三十三話 女の敵
初めて投稿の間が一週間以上あいてしまったorz
* * * *
イツキと出会ってからもう二ヶ月になる。
初めて出あった時はいきなり変なことを言い出す奴だったが・・・それは・・・・今でも変わってないな。
それはともかく私はイツキが闘う姿をあまり見たことが無い。
ロッドマスターと闘った時も私は気絶をしていて見てないし、前回はローグとかと言う奴相手に闘ったらしいが私はイツキに化けたローグに騙されて魔導具に囚われの身だった。
実際に見たのはカナゼ司教との闘いの時だけだ。
結果は三分ももたずにイツキが負けたがカナゼ司教相手に良くもったほうだ。
それにイツキは異世界出身らしく、考えられないことだがこの世界に来るまで一度も本格的な戦闘訓練を行ったことや武器を持ったことすらないそうだ。
それにも関わらずイツキはたかが一ヶ月であの黄金のカナゼから基礎となる全ての槍術を学び大会の参加も認められるほどに上達した。
いくら師匠が良いからといって成長のスピードが速すぎる。
カナゼ司教も直接イツキには言わなかったが、陰で私に「あれほどの才能は見たことが無い。若い頃の私の十分の一に過ぎないがな。だいたいイツキは師匠を敬う気持ちが全く無いぞ!うだうだ、くだくだ……<二時間後>…というわけで私は奴をたたき潰そうと思う」
・・・なんだかイツキの師匠になってからカナゼ司教がおかしくなった気がする。
まぁカナゼ司教も影ではイツキの才能をちゃんと認めているからイツキが自分の才能に慢心して精進を怠ってほしくないのだろう(そう信じたい)
それにイツキは戦闘の才能だけでなく料理の才能もある。
女として非常に悔しいのだがイツキの作る料理は味付けが細やかで見た目も良い。
このあいだ作ってくれた『ニクジャガジャガ』?とかいった故郷の料理はとても美味だったのでまた今度作ってほしいものだ。
ともかく!!そういうイツキの魅力に引き寄せられて近寄ってくる女が最近多くてこまっている。
なんだかイツキが綺麗な女性と仲がよさそうにしているのを見ると、私のニクジャガジャガが突然やってきた人に食べられたようなそんな気持ちになる。
そんな気持ちをナーガに相談すると、
「神よっ!!私に怨敵イツキを殺す力をお与えください!!」
と空に向かって叫んだので私は「神を信仰し始めたら神への順応性が高まり、魔法が使えなくなるぞ」といってあげた。
ナーガは魔闘士かつ、かなりの強者なのでその力を失うことは痛いからな。
そして今回のシロガネの討伐の件で私はほとんど初めてイツキが真剣に闘う姿を見た。
シロガネはBランクの中級レベルの魔物で鉄のように堅い皮膚を持っていることが特徴だ。
正直Cランクのイツキではキツイかと思い私とナーガで仕留めるつもりだったが奴は予想以上に堅く私の力のほとんどが封印されているとは言え、魔剣で斬れなかったのはだいぶいたかった。
長期戦も覚悟したがイツキの大樹降臨で奴は身動きがとれない状況に追い込められ、更にイツキは騎竜のガロンに乗って、勢いをつけたまま奴の喉もとを槍で貫いた。
ガロンに乗ったのはおそらく自分の槍の技術では決定力が不足していると考えたのだろう。
戦闘において重要なことは自分の今持つ実力で何が出来るかを考える瞬時の判断力だ。
それを戦闘経験がたかが二ヶ月に過ぎないイツキが体現しているというのはパートナーとして嬉しくもあり、悔しくもある。
それほどまでに今回のイツキの戦闘は素晴らしかった。
なんだかマキアがボーっとイツキのほうを見ていたのが少し気になったがそんなことより速く帰ってイツキとナーガと私で新しいギルドを作りたい。
この3人で作るギルドだ、きっと素晴らしいものになるだろう。
* * * *
「そういえばどうしてマキアは追われていたんだ?」
ガロンに顔中舐め回されながらマキアに聞く。
「我のことが気にかかるのか?」
艶っぽい笑みを浮かべてマキアは答えるが、俺としてはガロンが顔を舐めるとジュワッとまるで酸に溶かされているような音がするほうが気にかかった。
溶けて・・・ないよな?
俺の無言を肯定とうけとったか、マキアはフフッと笑って答えた。
「少し前にダッドルメアで商品の流通を牛耳っている商人から依頼を受けてな。その時に商人はどうやら我の魅力に惚れてしまったらしく金をやるから愛人になれと言ってきたのじゃ。もちろん我は断ったぞ!!だが彼奴はお抱えの傭兵たちをつかって我をさらおうとまでしてきおるのじゃよ」
「だが奴らは騎士の格好をしてたぞ」
「商人の悪知恵よ。騎士の格好をさせておけば市民も捜索の協力ぐらいはするじゃろう?」
なかなか悪い奴がいるもんだな。
「マキアっ!!そのような女の敵をほうっておいていいのか!?」
いままでマキアと一緒にガロンに乗っていたユーリィも話を聞いて激怒した。
「しかし、奴の屋敷は警備が厳重で我とガロンでは突破することは出来んのじゃ」
マキアが落ちこんだようにうなだれたが、俺には下を向いた後少し笑っているのが見えた。
気をつけろユーリィ!!これは誘導尋問だ
「なら私達が協力しよう!!」
ユーリィならそう言ってくれると思ってたよorz
ダッドルメアに着くととりあえずシロガネの角を持っていき報酬を受け取った。
あんだけの化け物を倒してたった20万ラドとは世の中思ったよりも味気ないな。
「それで商人を痛めつける作戦はあるのかユーリィ?」
「違うぞイツキ痛めつけるのでは無く天誅だ。」
「そうだイツキ、我々は偉大なる指導者ユレイア様の名において天誅を加えるのだ!!」
「・・・・・マキアは何か作戦はあるか?」
「うむ、まず屋敷の地形が分からんことには作戦の立てようがないの」
「う~ん、それは考えてなかったな」
「ダメじゃないかイツキ、準備は大事だぞ!」
ハハハww、俺のセリフだバカヤロー
「だが偶然ここにあるのじゃ」
そう言ってマキアは胸元から一枚の羊皮紙を取り出す。それには屋敷周辺の全体図から内部の部屋構成、あげくの果てには守衛の巡回ルートや交代の時間までがこと細かく描かれていた。
これを屋敷の人間がみたらゾッとするだろう。いったいこいつはどのくらいの時間をかけてこれを作ったんだろう?
「おいマキア、お前最初から侵入するつもりだったろ」
「な!?何のことじゃ?」
「はぁ、で作戦は何だ?」
「うむ、その前に皆に渡しておきたいものがあるのじゃ」
マキアはガロンの背につんである大きな皮袋の中から四つの手のひらに収まるぐらいの長方形の箱を取り出し酒場のテーブルの上に置いた。
なんだか見たことがある形だな。
「これは知り合いからもらった通信用の魔導具で名をコードというものじゃ。いわば水晶球の小型版と思ってくれれば良い。ただし使用範囲は三キロ程度で、まだ試作品な為に不具合も起きるかもしれんがのう。」
マキアの口ぶりからしておそらく携帯とかトランシーバーの類だろう。
「ほほぉ、マキア嬢は中々珍しいものをお持ちですな。これは故郷の技術でつくられたのですか?」
「あっ、ああ」
なんだかマキアは酷く動揺しているようだな。
そんなにナーガはおかしなことをいったか?
「と、とりあえず作戦は常にこのコードを使って連絡、および指令を出していくからコードは大切に扱ってくれの!」
俺はさっきまでコップの下においていたコードを取り出し、急いで結露した水滴を服でふき取って何事もなかったかのようにポケットへ入れる。
「決行はいつだ?」
皆のジト目を無視して俺は聞く。
「今夜だ」
今回は文が荒かったか。