十五話 集団の恐怖!!
少し落ち込んだがいつまでも悩んでいても仕方無い。
「ちょっと気分転換に出かけてくるわ」
「イツキ、夜までには帰ってくるんだぞ」「わかったよ、ママ」
「バカ/////」
俺はそのあと街を歩いてみた。
よく考えてみると俺はこの街に来て以来、街の景色を全く見てないな。朝のランニングで見る景色はゆとりが無いからカウントはしないことにしよう。
ちょっと大通りに出てみるとたくさんの人種がウジャウジャと歩いていた。
猫耳から角、悪魔らしき翼や天使らしき翼、尻尾にミイラと個性溢れる光景が広がっているのを見るとなんだかテンションが上がってきた。
しばらく大通りの武器屋や魔法ショップを見ながら暇をつぶした後広場に行き、備え付けのベンチに座る。
そのままぼんやりしていると視界の端から鎧を身に着けた屈強そうな連中が俺に近づいてくるのが分かった。
「あなたがイツキさんですね?」
先頭に立つ到底戦えそうに見えない体の、ハンサム糞野朗が話しかけてきた。
完全に俺の私情は入って無い、客観的な意見だ!いや、本当に!
「あなた達は?」
「申し送れました、私達はユレイア親衛隊です!」
あれ、最近俺聞き間違いが多くて困るな。年をとったということかの。
「すみませんよく聞き取れなかったのでもう一度お願いします。」
「私達はユレイア親衛隊です!ちなみに私が親衛隊長のユンです。」
「よろしく」
「では率直に言わせてもらいますが、ユレイアさんから離れてください!」
「嫌だ!」
「わがまま言うな!私達はただ遠くで見るだけで良かったんだ。ユレイアさんは男嫌いで有名だったからな。ところが最近あのユレイアさんに付きまとっている男がいるというじゃないか。・・・・お前が今すぐユレイアさんの元を離れれば事は穏便に済むぞ」
「もし断ったら?」
「ユレイアさんの元へ行けないようにボロボロにするまでさ」
先頭の男率いる親衛隊が次々に自分の武器を抜く。
「お前たちがそういうつもりなら仕方無いな」
俺が槍を構えるとさっきの俺の戦闘を見たのか、親衛隊の顔に緊張が走る。
「逃げる!!」
颯爽と逃げ出す俺
「えっ!?・・・ま、待てーー!!」
あいつらしつこく付いてきやがる。
俺の毎日の地獄のランニングコースを走っているというのにたいしたやつらだ。
というか親衛隊って何人いるんだ?逃げる度に人数が増えていき、もう百人を超えていると思うんだが。
街路の三つ目の曲がり角を行くとその先にはすでに親衛隊が待ち受けていた。
幸いまだ気づかれては無いがいつ気づかれるかは時間の問題だし、後ろからも追ってきている。
どうする俺!俺にできることは?
・・・植物関連しかないな。道の端には3メートルぐらいの街路樹が植えられているから、これをどうにかして隠れないと・・
とりあえず木に左手で触れてみるが、分かるのは木が喜んでいることだけだ。
もう時間も無いし観念するかと思い、あきらめて力なく木によりすがった時、その木は体を支えてくれずそのまま目の前が真っ暗になった。
いきなりの事で焦ったが、どこからか声が聞こえてきた。
「おい、あの男がこっちに来なかったか?」
「いえ、こちらには来てませんが」
「くそっ、おいあっちの通りを探すぞ!付いて来い!」
「「「分かりました」」」
そして足音と共に人の気配が消えていった。
まずここはどこなんだ?とりあえず辺りの様子を探るために手を伸ばすと、ゴツゴツした触感の壁らしきものを感じた。
あれ?でもこの感触はどっかで触ったことがあるぞ。・・・そうだ!木の幹の感触だ!
てことは、あの状況から考えるとここは木の中か!?
試しに目だけを幹にあてると外の様子が透けてちょっと面白い。
でもこのまま木の中に住むなんて勘弁してもらいたい。すると俺のそういう気持ちを理解したのか木が俺を外の方向に押し出して、無事脱出完了!
昼までに試合は終わったし、だいたい今は三時ごろってところだろう。
うざいやつらは消えたし、このまま新しい能力を発見するのもいいだろう。
・・・そういえばまだ図書館に行ってなかったな。
異世界の図書館だからきっと俺の能力開発の役に立つ本もあるだろうし行ってみるか。
ドラクエジョーカー2にはまっている作者ですが、これからもよろしくお願いします。