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〜魅了〜

 彼女から「今日親いないの」って言われて、家に初めて行くことになった。ドキドキしながら高校からの帰り急いで自転車を漕ぐ。

 だが途中で目の前が突然光に包まれ――


 気づいた時には、見知らぬ草原の真ん中に立っていた。


「えっ!? ここどこ? 何で異世界に転生してんだよ!?」


 あたりを見回すと、広大な草原と青空、そして遠くには巨大な城が見える。典型的な異世界転生の風景だ。


 その時、目の前に現れたのは、神様らしき存在だった。


「ようこそ、異世界へ! 君が選ばれし者だ。さぁ、君には無限の可能性が広がっている。冒険を楽しんでくれ!」


「えっ、ちょっと待て。選ばれし者って、どういうことだよ!?」


「君の転生の目的は、この異世界を救うことだ。君の力を必要としている!」


「いや、待ってくれ、異世界転生の目的とかどうでもいいんだ! 俺、今から初めて彼女の家行こうと思ってたんだよ!! それに親いないって言われて! そんな大事な時に!」


「それはすまない。しかし、君の役目は異世界で英雄になることだ!」


「だからって、なんで俺が転生しなきゃならないんだよ! お前さ、だったら俺が異世界でモテる能力とかくれよ! 異世界でモテたいんだよ!」


「モテる能力か……わかった。君にはモテモテの力を授けよう。」


「え、マジで? やった、これで異世界の美女たちに囲まれる!」


「よし、君には『誰もが君に魅力を感じ、愛される能力』を与えた!」


「よっしゃ! これで異世界でも、女の子たちに──」


 だが、その瞬間、転生先に降り立った俺を待っていたのは、見慣れないモンスターたちだった。周囲には、オークやゴブリンしかいない。


「え……? なんで?」


 オークたちは興味津々で俺を見つめ、「貴方、かっこいいわ! 一緒に冒険しましょう!」と、いきなり誘ってきた。


「おい、待て、俺が求めてるのは美女だよ! 何でオークとゴブリンばっかりなんだよ!」


 俺は神様に怒りをぶつけた。


「なんでだよ、オイ! 俺がモテる能力をくれって言ったじゃねぇか! 美女にモテたかったんだよ! なんで、ゴブリンとオークにモテてんだよ!?」


 神様は悠然と答えた。


「お前がモテたいって言ったから、モテる力を与えた。それに、この世界にはオークとゴブリンと魔王しかいない。」


「いやいやいや、なんだそれは! これ、ただの“モンスターに好かれる能力”じゃねぇか! 俺、英雄になんかならねぇよ! ただ、彼女の家に行きたかっただけなんだよ!!」


 その後、俺はオークたちの案内で、冒険の仲間として無理矢理参加させられる羽目に。オークは強いが、見た目がちょっと怖いし、ゴブリンたちも優しくて面倒見がいいけど、全然タイプじゃない。


 その後も、オークとゴブリンたちに囲まれて、異世界を生きる羽目になった。


 あと魔王からも好かれた。


 ――完




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