あの平和な日々は幸せだった 私もよ…………あの平和な日々は幸福だったわ
レジスタンス達の構えた、地下秘密基地。
その内部にて、ベッドに腰掛けている二人男女は、楽しげに過去を語り合う。
「あの頃はレオ、キーラン、カルミーネ」
「それに? ミア、レギナ、ベーリット、そして私達…………」
体を寄せ合い、仲睦まじく遊んでいた友達の事を、ナタンとメルヴェ達は思いだす。
二人は、想いでの中にある、平穏な日々とともに、続々と溢れ出てくる過去に浸る。
「あの頃はただ楽しかったな…………」
「皆まだ馬鹿な子供だったわね?」
二人が思い浮かべた記憶の中では、大切な遊び仲間達が、今も二人とともに遊んでいた。
当時は、皆が次元を越えて、異世界から来た侵略者のことなど、誰も考えてなどいなかった。
ハンザ連邦合衆国、ベルギュー州、州都ブルーシェル、中央公園の一角。
「おーーい? レオ、メルヴェ、ミア、早く逃げろーー?」
「五月蝿ぇなっ! お前は元気が有りすぎるんだよっ! 少しは俺達にもその元気を分けろっ」
「本当、レオの言う通り頭に栄養が行かない分、体に栄養が行き渡って有り余る程の体力がついたのね?」
「うふふっ? …………ナタン君は何時も元気で良いなぁーー? 私もあんなに沢山の元気と体力が欲しい~~」
一人先頭をぶっちぎるナタンと、その後を追い掛ける、レオ・メルヴェ・ミア達は三人揃って走る。
彼には、ついに追い着けず、疲れて膝を突き息を切らしてバテてしまった。
「何アイツ、また馬鹿やってるわ?」
「たくっ! 今やってるのは鬼ゴッコ、じゃなくて隠れんぼ、だっつうの?」
そんな様子を見て、四人とは別方向に逃げて、キーランとレギナ達は、木々の陰に隠れた。
二人は、様子を伺い全力で逃げ切ろうとする、馬鹿な男、ナタンに木陰に潜みながら目を向ける。
アレには、いい加減に呆れるはと言うような視線を向ける。
「あれなら、カルミーネとベーリット達は奴等を探すのに苦労するぞ」
「相手が勉強は全く出来ない癖に、遊びには全力を出す馬鹿なら、鬼の二人が見付けるのは大変でしょうねぇ~~」
やがて、小さくなっていく、四人の姿を見届けた、キーランとレギナ達。
二人は動き出した、鬼役のカルミーネとベーリット達に発見されぬように、木陰で息を殺して潜む。
「何処に隠れたんだあ? キーランとレギナ達は、ナタン見たいに遠くまで行った訳が無いから近くで隠れてるんだろうけど」
「きっとあの二人は隠れるのが上手いから私達に簡単に見つからない場所に居るんだろうけどさ?」
巧妙に隠れた、他の遊び仲間らを探す、カルミーネとベーリット達。
二人は、遊び仲間達を、草村を分けたり、トイレの中などを調べて懸命に捜索する。
「皆は何処へ隠れたんだろう?」
「さあね? そこら辺で、逆に私達探して見付からない様に移動しているのかもね?」
一向に、姿が見えない、仲間達を見付けるのを疲れたことで、二人は捜索を一旦止める。
それから、草むらに腰を落として、並んで座り込む、カルミーネとベーリット達。
「はぁ~~平和だねーー? このまま惚けっと暮らせたら最高何だけどねぇ~」
「あんた…………本当に呑気ね? その能天気な頭が羨ましいわぁ」
芝生に頃がって、大の字になり、青空を見上げながら呟く、カルミーネ。
その彼と隣で、体育座りになり、両膝に顔を埋めなる、ベーリット。
彼女は、視線だけを上に動かし、青空を見上げる。
「でも、本当に平和ねぇ? カルミーネの言うように、私達はこのまま幸せに暮らせたら良いけどねっ!」
「あははっ! ベーリットは僕と結婚して、何時までも一緒に暮らしたいのっ?」
余りにも、天気がよいので、ベーリットは息を深く吸い込みながら不意に呟いた。
その言葉を勘違いした振りをして わざと、自分に都合が良いように解釈した、カルミーネ。
「違っ! そう言う意味じゃ無いわよっ! 私は皆と何時までも楽しく遊んで暮らしたいって言ったのっ!!」
「あははっ! 冗談で言ったのに? そこまで顔を赤くする何て、まさかベーリットは本当に僕の事をっ!? ゴフゥッ!」
顔を、ものすごく紅潮させながら慌てて、ベーリットは否定するが。
彼女を見ながら、冗談だと言って、あははと腹を抱えて笑う、カルミーネ。
そんな彼の頬に、右拳が飛んできた。
「ちょっ? 痛いよ、冗談を言ったくらいで何も殴らなくても良いじゃないかぁ!」
「良いじゃないかぁ~~? じゃないわよっ! 私に恥をかかせてっ」
殴られた、カルミーネは頬に手を当てて、冗談くらいで殴らなくてもと言ったが。
当然、そんな言い分は通じる筈は無く、ベーリットは、彼に対して大きな声で叫ぶ。
「あいつ等は仲が言いな?」
「あの二人は将来は教会で結婚するのよ、きっと?」
そんな様子を、キーランとレギナ達は草場の陰から観察する。
彼等は、会話を見られているとも知らず、夫婦漫才を続ける、カルミーネとベーリット達を眺める。
そして、その姿を微笑ましいと思い、二人を見つめ続けた。
「熱いな~~あのカップルは?」
「ラブラブねぇー」
「お前ら黙れよ? 俺達の居場所がバレるだろっ!」
「でも本当に仲が良いよ、あの二人?」
公園内に有る、コンクリートで出来た、休憩用に設置された小屋の裏から現れた、四人。
ナタン・メルヴェ・レオ・ミア達も、仲良さそうな二人の会話を盗み聞きしていた。
「私も、あんな風に誰かと仲好く成りたいなぁ~~」
「はぁ…………誰かと仲好くって、レオ? それか、ナタンの事?」
草の上から、頭を出して、ミアは仲睦まじいカップルを眺める、ミア。
彼女は、紅潮させた両頬に当てて、目を瞑り、恥ずかしそうに頭を振りまくった。
誰かと恋仲に成りたいと言う、彼女に相手を問い質す、メルヴェは悪戯ぽいっ笑みを浮かべる。
「いやだぁ~~? メルヴェったら、誰かと何て言える訳無いじゃない」
「あっ! 分かったぞ、ミアはフロスト先生が好きなんだろっ!」
「じゃなきゃあ? ベーリットに嫉妬して、カルミーネが好きなのか…………それでもなければ、もしくはキーランの事かっ!」
さらに、顔を紅潮させて、両手で顔を隠してしまった、ミア。
そんな彼女の恥じらう姿に、ナタンとレオ達は、ふざけて矢継ぎ早に質問をしまくる
こうして、彼女は、いったい誰が好きなのかと、しつこく聞く。
「うげぇっ!」
「ぎゃっ!?」
ミアに、しつこく絡んでいた、バカアホ・コンビのナタンとレオ達。
そんな二人の頭に、いきなり鉄拳制裁が振り下ろされた。
「あんたら、しつこすぎ」
「だからって、いきなり頭を叩かないでくれよっ? しかも…………お前が言い出しっぺだろう」
「痛たっ! 本当だぜ、メルヴェ加減位はしてくれ…………俺達の頭が割れちまうぜ?」
「ナタン、レオ、二人共、頭は大丈夫?」
真顔で怒った、メルヴェに対して、二人の愚かな少年たちは抗議する。
ナタンは頭を抑えて、レオは痛そうに目を瞑ってそんな二人を心配する、ミア。
「ミア、心配する必要は無いわよ? コイツらの頭の中には石でも詰まってるのよ」
「でも…………」
「頭に石が詰まってんのは、お前だバカ女っ!」
メルヴェは、ミアにしつこく絡ん、だデリカシーの全く無い、二人を心配する必要は無い。
そう言って、かなり冷酷な視線を彼等に向けるが。
ナタンは負けじと睨み返し、バカ女と、メルヴェに暴言を吐いた。
「もう一発、喰らわした方が良さそうねーー」
「あっ! それは止めっ!?」
ナタンの頭に、隕石が三つも天から降り注いだような衝撃が伝わった。
それは、渾身の力を拳に込めて放たれた、メルヴェによる三連撃であった。
「あーーーーーーーーーーーーーーー!」
三発もの拳を喰らった、ナタンは余りにも鋭い痛みに、大声で鳴き叫んでしまった。
そして、彼が完全に沈黙したのを見届けた、メルヴェは、非常に満足そうな表情を浮かべていた。
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