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九章 ピンチと甘い関係

 夏休みも明け閑素な学校生活が始まった。

 誕生日に貰った本を読んでいると、「その本気に入ってもらった?」

 「勿論ですよ。いい本を見つけてきましたね。この本は元から読んだことはありましたが、持ってはいなかったので良いコレクションになってますよ。処で水戸さんの誕生日はいつなんですか?」

 「私は二月の九日です。」(結構時間が空いてしまうな。)

 「そうでしたか。それではかなり時間が空いてしまっている感じですね。何が欲しいですか。」

 「え、そんな良いよ。私も忙しくなってると思うからさ。でも強いて言うなら、天野くんとどこかに行きたいです。」

 「そうだね。どこが良いんだい?」

 「そうですね。また今度考えてきます。」

 「そうしてください。無理に今決めなくても良いので。」(それまでの内に調べておかないとな。)

 

 文化祭が近づき水戸さんの高校の文化祭が来週に迫った時点で、私の高校は中間試験に入っていた。

 結句の所テストは軽く受け流して、文化祭に誘われているのだから未だあるテストよりも優先すべきことであると判断した。

 「文化祭はこの時間にやってるから一緒に回ろ。」チラシを一枚渡された。

 「そうですね。」

 冬に近づく中十月の始めにはすでに冬服に変えていた。

 文化祭に行ってみると多くの人が来ているということもなく、回るのには丁度良かった。

 図書館に行ったり各部の展示品を探訪し一日で回りきった。

 「流石に疲れましたね。」ベンチに腰掛け言う。

 「来週には合唱祭があって、私達のクラスも出るから見に来てね。」

 水戸さんからの思いも寄らない言葉に、思わず手を当てたが声を少し漏らして笑ってしまった。

 「私と出会って随分変わりましたね。前までは自分を変わり者だって言って関係をあまり作っていなかったのに、今では仲良くできる友達がたくさんできて。こういう風にして人は変わるんだよ。」(上から目線から話してしまったな。嫌な気持ちにならなければ良いんだけど。)

 優しく甘い声が私の中に聞こえてきた。ホッとしたのか力が抜けて天野くんに抱きついてしまった。

 (起き上がらないと、でもこの儘でもいいな。)

 「どうしたんですか。――――――疲れたんですね。」

 

 そうして私は駅まで方に乗せて移動し電車の中で「やっと起きましたか。」と返答をした。

 「え!私寝てた。」

 「はい寝てましたよぐっすり。」

 「恥ずかしいです。」

 「大丈夫ですよ私の帽子で隠しながら来ましたから。そろそろ着きますよ。合唱祭楽しみにしてますね。」そう言ってドアを跨いで行くと、振り返って何かを言われたような気がしたがよく聞こえなかった。

 (また明日聞いてみるか。)

 

 合唱祭当日

 {どうするの。}

 {指揮者いないんだけど。}

 {このままじゃ始められないよ。}

 {誰かできる人いない。}

 スマホの画面を見ると水戸さんから多くの連絡が来ていた。

 「わかりました。直ぐに向かいます。」

 (どうやら水戸さんのクラスの指揮者の人が、急病で休んでしまっているようだ。代打を探しているということで、できないかと聞いてきた。勿論できるに決まってるじゃないか。賞も取ってるぐらいだぞ。)

 一時間かけて学校に到着。

 教室に入ると「来てくれた。紹介します。天野くんです。」

 「天野です。」着いて早々の教室の全員に見られた。

 「で、演る曲はなんですか。」

 「これです。」

 「これならやったことありますね。大丈夫です。」

 愈々(いよいよ)本番に移り変わってしまった。

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