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樹当千  作者: 千葉
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二十五話 激戦


俺が外にでると奴は驚いた表情をしていた。

そりゃさっきまで瀕死だった奴がピンピンしているから当然な話だが

「お前どうしたじゃない、さっきの怪我は?」

実はベアンテの力を制御した後俺のぱっくり割れていた腿の怪我からニュルニュルとツタが生えてきてそのまま俺の怪我を塞いだということがあり、それを見たときは凄く気持ち悪かった。

まぁ慣れるしかないな、きっとこれから先も大きな怪我をした時はまたあれと同じことが起きるだろうしな・・・・気持ち悪っ!!


・・・・これからは怪我をしないように気をつけよう。


「ああ気に食わないじゃない」

どうやら俺の平気な姿が御気に召さなかったらしく魔力を集中させ後ろの景色が魔力によって歪む程の魔力を纏い、今度は炎を矢へと具現化させその数百に及ぶほどの矢尻を俺に向ける。

「行くジャナイ!!」

目の前にはたくさんの矢が迫ってきているが今の俺にはまったく危機感を感じない。

 俺は炎の矢を余裕で次々と避ける。


こんなにも体が軽いなんて思わなかったな、たぶんこのイバラの足環のおかげなんだろうが。

俺はそんなことを考えながら残像を残しつつ奴の後ろに移動しそのまま奴の背中を蹴る。

奴はかなり大げさな感じで吹き飛ぶが、俺の赤いローブを着ていたのでダメージは無いようだ。


すっかり忘れてたな。だがそのローブにも弱点はある!


俺は再び始まった矢の攻撃をかわしながら目的の物を探すとちょうど奴が立っている場所のすぐ横にあるのを見つけた。俺は移動して目的の槍を手にとると同時に奴目がけて飛び込むように突きを放つ。

奴も俺の突然の動きに不意をつかれて反応が遅れたらしく、惜しくも穂先が腹に突き刺さることは無かったがローブを真横に切り裂いた。

「お、お前はこれがどんなに貴重なものか分かってないジャナイ!!競売にだせば一億ラドはくだらない代物ジャナイ!!」

「知らんな」

今はただ奴をぶちのめしたいという感情しか生まれてこない。俺の本気な表情に奴は危機を感じ取ったらしく今まで全くしてなかった魔法の詠唱を始めだした。俺は詠唱を止めるために奴の喉もとに槍を突きつけるが、既に奴の魔法の詠唱は終わったらしく奴の体は煌々と炎によって覆われてしまった。皮膚が焼け付くような高温に耐え切れず俺は距離をとる。

「どんな手を使って強くなったかは知らないがもうお終いジャナイ、私がこの術式を発動したらどんな攻撃も私に届かないジャナイ」

たしかに前の俺ならあっという間にやられていただろうな、だがベアンテからたくさんの植物情報が渡された今の俺ならやれるはずだ。

一歩一歩奴のもとへと近づくたびにものすごい熱が伝わってくるがそれでも俺は足を進める。

「ついに狂ったジャナイ?まぁ君が死んだら楽でちょうど良いジャナイ」


奴の炎へと左手を伸ばして俺にとっては当然なことに、奴にとっては予想外なことに奴の纏っていた炎が俺の左手に吸われた。


「な、何故ジャナイ!?」

「なーに簡単な話だ。火山の火口付近に自生している、炎を栄養分として生きる植物がいてな。俺はそいつの力をちょっと借りただけだよ。さぁ、種明かしはお終いだ。命が惜しければさっさとユーリィを解放しろ」

首に槍を突きつけたまま俺が優しくお願いすると、奴は徐にユーリィが囚われているピアスの金具を捻じる。するとどういう原理かは分からないが仰向けに倒れたユーリィが出てきたので、お礼に俺が手のひらから種を首に打ち込むと奴はガクッと倒れた。


「ユーリィ大丈夫か!?」

ユーリィの顔は青ざめ、それに酷くうなされているようで俺の呼びかけにもまったく反応を示さない。目の焦点も安定せずまるで壊れたおもちゃの人形のように視線が空をさまよっている様子から精神崩壊の一歩手前の非常にヤバイ状態だ。

一刻の余裕も無いので俺はユーリィのおでこに左手を置き人の記憶を食べるユメケシを二、三本生やす。あまり多く植えると記憶喪失になりかねないので細心の注意を払う必要がある。それから先はユメケシから送られてくるユーリィの悪夢だけを取り除く作業だが、闇が物質化したような暗闇の中、周囲からたくさんの憎悪や悲鳴が聞こえてくる映像はまさに悪夢と呼ぶにふさわしいもので、悪夢の密度と量に辟易しながら精神を疲労させつつ悪夢を消していく。


永遠と思われた作業もようやく終わりが見えてきたが悪夢は最後の抵抗とばかりに俺の油断した精神の隅を攻めてくる。俺はその不意打ちに必死でこらえてしばらくの格闘の後、悪夢は力を無くし、ついに消去された。


俺はそのまま大の字になって倒れる。

汗だくのシャツが肌にくっついてすごく気持ち悪いし、体がかなりだるい。


急に眠気が襲ってきてまぶたを閉じた瞬間ユーリィの声が聞こえた気がした。


・・・何でそんなに焦った声をしてるんだ?



*  *  *


「すまない、先を急ぐのでな」

そうナーガは目の前で倒れている少女に言い放つとイツキが行ったドームの中へと駆ける。

「なによ・・・あんた、目、見えるんじゃ・・ない」

少女は最後にそう言うと意識を落とした。


*  *  *



長い戦いが終わりました!


ここら辺の戦闘描写はかなり悩みました。


それに主人公は凄く動かしにくい野郎なのでかなり苦労もしました。


あと、先日感想をくださりとても嬉しかったです!!


作者も応援に答えてがんばっていきます!!

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