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樹当千  作者: 千葉
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十話 素晴らしき変人たち


 首都までは乗り合い馬車で向かった。当然俺とユーリィ以外にも人はいるわけで、なにやら両目を包帯で隠して小声で歌をうたっている人や、ときおり自分の右手を暴れないように必死でおさえつける人、馬車の隅の方向を見ながら何かと会話している人がいた。

盲目の人は俺の方向に顔を向けて一瞬ビックリしたような顔をしたが、俺の方がそれでビックリしてしまった。

「イツキあの人見ろよ、おもs「今は黙れ!」

道中危険な場面が何度かあったが(すべてユーリィが原因)、三日後無事に首都に着いた。ものすごく疲れた。

「さすがに首都なだけはあるな」

いきかう様々な種族の群れは混雑を極め、あちこちで怒号が聞こえる。

「ここらは首都の入り口であり、たくさんの交易品が取引されているからな。中心部はここより静かだぞ。」

「そうじゃないと困る」

道の両側にたくさんの交易品が売り出されている中をぬうようにしばらく進むとやっと広場に出た。広場には法衣を着た集団が中心部の方向へズラズラと歩いていく。

「どうやらメイハ教の信徒らしいな、ちょうどいい、ついていこう」

なにがちょうどいいか分からなかったが、いずれ分かるだろう。

そのままついて行くと巨大な教会が建っていた。精巧な細工や模様が建物のあちこちに施されている。ユーリィが信徒に続き中に入っていくので俺も続く。

中は外以上に細工がきらびやかにも関わらず、嫌な派手さは全く感じられない。

神々しく荘厳な雰囲気を感じるぐらいだ。

俺も姿勢が自然とピシッとなる。

ユーリィは教会の一番後ろの光が当たってなく、目立たない長いすに座っており俺をみるとこっちにこいと合図するので俺はユーリィの隣に座る。

教会内では神父らしき人が説教壇で説教している。しばらくして説教が終わり信徒たちが帰ると神父がこちらにやってきた。近くでみると顔にはクマができていて年が感じられるが、その吸い込まれそうな目が強い意思を表している。

彼は俺たちの姿がはっきり分かると、

「まさか、・・ユレイアなのか!?」

「お久しぶりです、カナゼ司教」

「ここにいるということは私の忠告通りにあの遺跡に行くのをやめたのだな、安心したぞ。

お前はこうと決めたら途中で意見を変えないからな」

「いいえ、私は遺跡にいきました。これが証拠です。」

ユーリィは腰の剣を抜いて渡す。

「これは魔剣じゃないか!?・・・確かに製造方法が失われた今存在するという場所はあそこしか無いな。生きて帰ってきてくれたことは本当に嬉しいが、あまり両親を心配させるなよ。」

「・・・はい」

すこしシュンとするユレイア。

「まぁここまでにしておくか、ところでずっと気にかかってたんだが隣の彼は紹介してくれないのか?」

ユレイアのことしか見てなかった様に見えたが、俺のことも気づいてたんだな。

「彼は私のパートナーでイツキといいます」

「ただいま紹介されました、ユーリィの(永遠の)パートナーのイツキ・チバと申します。」

「なかなかの好青年のようだね。」

ダンディな笑顔でカナゼさんは言う。

「はぁ、自覚はあります」

「それにユニークなところもあるみたいだな、いいパートナーを見つけたなユレイア」

「私の目は確かです。」

「君たちは似ているね。その歯に衣着せないあたりが」

カナゼさんは本当に神父さんなんだろうか?というかユーリィとどういう関係なんだろうか?俺は疑問に思ったことを聞いてみた。

「私とユレイアの父親は昔いっしょに冒険したなかでね、現役から退いた今でもよく飲みにいくんだ。」

「私としてはカナゼ司教が父親だったらとどんなに考えたことか!」

「あれもユレイアを気にかけているのだ、あんまりそういってやるな。」

困ったように言うカナゼ司教だが、嬉しさで頬が緩みっぱなしでいっても説得力が無い。

愛すべき親バカ達だな。

「これからどうするんだ?」

「それが特に考えて無くて・・・そうだ!カナゼ司教、イツキを鍛えてくれませんか?」

「え、聞いてないぞ?」

「私はいいが、彼はどんな武器を使うんだ?」

「イツキは槍を使うんです。おいイツキ、あの槍術で有名な『黄金のカナゼ』に槍を教わるなんて光栄だぞ!」

「いやだから俺は「イツキ君がそこまで言うなら仕方ないな、早速明日から修行だ。今から私は師匠だ、崇め、敬え、奉れ!」

こいつらは病んでいる。



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