二話 力!?
意識がはっきりしてきたがまだ目の前は真っ暗だった。
空をかくように手を伸ばすと、ガサッと音がした。どうやらまだ俺はベアンテに捕えられているようだ。かわいそうだが束をつかんで引き裂く。すると目の前には佐伯先生が、ではなくきれいな海がひろがっていた。
「やーきれいな海だ。日常の喧騒の中、僕たちは忘れてはいけない何かを忘れていると思う。でも見てごらん。」
そういいながら海に入り、海水を手にためて空へと放つ。
「この大自然の中僕たちは一つなんだ。小さなことなんて気にならなくなるよね♡」
そういいながら一時間ほど現実逃避をした後、
「よしそろそろまじめに考えよう。保健室にいたのにまったく見たことの無い場所にいるのはいいとして、問題はこれから先どうするかだ。もとの場所に戻れる最有力候補はあのベアンテちゃんだな。」
自分がいた場所に戻ると、ベアンテちゃんはあいかわらずそこにいた。気のせいかベアンテちゃんは俺が来て喜んでいるようにつるを俺に絡ませてきた。そして俺の左腕に絡ませてちょうど腕輪のようになるとそのまま栄養か何かをゴボッゴボッと注いでいく。どんなしくみかはわからないが、おれの腕をつかんでいるだけのつるから確かに俺に力が流れこんできている。
「普通は気持ち悪いはずなんだがなあ~。」全然不快感はなくむしろ気持ちいい。
全部注ぎこむと、ベアンテの姿は消えた。俺の左腕には深緑色のつる草が絡みついているようなタトゥーができている。
「タトゥーを入れるなんて俺は不良になってしまった。」
そう落ち込んでいると、頭の中に声が響いてきた。
『聞こえますか?』
「はい、聞こえます。」
『普通にかえしますね。あなた順応力あるといわれるでしょう。』
「いえ初めて言われました。」
『こんな不毛な会話を続けていても仕方がありません、本題に入りましょう。私はベアンテです。』
「ええっ!」
『そしてここはあなたのいた世界ではなく魔法が存在する異世界です』
「マジで!?」
『そしてさっき送った力は植物の力や植物と話したり使役する力です。』
「おどれーた!」
『そしt「チョイ待て!おまえ簡潔に言いすぎだ。少しは話を理解する時間をくれ。」
『あなたに力を渡してもうすぐ私の意識は無くなります。』「人の話を聞こう!」
『力の使用方法はいずれわかっていくでしょう』「もう説得はあきらめた。」
『ではこれからはあなたの力になりましょう』
勝手なやつだ。
とはいえひとりぼっちになってしまったな。
とりあえず必需品である水を探そう。