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樹当千  作者: 千葉
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四十六話 やはり修行


前回書くのを忘れていた魔人の設定


魔人は人に擬態できます。しかし魔法を使うとその擬態が解けてしまう。

これが無いとマキアが元の姿に戻った理由が説明できない。


後、魔人は魔界に自然発生するゲートではなく人工的につくられたゲートによって現界へ行けていましたが絶滅の危機に瀕した時それを破壊しました。


本当にすみませんでした!!



あれから俺の魔法による被害の後をかたづけることになった。広範囲に土が吹き飛んでいたのでその処理は想像を絶するほど面倒だった。


全てが終わる頃にはあたりは真っ暗で、地球では見ることの出来ない星座が空に浮かんでいる。

なんだか急に胸が重くなり地面に仰向けになって空を見上げる。


そうか……これがホームシックってやつか。自分はそういうのになるタイプじゃないと思ってたのに案外分からないもんだな。


「ほらっ、あそこで寝ておる」


「本当だ。私はただのゴミだと思っていたぞ。」


「一番に気づいたのはユーリィじゃろうが」


「……何のことだ?」


「ったく、素直じゃないのう。」


そんな会話が聞こえたので上半身を起こし軽く手を振って合図する。


「飯をくれ。今なら放射能で汚染された謎の肉でも食べれそうなんだ」


「カニバリズム溢れる発言じゃな。」


「なかなか変わった嗜好の持ち主であるイツキには残念な話だがあいにく夕食はただのツナサンドイッチでな、迷惑なら私とマキアで食べるとしよう。」


「実は俺肉を食べると体中に蕁麻疹が出来る体質なんだ!!」


「だからどうした?」


「お腹がすいて倒れそうなんです。後生ですからそのサンドイッチを愚かな私めにお与えくださいませ。土下寝でもなんでもしますから……」


「お前にプライドはあるのか?」


「プライドなぞ大義の前ではゴミ屑同然よ!!」


何だかんだ言っても結局ユーリィは優しいわけでサンドイッチをくれた。

うん美味い。



翌日からも修行が始まったがいつまでたっても槍から声は聞こえてこない。

特に目立つような装飾も無く、柄の部分に触れば手にぴったりつくような一体感があるこの槍が何故何も話してこないんだ?

やはり師匠が完全にボケ始めたのか俺をからかう為に嘘をついた線が濃厚だぞ。

でもユーリィとマキアは額から汗が流れ落ちるまでに真剣に武器の声を聞こうとしているというのに強くなりたいと言い始めた自分が最初にあきらめたら人としてどうなのか?


……いっちょ師匠に騙されたと思ってやってみるか


そしてしばらく瞑想すること一時間


「む、何じゃこれは?」


「どうしたんだマキア、イツキの顔を見て吐き気でも催したのか?」


「えっ、そうなの!?」


「いや……そんなのでは無いのじゃが…………」


マキアは弓を膝の上に乗せるとそのまま黙り込んだ。すると俺の心配そうな表情にきづいたのか師匠が少し落ち着けと肩に手を置く。


「マキアちゃんは随分速かったな。イツキとユレイアがまだその武器を手にして間もないというのもあるがそれを抜いたとしても速い。


……きっとよっぽど相性がよかったんだろうな」


よく見てみるとマキアは誰かと話しているように動いていてとても楽しそうな表情をしている。師匠の言ったことは本当だった。

でも師匠は会話なんて出来ないって言ってなかったか?

後でマキアに聞くとしよう


そんなことを考えているとマキアの『話』も済んだらしくゆっくり目を開けて手元の弓をいとおしげに眺めた後じっとその様子を見ていたこちらに気づき恥ずかしそうにする。


「で、どうだったんだ?」


隣でユーリィが興奮気味にマキアに声をかける。

むしろ当然か。武器が意志を持つだけでも驚きだというのにそれを感じることが出来るなら何を思うか気になる。ぶっちゃけ俺も早く知りたい。


「はっきりとした言葉ではないのじゃが我が所有者でよかったというようなことを言っているように感じた。


我はそれが嬉しくてのう♪カナゼ殿は会話出来ぬと言っておったがこちらもお礼を言わずにはおれんかったのじゃ」


「そこまでの意志を見せるということは、それは魔弓なのか?」


「うむ。先祖から伝わる家宝なのじゃ」


「くそっ、私も負けておれんぞ!!」


「あまり気を詰めると上手くいかんぞユレイア。


特に魔剣などの魔導具は気位が高く難しいからな。気長にいけ」


「はいっカナゼ司教!」


「師匠!俺にも何かアドバイスを!!」


「イツキは……まぁあれだ。……頑張れ」


「師匠もっと具体的に言っていただかないと分かりません」


「良しっ、ユレイアいい集中だぞ」


こいつが本当に司教だとしたらメイハ教は近い将来終わるな

いつものように自分一人で頑張るか。




結局何も掴めず俺は午前の修行を終えたがユーリィは終わる頃に何か掴み始めたらしく師匠が言うには早くて明日には『会話』ができるようになるらしい。シクエちゃんの料理はあいかわらず美味しかったが今日は十分に楽しめなかった。


そして昼食後はシクエちゃんが自分の作った料理を俺の胃から助け出そうとしているかのようにめった打ちにして毎回の修行を終わらせた。

この修行は俺の体を痛めつけるだけのような気がして本当に嫌になる。なにしろ俺はシクエちゃんの攻撃を無造作にくらい反撃をしようとするとカウンターが胸に、顔に、鳩尾に入る有様。そしてボロボロの体のまま次の修行の場である魔法訓練場にいくのであった。


「あれっ!?リザルトさんは?」


正体がばれたマキアは俺とユーリィの前では魔人の姿をさらすようになったので今日も角がある。


「イツキが来る前になにやら用事があると言って我にイツキの先生を勝手に命じての。

それで今こうなっておるというわけじゃ」


「どうせ今頃何かしているユーリィの様子でも見にいってるんじゃないの?」


「親バカの鏡じゃの」


「全くだ」


「では早速じゃが魔法の授業に入るかの」


「おう!」


そういうことになった。



「前回はイツキに魔法障壁を教えてなかったせいで危なかったが今回覚えればあのようなことにはならん……とまではいかんが大分ダメージを減らすことができるぞ」


「先生、魔法障壁とは何ですか?」


「うむ。良い質問じゃ」


「魔法障壁とは属性魔法の一種でな。魔法使いには必須の技術で要は相手の魔法を防ぐ盾のことじゃ。


それぞれ己の持っている属性を使って行使するのじゃがその形は様々での。状況に応じて使い分けんと死にも繋がりかねん重要な技術じゃぞ」


「前回マキアが俺の風魔法から身を守った魔法障壁は何の属性だったんだ?」


「あれは少し特別でのう。我の持っておる属性を数種類混ぜた複合障壁というやつじゃ。


防御力は一種類の属性でつくった魔法障壁を軽く越すが習得するのが難しく、我でも数年かかった。


それに一種類しか属性を持たないイツキにはどうせ使えんしのう」


「クッ、少し憧れてたんだけどな~」


「こればっかりは才能じゃしの


ではいつものように魔力を合成するところからじゃ。


今回は前のように合成しすぎることがないようにな!!」


「言われなくてもわかってるよ」

とは言ってもだんだん魔力を合成するのには慣れてきたがその量になると未だ難しいのひとことだ。細心の注意を払って合成する。


「出来たぞっ!」


「うむ。量はそのくらいじゃの。だが遅すぎる!これでは戦闘に使えんぞ」


「そこらへんはおいおいやって行くさ。次はどうするんだ?」


「うむ~、今更言われると難しいのう。


なんというか『通さない!』みたいな気持ちのまま、マナで壁をつくるイメージじゃのう」


「誰もが持っている心の壁か……」


でも風の属性じゃああれを再現できないだろうからあきらめるか。

適当にかき集めた風を円の形に薄く延ばしてみる。

だがこの形だと風がすぐに分散して形を止めるのが難しいしそれに何より敵の攻撃が来たとしても防げず素通りしてしまうだろう。

厚みと敵の攻撃を逸らすのに反りが必要だからこんな形かな。

出来上がったのはラウンドシールドの形をした風の魔法障壁。

維持するのがすごくつらくて時々端がぶれるがなんとか形になっていてホッとした。


「なんとか出来たようじゃな。


……イツキはオドさえあれば魔法使いとしていい所まで行けたのかもしれんのう」


「もうあきらめたさ。それに俺はどっちかというと槍使いだしな。」


「そういえばマキアも風使えるんなら風の魔法障壁見せてよ」


「うむ。いいじゃろう」


マキアは瞬きのあいだにオドとマナを合成するという離れ技を当然の顔をしてやってみせる。さすが魔に通じる人である魔人の名に恥じない腕前だ。


それから先は更に驚かされた。マキアは自分の体をスッポリ包むほどの竜巻をつくるとその中に飛び込んだのだ!

かなりの錬度でつくりだされた竜巻はこちらを吸い寄せようとするほどの力を感じるというのにマキアの身は無事なのか!?と心配する俺をよそに涼しい顔で出てきた。


「これが全方向防御形の風の障壁じゃ。今は分かりやすく見せるためにあえてつくってから中に入ったが実際は自分の周りにつくるのが普通でのう。イツキも後でつくることになるから良く見ておくように!」


「それって入るとき痛くないのか?」


「イツキが前回使った風の魔法は強力な攻撃魔法じゃからイツキもダメージを負うのじゃが普通は行使者自身が受けるダメージはかなり軽減されるからのう。それにあれはイツキが魔力の制御に失敗したのが大きな原因じゃ。


まぁ、とにかく行使者が魔法障壁で怪我をうけるなんてことは無い。安心せい!」


「わかったよ」


そうして今日も修行を続けるのであった。





次は修行がだいぶ飛ぶ予定です。書くのがたいへ(ry


話が進まないとつまらないと思いますので

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