十一話 師匠の策略
あの後カナゼさんじゃなくて師匠の家に案内されて、一緒に食事をとった。
その後ベランダで夜風に当たっているとユーリィが暗闇に現れた。
「どうしたんだ?」「俺達って会って一週間ぐらいだよな」
「なんだいきなり?まぁ確かにそうだな。」
「こんなに気が合うやつは初めてだからもう隠し事はしたくないんだ、俺の話を信じて聞いてくれるか?」
「ちょうど聞きたいと思ったところだ、話してくれ」
それから俺は今までに起きたことをすべて伝えた。
「イツキはこっちに来て楽しいか?」
「えっ?」
「私達が出会った時イツキはこっちにきたばかりだったんだろ?だったらイツキは私と一番長く一緒にいるわけで、お前が楽しくなかったら私の責任になるわけだ」
「その点に関しちゃ、向こうにいた時より楽しいよ。」
「そっかそれなら良かった。」
二人でしばらく無言でこちらの星を眺めた。
翌朝から修行が始まった。
「まずは基礎体力だな。とりあえず走るか」
「はい師匠!」
それから街中を走り回った。ある時は路地から人ごみの中、屋根の上まで走った。
ベアンテの力で体力はついているが師匠の動きは速すぎで視界から離れないようについていくのが精一杯だった。
「体力はなかなかだが、まだ俊敏性が足りないな。明日からずっとこのペースで今日のルートを走るように!」
「はい」
この人は汗一つかいてねぇ、バケモンだ!!
「次は槍を使うぞ!」
よーしようやく槍が使える。
「まず槍を構えてみろ」
俺はどこかの漫画でみたように槍をかまえる。
「なかなか筋がいいな。じゃあそのまま実戦といくか」
えっ!?ステップアップしすぎじゃないっすか?
師匠は黄金色の槍を掴みかかってきた。
結果は2秒でついた。俺がかまえていた槍を師匠は軽くはらって遠くに飛ばし、首に穂先を突きつけた。
「槍での戦闘経験はゼロと」師匠は片手でメモをとりながら言う、なんかむかつくな。
「さすがに今のは無いんじゃないんですか?」
「ほう、お前はさぞかし実戦で死にたいと見えるな?」
確かに実戦では油断も隙もあったもんじゃないからな。
「すみませんでした。師匠」
「・・・まぁいいだろう」
それから毎日修行が始まった。ユーリィは朝の鍛錬を俺と一緒にして、そのまま昼からギルドで依頼を受けていってしまう。俺は昼から師匠と槍での特訓をしたが、師匠はああ見えてメイハ教のお偉いさんだから師匠が用事でいない時は一人で槍の練習を繰り返しした。
突きから払い、石突での打撃から上からの斬撃をゆっくりやっていき一回すむごとに動きを速くしていく。師匠は最終的に一秒かからないくらいが合格だといっていた。
その日は来るのだろうか?
一ヵ月後ようやく師匠に合格を出された。といってもさすがに一秒以内は無理で記録は1秒5だったが師匠が、
「まぁ少しは速くなったがまだまだだな。後は経験だ、実戦を積め!実戦を!ちょうど一週間後にこのエリアノで五年に一度の武道大会がある。出ろ!」
「いろいろツっこみたいところがありますが師匠、これを狙ってましたね?」
「なんのことやらな?」
しらじらしい真似をしやがって、この確信犯が!
とは言っても俺が師匠に逆らえるはずもなく結局エントリーすることになった。
なんでも魔法やらなんでもありの大会らしい。
ユーリィにもどうするか聞いてみたが、
「私が出なくて誰がでる!」
と予想通りやる気満々だ。
もちろん俺はベアンテも使うぞ!むしろ使わないと勝てない。
なんだか今回はシリアス?を入れてみました。
自分としてはこれからも時々シリアスを入れていきたいです。
ここまで更新してこれたのも読者の皆さんのおかげです!ありがとう!