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サブタイトルないです。考えてくれると嬉しいです

 焦ることは無いと言われた俺は、あれから何もせず近くの街でただ時を過ごしていた。その街は生まれてからずっとコルト村で過ごしていた俺はいつもと違う光景に少し胸を躍らせていた。

 

 そんな俺は狩りを済ませて帰ろうとしてた。コルト村の村長の家にあった立派な剣を拝借してそれを使ってた。

 狩りをしている理由としては、手持ちが無いから自分の食い物は自分で調達しなきゃならないのと、もうひとつはいつ契約者が来てもすぐに応戦できるように訓練も兼ねてる。

 そんな狩りをしていくうちに【感覚支配】についてわかった事は沢山あった。

 

 この【感覚支配】は、対象の五感を支配できるというのが基本的な能力。

 例えばそこに壁があるように見せたかったら幻の壁に触れる瞬間に触覚を弄れば実際にそこにあるように思い込ませることが出来る。腕を斬らせれば実際に斬られた様な痛み、熱さなどを全て再現させることも出来る。

 

 ただ、この能力には制限がある、【感覚支配】をかけれる対象は1度に1人まで、というもの。

 例えばAさんに既に【感覚支配】を使用している時に、Bさんに【感覚支配】をかけようとすると、Aさんにかかっていた【感覚支配】が解けるという仕様になる。

 もうひとつの制限、能力の対象は視なければかける事が出来ないという事。

 Cさんという人がいると認識してても実際に視なければ能力はかけられない。ただ、1度見てしまえばしばらく視界から消えても能力はかけられる。

 

 そして、【感覚支配】は人間以外にもかけられることもわかった。人間以外と言っても、狼にかけてみたらそれっぽい反応を示してくれたから人間以外にもという認識、もしかしたら虫には通じないかも知れないがそこはまたの機会にでも試すとするか。

 

 しばらく歩いているといつも利用してる宿に着いた。

 

「すまんが今日も泊まらせてくれ」

 

 と言ってみるが店主からは反応が来ない。それもそうだ、この人には悪いが【感覚支配】をかけている。さっきも言ったが俺には手持ちがない、とはいえ野宿は危険だからな。ツケにしてもらってる、多分いつか払う。

 

「けどいつまでも手持ちゼロじゃ俺が困るよなぁ」

 

 …………王都行くか。

 

 正直乗り気じゃない、何故か? 何度も言うが俺はコルト生まれコルト育ちのコルトっ子。コルト村では王都の嫌な話ばっかり耳に入ってくるのだ。

 例えば、人の持ち物を奪い取る「ゴウトウ」なる者がいるとか。何故奪い取るんだ? 村のみんなは頼めば貸してくれるのに。

 また「キゾク」という人の服を着た醜いオークが偉そうに人の上に立っているとか。最高に意味がわからない、オークの死体なら見たことがあるけど知能は無いはず。それが服を着て人の上に立つ? ありえない、とか思ってたけど神も悪魔もいるんだ、知能のあるオークくらい居てもおかしくはないか。

 

 なぜ俺がここまで毛嫌いしている王都に行きたがるのか、職だ。

 王都には冒険者という職がある。俺の父さんがそうだったが冒険者は実力があれば誰でもなれるらしい、今の俺なら問題ないだろう。

 

 ただ、問題は距離が遠すぎる。この街のどこかに王都までの業者とか居ないかな。

 

 なんて考えてると外から声が聞こえてくる。

 

「おーい、その荷物今日中に積んどけよ? 明日には王都に向かわないといけねーんだ」

 

「はい!」

 

 豪運……ッ! 我ながら恐ろしい、どうやら神は俺に微笑んでるようだ。

 

 微笑んでねぇか、敵か。

 

「このチャンスは無駄には出来ないな」

 

(何1人で喋ってるんだ、話し相手でも欲しいのか? 強欲だな)

 

「…………寝てろよ」

 

 

 

 ◇

 

 

 

「よぉし、出発すんぞ〜」

 

「はい!」

 

「あ、荷台の方ちゃんと確認しとけよ?」

 

「荷物なら昨日確認して完璧だったッス!」

 

「違う違う、たまにいるんだよ、王都行きの乗り物だと思って乗り込んでくるやつ」

 

「なるほどッス!」

 

 男は言われて荷台を確認しに行くが誰も居ない。

 

「誰もいないッス!」

 

「おし! そいじゃ出発すんぞ!」

 

「はい!」

 

 男は元気よく返事をして御者台へ向かい、何事もなく王都に向かうのだった。

 

 


 ──なんてな。

  

「【感覚支配】便利だな〜」

 

 御者が荷台を確認するのは予測できるからな事前にかけておいて俺がいない通常通りの荷台を見せた。


(言うまでもないが異能のことはバラさない方がいい)


 契約者に狙われやすくなるってことか? 返り討ちにしてやるさ。


(馬鹿なこと考えるな、いいからヘマだけはするなよ。お前は依り代の中でも特別なんだ)


 はいはい。


 さて、あとは王都に着くまで待つか。

 

 ────────────────────────────────────────────────────────────────────────────ドォン!

 

「──ッんあ?」

 

 やっべ、寝てた。もう1人の御者が来てたら詰んでたな。

 てかなんの音だ? すごい落としたから起きちゃったけど。

 

「サイクロプスだァーー!!」

 

 は? サイクロプス? 

 ……聞いたことはある、あれは父さんの話だ。

 父さんが冒険者時代の時、1回だけサイクロプスに遭遇したことがあるって。その時は何とか生還できたが仲間が3人死んだって……

 なんでそのサイクロプスが居るんだよ!?

 

「あぁ、兄貴どうしやすか!?」

 

「馬鹿野郎! 俺らじゃ何も出来ねぇんだ! 冒険者が来るまで逃げるっきゃねぇだろ!」

 

「はいぃ! そうッスよね!」

 

 それは困る! 誰が俺を王都まで運んでくれるんだよ!

 

「オラッ、行くぞ!」

 

「はいぃ!」

 

 ちょっと待て!

 

 【感覚支配】で兄貴と呼ばれるの男に幻覚を見せる。

 

「うわあああ!」

 

「兄貴!?」

 

 虫の大群だ、シンプルだがビビるだろ?

 

「た、助けてぇ!」

 

「兄貴!? 何もないっスよ!?」

 

 虫が世界一苦手だったのかうずくまってしまう。

 

 だが、それなら好都合。

 これなら【感覚支配】を解いても暫くそのままでいてくれるだろう。

 

 その間に……


「こいつをどうにかしないとだな」

 

 獲物を探してるのか巨大な1つ目をギョロギョロさせている。

 

 どうやって殺すか……

 

 ……待てよ? あの兄貴は「冒険者が来るまで」と言ったな。

 なら俺の勝利条件は殺す事ではなく、冒険者が来るまで時間を稼ぐこと!

 

 そうと決まれば話は早い。

 

 【感覚支配】の対象を兄貴からサイクロプスに変更。見せる幻覚は──

 

「──燃え尽きろ」

 

 奴は今こう感じてるだろう。

 地面が消えて、落下。落ちていく浮遊感は恐らく味わった事無いよな。そして真下には辺り一面の溶岩。近づいていくにつれ空気が暑くなる感覚。

 そういえば、いつかのギフテッドの野郎にも見せたっけ。

 まぁいい、そしてついにその溶岩に触れた時──

 

「グャアアアアアアアア!!!!」

 

「うわっ! 急に苦しみだしたッス!?」

 

 そう、周りのヤツには分からないんだ、お前が今どんな苦しみを受けているのか。

 皮は焼け縮み、肉は炙られ、骨も溶けだす。

 絶対に味わうことは無かったであろう苦痛。

 

 だが、やはり決定打に欠ける。

 

 痛みや疲れは相当なもんだろうが、ダメージはゼロだ。故に殺せない。

 

 だが、時間稼ぎとなれば楽勝だ。

 

「おい、いたぞ!」

 

「サイクロプスかよ! って、なんか苦しんでねぇか?」

 

「倒しやすくなってるんだ、なんでもいいだろ!」

 

 やっと来たか。【感覚支配】はかけたままにしておくからあとは頑張ってくれ。俺はもう寝る。

 

「うああ、虫が、やめてくれーー!」

 

「兄貴ーー!!」

 

 ……ごめん。

★5評価、感想、ブクマでモチベ上がります。

良ければお願いします。

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