三十一話 目覚めの感触
どうしてこうなった?
なんだか柔らかい触感を後頭部に感じて俺は目覚めた。
目を開けると朝日が目に差し込んできて、その明るさに慣れるまでに少し時間がかかる。
とりあえずベッドから抜け出そうとベッドの隅に手をおき踏ん張ろうとしたその時、再び俺の手に先程感じたような柔らかいものがふれた。
いったい何だろうと思い俺が見た先には女性の象徴をしっかり掴んでいる不謹慎な手が…
恐る恐るその豊満な体の持ち主を見ると、幸運なことにスヤスヤと寝息をたてていてどうやら俺のした事に気づいている様子はないようだ。
危ねぇ危ねぇ、しかしかなり柔らかかったな。
そういえばどこかで見覚えがあると思えば昨日酔っ払って寝ていた女じゃないか、
昨日あれだけ世話をしたんだからこれぐらいのご褒美はあって当然だろ!と思うことにしてとりあえず女を観察することにした。
褐色の肌に映える白い髪が肩のあたりまで垂れ下がっていて、特徴的なアーモンド形の目とプルプルとした唇が男をそそりそうだ。
ユーリィとはまた違った美しさをもっているな。
ユーリィはまるで人形のような美しさだが、この女性は猫のように野性味溢れた美しさをもっている。
しばらく眺めていたら床のカーペットの上で寝ていた騎竜が起きだして俺に甘えるように鼻を体にこすり付けてきた。
何この生き物可愛すぎなんだけど!?
可愛いさにやられた俺が頭や脇のあたりをこすってやると騎竜は構ってもらえたのが嬉しいのか興奮して更に体を寄せ付ける。仕舞いには二メートル近い体をぶつけてくるまでになったのでベアンテの蔓で拘束するという素晴らしいアイディア(お仕置き)が採用された。そのままお説教をしたら反省したかのようにクーンと可愛らしく鳴きだしたので許してあげた。
そういえば先程までの大きな騒ぎにもまったく起きずに寝ているこの女はすごいな。
試しにどこまで起きないかを確かめるためにほっぺをグニグニしてやるといきなりパチッと目を開けた。
俺は少し、いやかなり驚いたが再びほっぺを触りだした。
「何を…やっているんじゃ?」
「お前のほっぺを触っている」
「いやそれは分かるが何故我のほっぺを触っているのじゃ?」
「憂さ晴らしだ」
「そうか………っておかしいじゃろ!!」
ったく昨日こいつの面倒を見たのに何で文句を言われなければならないんだ!?
世の中これすべてギヴ&テイクなのですよ。
それでもわぁわぁと騒ぐこの女を黙らせようと思い、試しに喉の辺りをさすってやると急に目をつぶって気持ち良さそうな顔をする。
本当に猫みたいだな。このままだとゴロゴロと喉を鳴らしそうだ。
しばらくそうしていたが急にハッと我に帰り素早い身のこなしで後ろに飛びのく女
「我に何をしたのじゃ!?我をここまで困惑させるとはさてはお主奇術師かの?」
「何もしてねぇよ!」
「ええい聞く耳持たんわ!!行けっ、ガロン!」
シーーーーーーン
部屋の中には空しい沈黙がながれる
「何で言うことを聞かないんだガロン?」
すごく困った表情を浮かべる騎竜改めガロンは表情が豊か過ぎると思う。
「ギュルラ、ギュレレ、ギュララララ」
「ふんふん『この人は恩人だから攻撃するのはダメ!!』じゃと!?どういうことなのじゃ?」
それから二人?はしばらく話しあっていた。正直何を言っているか全く分からなかったのでここらへんは割愛する。
「いや本当にすまないことをしたの。酔いつぶれた我を宿まで送ってくれたばかりかこれから朝食を奢ってくれるなんて器が大きいのう」
「そんなこと言った覚えは無いっ!!」
「チッ…けち臭いのう。……まぁここで会ったも何かの縁じゃ、我はマキアというもの、この子はガロンじゃ。」
「俺はイツキ、薄幸の美少年だ!!」
「そうかイツキというのか、変わった名じゃのう。」
はい、スルーされました!
マキアたちと一緒に部屋を出ると窓の外から喧騒が聞こえてきた。
全身甲冑姿の男たちがこんな朝早くから誰か人探しのようで付近の住民たちに聞き込みをしている。
「おい、奴は見つかったか?」
「ええ、なんでもこの宿に入っていくのを見た者がおるようです」
なんだかきな臭い雰囲気だな。
「おーおー、こんな朝早くからご苦労なことじゃなぁ」
「やっぱりお前か」
「そんな風に思われとったとは心外じゃのう」
「だが事実だろ?」
マキアはこっちを見て何も言わずに笑うだけだ。
「それじゃあ、またの!」
マキアは慣れた様子でガロンに跨り、窓から飛び出した後は家屋の屋上を伝って遠くにいってしまった。
なんだか豪快な奴だったな。胸も性格も・・・
しばらくボーとした後、階段を降りるとすでにユーリィとナーガが椅子に座って料理を待っていた。
「ずいぶん遅かったじゃないかイツキ、もうすぐ私が起こしに行こうとしていたところなんだ。」
「そうだぞイツキ!ユレイア様を待たせるなんてあってはならんことだ!!」
「すまん。変な夢を見ていたんだ」
朝からかなりのボリュームの朝食だったがナーガとユーリィは当然のような顔をしていたのでおそらくこの世界じゃあこれが普通なのだろう。この二人がおかしいだけなのかもしれないが・・・
この店で人気のヨデル(果物の一種らしい)のジュースは酸味と甘味がちょうどよくて美味しかった。
「そんなに美味しいのか?ちょっと飲ませてくれ」
ユーリィはそう言うと俺の飲みかけのジュースを奪い直接飲んだ。
ナーガが隣で『バ、バカな……間接だ…と!?』とほざいている。
今日は刺激的なことが多い素晴らしい日だな。
「全部飲んじゃったぞイツキの☆」
その止めの一言で俺は吐血した(推定:700ml)
ナーガは血の涙を流していた(推定:致死量)
今回の終わらせ方は納得できないからおそらく書きなおすかも。
改めて新キャラ登場!!今考えてみたらこの作品登場人物少ないな。
次は一気に百人の新キャラが出る予定ですww