攻撃が単調だったので避けることも簡単だったが、何分しつこい。

そんな俺を見てマキアが弓で正確な援護射撃をして出来た隙に、カナゼ師匠が俺とグルーナの間に入りなんとか脱出成功。


急いでユーリィを抱えガロンのもとへ運ぶがユーリィの顔色は青ざめ、眉間に皺が集まっている。きっと夢の中でもあの男を憎み、殺そうと追いかけているのだろう。そこまで憎む理由は分からないがユーリィの憎みは俺の憎み、人間をバカにした態度も許せんがユーリィは俺の嫁!!発言をしたことはもっと許せん!!


ユーリィの眉間を優しくなぞって皺を消すとガロンに預けて安全な場所に逃げろと命令する。ガロンは一度可愛く頷くと去っていった。


「クソッ、あの騎竜を追え!」


「それは俺達の役目に入ってないんだけどなグルーナさん。」


並んだ人狼たちの奥からあの時の奴(元ケンさん)が現れてそう言った。

どうやら利害関係はしっかりしているらしい。


「ならば自ら行く!!」


「おっと、そうはさせんよ。


バカ弟子に師匠のすごさと自分とどれぐらい実力が離れているかを思い知らせるためにな」


全然かっこよくないことを口走りながら黄金の愛槍をグルーナの喉元に突きつける師匠。

しかしグルーナは躊躇わず杖をガロンに向ける。


「死ねっ、“毒の矢”」


するとグルーナの杖先から毒々しい緑色をした矢がガロン目がけて飛んでいく。俺は風の塊でそれを迎撃しようとするが、未だ魔力の合成が遅くて全ての矢を迎撃しきることはできなかった。そしてその矢がガロンに当たるその瞬間


「まだまだ甘いのうイツキ」


俺なんかとは比べ物にならないほどの豪風が矢を全て弾き飛ばしてしまった。

そのあきれ返るような威力の魔法を使ったことによってもとの魔人の姿に戻ったマキアが偉そうにふんぞり返る様子はとても可愛らしい姿だったことをここに述べておこう。


「我らはこいつの相手をするからイツキはそこの人狼たちを頼んだぞ」


マキアの信頼がこそばゆいと共に嬉しい。俺は立ちはだかる二メートル越えの人狼たちを見上げながら凛々しく言った。


「マカセナサーイ!」


『ちょっと、真面目にやってよね』


手に握られたフィラン(愛い奴)から突っ込みが入る。

「はいはい、わかってますよ」


冗談もそろそろ止めにして現状確認。

一番体の大きい先頭の元ケンさんの後ろには人狼が約百匹、そして木の上にも同様に百匹、

これではまるで軍隊のようだ。


多勢に無勢ここに極まるだな。


『忘れたの、僕の正式な名前を?』


そういえばなんだったっけ?確か<五つの変態>だったっけ?


『今わざと間違えたでしょ!僕もう二度とイツキと話さないから!!』


ジョーク、ジョーク!

フィランの反応が可愛いからつい……


『……これっきりだよ。僕の名前は<五つの軍隊>フィフス・ランス


つまり五本の槍が使えるってこと。』


え……それだけ!?


『それだけとは何なのさ!?

言っておくけど僕は魔槍の中でもかなりレアなんだからね!!


それに使える槍は通常形体とは別に五つあって、その全てが伝説級の代物ばかり!


対軍、対魔、対空、対国、対神なんでもござれだよっ!!』


それなんてチート?


『まっ、君はまだまだ修行不足だからせいぜい一本の槍しか使えないだろうけどね』


一本でもあれば誰にでも勝てるだろ。


『そんなことはないよ、僕は五つ揃ってこそ本来の力が出せるんだ。


一気に五本召喚するにはまだ大分先のことになるかもね。

なんせ今まで僕を使いこなした人なんていないもん。』


そう言われると使いこなしたくなるな。


『ハハハ、じゃあ頑張って~』


眼を開けるとやはり変わらず人狼たちがいる。

槍を見てみると形が変わっていて、何故か十文字槍になっていた。攻撃範囲は確かに増えたが実践ではどう影響するかな?


「よしっ、やろうや」


俺の挑発に人狼たちは簡単に乗り、グルルルと合唱にも似た声が響く。少し挑発したことを後悔しながら槍を構える俺。へっぴり腰になってなければいいのだが……


「お前たち……やれ」


ケン(もうケンでいいや)の号令と同時に人狼たちは飛び掛ってきた。さすがに一斉に飛び掛ると混戦状態になって仲間討ちをしだすせいか、集団としての利を生かせる数(それでもかなり多い)が上と正面から襲い掛かってくる。


一撃で殺らなければこの数相手では大変しんどい。長期戦の構えで波状攻撃されればさすがに死ぬだろう。


爪や牙の群れを掻い潜るのはシクエちゃんの地獄の組み手の成果が少しは出たのか、楽だった。後はこの槍の威力だが……


ギャオゥーン、ギャン、ギャィーーン!!


断末魔の叫びが絶えないほどだ。具体的に言えば人狼一匹を突き刺す→その後ろにいた三匹もついでに突き刺さる。石突で顎をかち上げる→その人狼が頭上へと飛んでいき周りの人狼も巻き込むといった風に威力は倍増している。


しかしやはり数の暴力はすごい。息絶え絶えの人狼が足を掴み生きている人狼に攻撃させたり、仲間の死体を盾にして突っ込んでくる奴もいる。


どうにかこうにか二百匹の人狼を倒したころには、治癒能力が間に合わなくなるくらい体中は裂傷でいっぱいだった。それでもなんとかこいつだけは倒すけど


「いや~やっぱお前は成長したな。

でも俺が見たいのは槍術じゃなくてあの植物を操る力なんだ。さっさと見せろや!!」


そう言いながら襲い掛かってくるケン。なんだかそんな風に言われると見せたくなってくるんだが……

でもそういえば最近あまり使わなかったな~。唯一治癒のために使ったぐらいで植物を使役するのは前回人狼と闘ったぶりだな。こいつに言われて使うのは癪だけどいっちょ使ってみますか!!


指先からホウセンカのを打ち出すイメージ

すると案の定指先からホウセンカの種が飛び出た。予想より遥かに速いスピードで

機関銃のようなその威力にケンもびっくりしている様子だが一番驚いているのは俺だ。


以前もたしか種を飛ばしたことがあるがここまでの威力はなかったはず。体力をつけたことと何か関係があるのだろうか?


「ヒューーウ、やるな。


それじゃあ俺も本気を出すぜ!!」


奴の肉体がボコボコいい始めると体中に筋肉の鎧がつくられていく。勿論素直にそれを見つめる俺ではないのでホウセンカの種を飛ばして攻撃する。

が、カキンカキンと小気味よい音をたてて種は地面へと落ちた。


機関銃もきかないとなると最後の望みは槍だけだな。

と考えている間に奴の肉体は完成したらしくどこからでもかかってこいと言うように腹を一度叩く。ムカツクのでかなり助走をとって直前で一気に加速して突いたが、さすがに今の一撃を喰らったらやばいのか避けやがった。


「ちゃんと、わたしの気持ち受けとめてよ!!」


「さすがにお前の気持ちは重すぎだ。モテねぇぞ」


「貴様っ、言ってはならんことを言ったな!!」


俺の思い(重い)をこめて魔力の合成を行う。けっこう多目にマナを取り入れての風の魔法、マキアにあの時守ってもらったやつだ。さすがにあの時のように魔力の制御は甘くない。


手に渦巻く風に気づいたのかケンも必死に魔法の行使を止めようと駆け寄るがもう遅い。

極限まで圧縮された空気がケンの目の前で弾ける。


その瞬間木々は吹き飛び辺りは風に呑まれた。一応風の魔法障壁らしきものは使えるようになったのではったが、自分の魔法の威力に若干持つかどうか不安だったが障壁は無事だった。マキアの言うことは信じようと思う。


魔法の中心地は地面まで抉れているのでさすがにケンも死んだだろう。槍を片手にグルーナと交戦しているであろうマキアとクズ(師匠)の応援をしに向かおうとしたが、急に体の自由が奪われた。体を見ると妙に黒っぽい鎖に囚われたようだ。


「へっへ、さすがに今のは効いたぜ


人狼に魔法耐性がなけりゃ死んでいただろうな」


首をゆっくり後ろへと回すと肩耳が千切れ所々出血しているケンがいた。

あの攻撃でこれだけとはハンパないな。


とは言えこんな鎖俺にとっては……あれ?破れねぇ

これはちょっとピンチなのでは?


『どっからどう見てもね』

何気に酷いフィランの言葉を無視して再度破ろうとするが力がでない。


「あきらめろ。これは精霊さえも一度捕まったら逃げ出せない『ケレビュオンの檻』だ。


このままお前を帝都まで連行する。

たっぷりマッドサイエンティストたちに可愛がって貰えや。クックック」


俺は可愛がるならユーリィ、マキア、フィランがいいなと思いました。



まだまだ頑張ります!!!!

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