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樹当千  作者: 千葉
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十四話 ユレイアの戦い

外でユーリィとおちあうと

「相手が悪かったな。まさかあんなに強いやつがいるなんて知らなかったぞ。」

「えっユーリィのよく知っている人だよ」

「誰だ?まさかイツキか?」

「いやさっき俺はそいつと戦ってたんだぞ」

「さっぱり分からん」

あ、この子アホだ、俺はユーリィの説得をあきらめた。

「それよりも次はユーリィとナーガの戦いじゃないのか?」

「知り合いなのか?」「ちょっとな」

「どっちを応援してくれるのか?」

「友情は愛情に及ばない」

「ハハッ、期待してるぞ」

軽く手を振りさっそうと去っていく姿は俺以上に男前だ。

観客席に移動するとナーガが舞台の端から登場した。最初の試合同様武器を持たずに登場し、俺を見かけると手を振るので軽く答えた。

少し遅れてユーリィが入る。ユーリィもこっちを見ると軽く手を振ったので、俺は投げキッスで答える。会場の男たちがうらめし気に見るが気にしないことにする。


「試合開始!」

ユーリィが剣で軽く牽制しながらナーガに近寄る。

ナーガは拳を上に掲げて地面を思いっきり殴りクレーターをつくった。

どっかの漫画みたいな真似をして辺りは土煙があがる。ユーリィがわずかにひるんだ隙を狙って死角から蹴りをくりだすが、ユーリィは剣の鞘で受け止める。

「クソッ、なんてバカ力なんだ。」

「俺は魔力を体にとりこんで戦う魔闘士だからな」

「だったら・・私だって魔剣士だ」

そういいながら手に持つ魔剣に風が纏わりついていく。

「こいつはやっかいな相手だ、まだ魔剣を使うやつがいるとはな。」

ナーガも同様に魔力を手にこめていく。

そのまま二人はぶつかり剣と拳を交わすとあたりに衝撃波が巻き起こる。ユーリィは剣を左になぎ、ナーガを攻撃しようとするがそうはさせじとナーガも軽くかわす。だがそれを見越していたのかユーリィは急に剣先を変えて下から切り上げる、ナーガは両手を交差させ剣を防ぐが剣にこめられた風の勢いは防ぎきれずそのまま空に吹き飛ばされる。

宙高く飛ばされたナーガをユーリィは面白そうに眺め、お得意の氷魔法で宙を浮いているナーガめがけ氷塊を飛ばした。もちろん防ぎようの無いナーガは氷塊にぶつかりリングアウトした。

・・・そこまでやりますか普通?

ワアアアアと歓声が起こり闘技場は熱気に包まれる。

ユーリィの知られざるドSぶりに気づかされた俺はこれからの付き合い方について考えさせられた。


控え室から出てきたユーリィと一緒に外へ出ると師匠が待っていた。ちなみにうさぎの仮面は着けていない。

「お疲れ様ユレイア、しばらく見ない間に強くなったな。」

「まだまだですよ」

謙遜しながらユーリィも少し嬉しそうな表情をしている。

「イツキお前があんな力をもっているとは思わなかったが、まだ能力の使い方が幼いぞ。自分の生やした植物のせいで死角を増やすとは笑止!もっと効率の良い戦い方があったはずだぞ!」

「すみません師匠。」

確かに今考えるともっといい手があったように思える。ベアンテで師匠を捕えてボコボコにするとかもあったし、まず俺がこの能力を把握しきってないのが一番のネックだな。

本当師匠には頭が上がらない。

「でも序盤の槍術はなかなかだったぞ、一応私の動きは見えていたようだしな。」

「ありがとうございます。てかやっぱり師匠だったんですね」

「あ、ああ。まさか気づかれているとは思わなかったがな。」

「バレバレでしたよ」「気づかなかった。さすがカナゼ司教だ!」

隣で驚きと納得のいった顔をしているユーリィはほうっておき俺は気になっていたことを師匠に聞いた、というかある意味一番大事なことだ。

「師匠は俺との戦闘中魔力が感じられないと言っていましたが、俺にも魔法は使えるんですか?」

「非常に言い難いんだが・・お前は魔力を持ってないから魔法使いになる確率はゼロだ!」

「はっきり言ってるじゃないですか!!」

「だが事実だ!」

「カナゼ司教いくらイツキにはまったく才能がないからといって、それは言い過ぎでは・・」

「まぁ少し言い過ぎたかも知れん、お前の悲しむ姿が見たくてな。」

「師匠、頼みますから最後の言葉だけは冗談だと言ってください!」

「冗談に決まっているだろう。」

なんだか信じられなくなってきたな、最初は人格者だと思っていたのに実はこんな人だったとは。


しかしやはり魔法が使えないとはかなりショックだ。だって普通異世界にいったら魔法を使いたいのが男の子だろ。

「まぁ、魔法使いなんて人口の一割程度だからそんなに落ち込むことはないぞ。冒険者ギルドのAランク以上は約八割が魔法使いだがな。」

励ます気ないなこのオッサン。


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