十七話 俺の怨み
翌朝
闘技大会の決勝戦ということで闘技場にはたくさんの人で溢れ、各国の要人らしき人たちもちらほら見える。
「みなさん!これからお待ちかねの決勝戦が行われます!まず華麗な戦闘と容貌で男性諸君をとりこにしてきたユレイア選手!」
舞台の端から解説者のせりふが気に食わなかったのか、機嫌が悪そうに登場するユレイア。
「「「「「「「ユレイアさ~~~~ん!」」」」」」」
親衛隊も来ていたらしく一際大きな声が聞こえる。見つかるとめんどくさいことになりそうだな。
というか正直言ってうざい!!
「続いて数年前冒険者業界から引退したが、未だ現役と変わらぬ槍の腕前でありメイハ教の司教でもあるあの『黄金のカナゼ』だ!・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
しーん
「さぁどうぞ出てきてください!・・・・・・・・・・・・」
脇から係員らしき人が出てきて解説者に何か耳打ちをした。
「えっ!?本当か?・・・・えっと、ここで皆さんに残念なお知らせがあります。どうやらカナゼ選手は体調をくずし試合に出れる状況には無いようです。というわけでユレイア選手は不戦勝です。優勝おめでとうございます!」
「「「「「ええーー」」」」」
今度はメイハ教のシスターさんたちががっかりした悲鳴をあげる。
それとは対照的に俺はにんまりとした笑みを浮かべる。
「クソッ、イツキめ!」
ベッドにベアンテで縛り付けられて、更に痒みを催す草とマヒ草がびっしり生えていて苦しそうにしているカナゼの姿がそこにあった。
「優勝おめでとうユーリィ」
「なんだかすっきりしないけどな。それよりカナゼ司教は体調を崩したらしいじゃないか、見舞いに行かなくてはな」
「ああ、そのことだが師匠はひどい風邪をひいたらしく他人にうつしたくは無いから絶対見舞いに来るな!と言っていたぞ」
「そうか、ここを出るまでに挨拶したかったんだがな」
「まったくもって残念だな、一度でいいから会って話がしたかったんだが」
「・・・・・なぜお前がここにいる?」
飄々とした感じで仲間づらしたナーガがそこにいた。
「あぁ、ナーガはなかなか見込みがあるから私達の仲間にすることにした。」
「これからよろしく」
「貴様は俺とユーリィの仲を引き裂く気か?」
「ユレイア様は我が神だ、そんな気は起こさんわ」
ここにも信仰者が一人いた!?
「戦いに身を委ねていた日々にある日突然一筋の光が射した。」
なんか語りだしたよ気持ち悪い
「そのお方は私の思い上がった心を吹き飛ばし、私に手を差し伸べられた。」
「たしかにユーリィが吹き飛ばしたな。」
「その御手をどうして拒めようか」
「ただ私はスカウトしただけなんだがな。」
なにやら語りモードにはいっているナーガはいったん無視しよう。
「あの、俺行きたいところがあるんだが」
「どこだ?」
「とりあえず危険な植物がいっぱいあるところがいいな」
「ははっ、一般人が言ったら自殺願望に聞こえるが、どうせお前のことだから能力に関係しているのだろう?」
「あぁ」
図書館に行った後、いろいろ実験してみたがどうやら俺の能力では一度左手で触れたものしか生やせないようだ。
それにこの世界には植物は500万種以上あり、いちいち生息地に探しにいっていたらきりがないと俺はかんがえたのだ。ちなみにベアンテは俺固有の技だから関係無い。
「なら北の秘境という手もあるが、あそこはかなり遠くて危険だからな。大陸の中央に位置する魔法都市レイドが妥当なところだろう」
「えっ!?都市部に植物があるのか?」
「あそこは魔法薬や魔法の研究の為に巨大な植物園があるからな。」
「へぇ~」
「目的地は決まったな!さっそく食糧の調達に行くぞ!!」
「おいっ!!そこでラリッてる奴も行くぞ!」
「はっ、ユレイア様は何処に!?」
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